同角ノ頭・大石山

   
 

同角ノ頭はブナの大木がどっしりと構え、そして、大きな石が点々と配置されていた。乗越から見上げたこの山に、それほど期待は出来なかった 。しかし、頂上付近の最後の木道を渡ってからは、ここの素晴らしさに感激した。

 
   
 

乗越から少し登って振返ると、分岐周辺が見えた。このルートはツツジ新道よりもツツジの花数が多い。

 
   
 

更に登ると石棚山が右手に見えた。ここは殆ど登る人がいない。そして、細い道と木組の階段が幾つも続いた。

 
 

左側にブナの大木が見えて、周りに柵が施してあった。そこをよく見ると黄色い花が沢山咲いていた。白いブナと緑の草と黄色い花、これは可愛い景色だった。

 
 

木道を外れる訳にはいかないので、金柵の手前から写真を撮り満足して歩を進めると、今度は大きな石にコケが生え、そしてそこにまたまた黄色い花が咲いていた。人も来ないので この景色は自分が独占している。そんな満足感・充実感があった。

 
   
 

何枚か写真を撮っていると、人がやってきた。 やっぱり人は来るんだ。

最近は自分から進んで会話することが無く、今回も軽い会釈程度で通り過ぎると思っていたが、話掛けられた。

『花が少ないですね。一昨年はこの手前が最高に綺麗でした。』、『桧洞丸よりもですか?』、『木の数は劣りますが、白と赤のバランスが良かったですね。』、『そうですか。昨年よりも更に開花は少ないですよね。来年の楽しみがまたできましたね。』、そう言いながら、お互いの今日のルートを聞いて分かれた。その人は、石棚から来られた方だった。

 
   
 

のろのろと三脚を担いで歩いていると、今度は女性に抜かれた。

頂上に着いたら、ベンチでこの女性が食事中だった。また、向こうから話掛けてきた。

『いい写真は撮れますか?』、『腕が悪いので駄目ですね。』、それで暫く会話が止まった。すると、『昨年はツツジが綺麗だったんですが、今年は少ないですわね。』と、女性がまた口火を切った。

先ほどの男性と同じ内容の返事をしたが、この女性もこの山のツツジと、更に大石山の景色を褒めていて、『絶対大石山には行った方が良いわよ。』と進められ、『 丹沢では珍しいイワカガミも見ることが出来るわよ。』と言われた。

 
   
 

まさかアルプスや八ヶ岳でもあるまいしとは思ったが、是非とも見たくなった。そして、ここから戻るにも、テシロノ頭の急坂があるので当然このまま進んだ。

 
   
 

食事中の女性に『お先に』と声を掛けて進んだが、数分もしないうちに抜かれてしまった。そういえばこの人はこれから雨山峠を越して帰ると言っていた。達者な女性だった。 私を追い抜きながら『ここに咲いていますよ。』と大きな声で花の位置を教えてくれた。

 
   
 

石小屋ノ頭が遠くに見える場所(キレット)で、その女性に更に向の見えないところに大石山があると言われた時は、さすがにバスの時間が気になってきた。 大石山はとても遠くに思えた。

石小屋ノ頭から更に小ピークを越えて、大石山の手前についた。そこは白い砂と芽吹いたばかりの赤い葉のコントラストが素敵で、北アルプスの烏帽子岳を思い出した。

 
   
 

鎖場を登りきり、大石山に到着すると、そこからの眺めもまた格別だった。あの猛者女性に感謝した。

 
   

 

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