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鐵原 S−304(3Dプリンター)

3Dプリンターで出力したS−304

2018.6.12

トーマモデルワークスの「日車Cタンク用 新動力ユニットキット」を使用して、上廻りを3Dプリンターで出力しました。
株式会社鐵原(現テツゲン) 室蘭支店にて、昭和50年代にも稼働していた機関車です。
路線バスや国鉄の車窓から時々見えることがありました。割と殺風景なところで1〜2両の蒸機が淡々と働いている、そんな場でした。


データ作成と出力

出力するデータ

トーマモデルワークスの動力に合わせ、自分の印象に頼って形を作りました。それがちっとも頼りになりません。
最初に実物を近くできちんと見たとき、思ったよりごちゃごちゃしていて、一風変わっているという印象を持ちました。どのへんにそれを感じたのかというと、おそらく2つ並んでいる逆止弁のあたりかと思います。よって、そのへんは少し強調してデータを作りました。

今回の3D CADは、今までの DesignSpark Mechanical ではなく、Autodesk Fusion360 にしました。
私はきちんと設計的な考えを持って作れるわけではなく、その場その場で結果的な形を作っているだけでして、Fusion360の標準であるパラメトリック・モデリングがうまくできません。よってヒストリーを記録せず、ダイレクト・モデリングに切り替えて使いました。
ただ、途中でボイラーの太さを何度か変更したりしたので(色々なものがくっついてくると印象が変わるので)、そんなときはパラメトリックのほうが楽だったのかも、と思います。

出力した部品

出力はいつも通り Projet 3500HDMax の Xtreme High Definition モードを依頼しました。
C10と同様、左右まっぷたつにして、なるべくサポート材の処理が少なくて済むようにしました。もっとも、あまり複雑に分割すると、データを作るのも組み立てるのも大変なので、適当に妥協しています。

シリンダーブロックまで一緒にくっついております…。

組み立て

半分合わせ

動力ユニットにうまく合うかどうか、恐る恐る確かめています。

内側は大丈夫のようです。ただ、シリンダーブロック側面と、ピストン棒のクリアランスがほとんどなく、ここは危なっかしい感じです。
本当はもっとシリンダーを外側に置きたかったのですが、あまり車幅を広げるとボイラーとのバランスがとりにくく、自分のデザイン能力ではうまくできそうにありませんでした。

もし走行中に当たって具合が悪くなるようなら、ピストン棒を少し内側に寄せて作り替えれば何とかなりそうです。

あとは、パーツ同士を接着し、つかみ棒を取り付けて黒塗装するだけでした。基本的な形はすぐできました。

ブレーキ装置

動力ユニットキットには、後部のブレーキ装置が付属していないので(フルキットのプラパーツに含まれています)、寸法を拾って3Dプリンターで作りました。ぴったり合いました。
下廻りはこの動力ユニットをそのまま使っており、実物に合わせた改造などはしていません。私の手には負えません…。

転写シール

側面には「安全第一」の文字がペンキ書きされていました。
お化粧直しするたびに字形が変わっていたため、完全に手書きだったのではないかと思いますが、左右両サイドにあるので何らかの型紙は作られていたのかもしれません。

エーワン 転写シール

1文字のサイズが2mm四方ぐらいなので、とても自分には手書きできません。
インクジェットプリンターで紙に印刷して貼るつもりでしたが、エーワンの転写シールを試してみました。

下地が透明のタイプと、白地のタイプがあります。下地が透明だと、黒い機関車に貼れば文字が見えなくなると思いますが(インクジェットプリンターは下地が白い紙であることが前提でしょうから)、一応やってみようと思って両方買ってきました。

本番前に、黒色プラ板に転写してテストしました。

透明タイプ

透明シール

最初に透明タイプを試しました。
図柄を左右反転し、印刷シートに印刷しました。この上に透明糊フィルムを重ね貼りします。

貼り付け

文字の周囲に1〜2mmの余白を空けて切り取り、透明糊フィルムの透明シートのみをはがして、黒色プラ板に貼り付けました。
次の過程で水を使うので、あまりギリギリを切り取ると、断面から水が入って印刷が滲んでしまうそうです。

裏返しにして貼るため、文字がまったく見えなくなり、正確な位置決めはしにくいです。

水で濡らす

しっかりプラ板に張り付けたら、表面の印刷シートの紙を取り除くため、水で十分湿らせます。

紙をずらす

貼り付けた印刷面のフィルムだけが残り、表面の紙だけを滑らせて取り除くことができます。

文字が読めない

結果、黄色の文字は黒地の上では読めません。
黄色のセロハンを黒いところに重ねるようなものですものね。

白地タイプ

白地シール

今度は白地タイプです。
文字の地色の黒も、一緒に印刷しておく必要があります。

写真は、印刷のあと、白糊フィルムを貼り付けたところです。白といっても完全な不透明ではなく、うっすらと下が見えます。そうでないと、どこを切り抜けばいいのかわかりませんものね。

転写したところ

あとは透明シールと同じです。切り抜いて貼り付け、水で濡らして紙を取り除くと、文字がくっきり見えました。

乾燥後

表面を綿棒で擦ってみたり、マスキングテープを貼ってはがしたりして傷めつけてみました。すぐにベリッと剥がれることはありませんが、フチのほうは傷んでくるので、何らかの表面コーティングはしたほうがよいかもしれません。

また、白のシートをカットして貼り付けているため、フチのほうから少し白が見えます。乾燥につれて目立ってくることもあります。ここは、面相筆で黒を入れてカバーすることにしました。

黒い部分の表面がムラになっていますが、これはまだ糊が残っているためで、濡らした綿棒で軽く拭き取ればきれいになりました。

本番

実際に転写

今度は本番です。
切り抜いたシートを貼り付けたところです。パターンが見えないのと、曲がって付いたら簡単に貼り直せるような気がしないので、かなり緊張しました。

転写成功

大体うまくいきました。

反対側は失敗気味

こっちは何となく、文字のベースラインが揃っていないようですが、まあよしとしました。

前方

側面に白線を入れ、ナンバープレートは金紙に赤で印刷したものを貼りました。
端梁のゼブラ模様は、コピー用紙に印刷して貼りました。

後方

後方も同様です。
端梁の形も時期によって少し違いがあります。ゼブラ模様のピッチや角度も化粧直しの時期によって変わっていたようです。

最後に、つやを調整したクリアーを全体に吹き、紙部分の保護やハガレの防止用にしました。インクジェットプリンターによる印刷ですから、ゼブラ模様などが滲んでこないかとドキドキしました。

完成

ご覧のとおり変なところは色々ありますが、遠い昔の第一印象を大切にして、データの調整は粘りました。あとは実力及ばずです。

S−304

S−304

S−304

マークを貼る側面を平滑に仕上げやすいよう、リベット類はすべて省略しました。
ボイラー部は事後の処理はしておらず、木の棒のような独特の模様が表面に見えます。ただ運転して遊ぶ用途ならほとんど気になりません。それより、画面上のデータが形になった楽しさのほうが大きいです。

S−304 CAD図

元のCAD画面です。画面上ではパーツの輪郭や境界の実線の太さに惑わされて、出力後の印象がなかなかつかめないのですが、こればかりは経験を積んで身に着けるしかないのだと思います。
長さ5センチ程度のものですし、画面上で適切な強さのディテールだと思っても、実際に出力すると全然わからなかったりするのですよね。

S−304

左がキット素組みの日車Cタンク、右が今回のS−304(これも日車)です。

日車CタンクとS−304

楽しいです。これも動力ユニットのキットが単体で発売されたおかげです。こういうことは珍しいんですよね。

S−304とレイアウト

S−304とレイアウト

S−304とレイアウト


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