富士山

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この山の道標は行けども行けども六合と七号が続いた。さっき六だったのにまた六合、やっと七 合になったと思ったらまた七合で先がどれほどあるのか分からなくて不安になった。

八合目辺りで気持ちが悪くなってきた。いよいよ酸欠になってきた。休憩時間を長めにとった。先ほど購入した酸素缶を空けた。回りもこの辺りで高山病の症状が出ている人が多かった。部活の延長で来ているようなユニホームの若者もいた。-1-

下界には雲が広がっているがここは雲上で直射日光が痛い。太陽光と酸欠の闘いが続いた。

それでも、鳥居を潜るともう目の前に頂上があった。しかし、ここからは20mも進むと呼吸が出来なくなってしまう。不整脈に拍車がかかる。いっそ下山しようと思ったが、定年を迎えた先輩達が登って、自分がギブアップはできない。-2-

富士登頂
天子ヶ岳

最後の急な登りになるともう殆ど止まっている時間が長かった。数メートルの頂きまでの高度が一気に登れない。情けなくなった。結局、13時にやっと到着した、5合目から4時間も掛かった。普通なら2時間チョットで上れる高度であった。頂上で弁当を食べ、水を飲んでホッとした。頂上小屋で買い物をしようと思ったが、閉店の準備をしていて慌しかったので入らなかった。

富士周辺
十二ヶ岳

お鉢巡りをするほどの心臓を持ち合わせていなかったので少し辺りを歩いた。風が吹くと手が直ぐにかじかんだ。 記念写真を撮り下山した。下山中も少し早く進むと酸欠になるのでセーブして下りた。4合目から歩いた分、高所になれたのでこの程度で終ったと思った。  -4-

下山して暫くはもうあんな山登りたくないと思った。

しかし、1ヶ月もたつともっと楽に登れる方法があるのではないか?自分も体力がついてきたのでもっと早く登れるのではないか?と考えるようになり、また登ろうと思った。やっぱり山馬鹿な自分だった。その翌年5月の連休に奥さんと五合目まで車で行った。雪が残っていた。奥さんを残して一人で登りはじめ7合目まで登り 、雪の富士山をチョット体験してから、鬼になって待っている奥さんの所に急いだ。-5-

紅葉台
金時山