楽々2000m級の山(金峰山) |
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予定は八ヶ岳でテント泊まりだったが、金曜日の夜に確認した天気予報でも日曜は雨だった。仕方なく日帰り山行に計画を変更、行き先はTさんお任せで、何処の山かも分からなかった。そして、出発前日の夜に受取った新しいデジカメも全て店員さん任せ、それは結果的にメモリーの仕様が違い使い物にならなかった。壊れたデジカメを2台持って、7月30日(土)6時半に出発した。 |
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五丈岩 |
朝日岳と金峰山 |
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車中での会話で、目的地が昨年紅葉狩りに行った西沢渓谷の近くだと分かった。塩山駅を過ぎて左に曲がると見覚えのある寺が見えてきた。トンネルを抜けて直ぐに左に曲がる。杣口(そまぐち)という地域を抜ける。『杣(そま)』の意味が分からなかった。 |
木へんの漢字である。知らない木の種類かと思ったが、後で調べて"木を切出す山"と分かった。ここから大弛峠まで車は高度をグングンと上げて行く。この山の深さと高さに感動してしまって、あらためて私の『丹沢馬鹿』に嘆き、この爽快な高度に驚きの声を上げた。 |
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大弛峠登り口 |
シラビソ(コメツガ)の林 |
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車窓から建造物のような異様物体が山の頂きに見えた。Tさんに頼んで途中停車し、200万画素のカメラで撮ってみた。これは液晶が駄目になっているので、明るいところは”勘”で構図を決めてシャッターを押す。このカメラは画素数が少ないが色が素直に撮れる。 (一番上の写真) |
もう一台の300万画素は、レンズが伸びて来ない。接触の所為か、時折何かの拍子で、レンズが伸びて使えるようになる。今回も試しに電源をONにすると、レンズが 素直に伸びて使えた。何処も触っていないのに、山の高度のお陰なのかと思った。いずれにしてもこれで十分だった。 |
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大弛 (おおたるみ)峠に到着する。9:25、登り始めるが、針葉樹林の間を縫うように歩く。樹林は人の肩幅もないくらいに密集している。Tさんが、最初を登りきるとあとは緩やかな登り下りが続くだけだと教えてくれた。凡そ10分ほど登ると、その急坂は登りきったようだ。写真上の分岐を表す標の『四六』が目印だ。 |
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峠のケルン |
バイケイソウ |
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ナナカマドと思える木が点々と見える。前夜、無風酷暑の我家で寝不足の為か、気分が優れない。9:50分朝日峠に到着した。そこには何故だかケルンの上にストックが置いてあった。 |
ここからはバイケイソウが目立って多くなった。そして、先ほどブナと間違えた岳樺(ダケカンバ)の大木も同じように目を惹きつける。そして、先を行くTさんの首には大粒の汗が光っていた。 |
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シャクナゲの花 |
花崗岩の岩稜 |
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10:15シャクナゲの花が咲いている。山でこの花を見るのは初めてだった。町で見た事はあるが、尾瀬の歌詞に歌われた”シャクナゲ色”とはこのピンク色なのかと思った。 |
この山が3回目のTさんが最初の山に着いたと言った。花崗岩がニョキニョキとしたところを登ると確かに展望は良かったが、その朝日岳はまだ先だった。右手には奇妙な金槌のような石の山が見えた。 |
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奇怪な岩山 |
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枯れた木々 |
朝日岳山頂標識 |
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その先にあった枯れた木々の林、車から見えたのはここだと分かった。凡そ10分ほど進む、10時25分に朝日岳(2579m)に到着した。 |
頂上には5組のパーティが休憩していた。私はここまでで十分だった。その先の金峰山はガスで全く見えない。 |
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朝日岳から鉄山を見る |
最鞍部 |
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歩き足りないTさんを止めて、ここで休憩にした。出来ればガスが飛ばされるまでここに居たかったが、午後には雨の予想があったのでそれは期待薄だった。 |
10時35分に出発した。鞍部迄100m位下ったように思えた。10時55分に鞍部に到着する。 |
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鉄山標識 |
鉄山からの道 |
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ここからまた登りの始まりである。僅か100m強の高度差である。15分も登れば着くはずである。11:00鉄山(はがねやま)に到着。 |
山を表す標は倒れていた。シラビソの木が、黒い実を上にチョコンと付けていた。 |
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シャクナゲの道 |
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金峰山稜線 |
金峰山稜線 |
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そして鉄山を過ぎ3分も進むと、シャクナゲの大きな木が点在したので上を向いて歩いた。 |
11:25、僕達より太めの人が、ストックを使い大きな息使いで迫ってきた。シャクナゲの花が咲いている場所なので、先に行ってもらった。 |
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金峰山山頂標識 |
右の稜線を見る |
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何であんなに重量が多いのに早く歩けるのだろうか、不思議だった。しかし、シャクナゲの道を抜けると、そこはケルンが並ぶ金峰山の庭園だった。 |
あと僅かな距離で到着である。朝日岳、金峰山迄は片道僅か2時間のコースである。丹沢で言えば塔ヶ岳より格段に短い距離である。しかし、標高2598mで、一般的には”高山”と言われている。 |
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五丈岩正面 |
五丈岩後ろ |
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大きな岩を潜ると、山頂標識が立っていた。記念撮影もしないで、その先の五丈岩に、私の興味と行動は完全に動き始めていた。Tさんを引張るように、岩に進んで行った。 |
狙いはあの頂上に立つ事だった。カメラをTさんに渡し、岩に進んだが、単独行の登山者が、この裏側も見る価値があると教えてくれた。その発想が無かった自分を責めつつも、Tさんからカメラを受取り廻ってみた。 |
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五丈岩の上から金峰山山頂を見る |
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亀が頭を出したような岩 |
一部青い空が広がる |
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すると、前からの景色と違い、更に巨大な岩が重なり合って出来ているのが分かった。五丈だから15mの大岩という事がしみじみと分かった。 |
馬鹿と煙は高いところにと言うので、丹沢”馬鹿”はやはり上まで登らねばならないと進んだ。最後の難所で、登った後の下だりが不安になり断念したが、後で別ルートで下りられ事に気付き悔やんだ。 |
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Tさんにあれが『ミズガキヤマ』と教えてもらった山は奇異な岩山だった。その山の様子から、天から降ってくる雨をあの山が”掻き分ける”のでその山名が付いたのか?と聞いたが、漢字が違うと返事があった。家に帰ってから調べると確かに違っていた。瑞牆山(みずがきやま)と書いて、神社などの垣根を言うらしかった。 |
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金峰山山小屋 |
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雷の音が鳴り響いた。稜線は危ないので直ぐに逃げられる場所まで移動して食事にした。ここでTさんが持参した缶チューハイを飲み、食事も腹いっぱい食った。そして本来なら休む時間を設定するのだが、雨がパラパラと落ちてきた。 |
12:50、急いで下山に向った。下りなのに足が中々進まず、体調がおかしい。雨は降ったり止んだりである。鉄山の小さな登り返しで息が切れた。休みが多くなり、下りにすれ違った人が頂上から折り返し、私を抜き去っていく。 |
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金峰山稜線下り |
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瑞垣山 |
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13:20鞍部に着いた。ここから益々ひどくなった。目の前が一瞬暗くなった。完全な貧血状態だった。このまま動けなくなってしまうような落ち込んだ気持ちになった。吐き気もする。完全に高山病である。食べすぎとアルコールがそれに拍車をかけた。Tさんに先に行ってもらいゆっくりと朝日岳を登った。僅か30m位の高度差をなかなかクリ ヤする事が出来ない。15:10、やっとの思いで駐車場に到着した。登りよりも時間が掛ってしまった。 |
更にアクシデントは続いた。Tさんの異常な車の運転が始まった。彼に聞くと腰が痛いだけと言うが、ブレーキを訳も無く踏み、スピードは20km/Hの更に下になっていた。再度確認すると、半ば眠って運転をしていたらしい。私に気を使って腰が痛いといっていたが、眠む いのを我慢していたようだった。 運転を替わり私がハンドルを握った。時折乱暴な運転に目を覚ますTさん。それでも眠気が取れたらしく、道の駅で交替し家路に向った。 |
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<交通> 車 中央道を勝沼ICで降りる。下りて二つ目の信号を塩山方向に左折する。塩山駅を過ぎ、直ぐに左折し恵林寺に向かう。 寺を過ぎて右折し、暫く進むと長いトンネルを走る。そこを左折するととま口になる。 そこから延々と山道を登る。全て舗装されているが所何処で狭くなっているので注意。 |
<コンビニ> 塩山駅を左折し暫く行くと左にセブンイレブンがある。但し、それを過ぎると見当たらなかった。 帰りに道の駅で巨峰のジュースを購入、家で冷やして飲むとこれが美味しかった。 |
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<時間> 大弛峠〜(25分)〜朝日峠〜(35分)〜朝日岳〜(35分)〜鉄山〜(35分)〜金峰山 小計 2時間10分 <下りは全く参考になりません。一般的には、凡そ2時間弱だと思われます> |
<費用> 高速料金 2600円(相模湖〜勝沼) GAS代 3725円(30L*125円 距離 240km) 二人の為半額負担 約3200円
弁当 1000円 合計4200円 |
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軽く見ていた2000m級の山だったが 、2500mにもなると高山病を頭に入れて行動しないと、危険なことを苦しいほどに経験した。 また、奥秩父の山々は岩に覆われた頂が多く荒々しくも感じる。いずれにしても安く且つ手軽に2000m級の山を楽しめるので、暑い夏場には打ってつけの山である。
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