フェミニスト・カウンセリング 

  私たちは、CR、グループワーク、講座、カウンセリングなどを
  通しての女性へのサポート、
  当事者を支える家族、友人などへの精神的なサポート、
  他機関や社会資源とのネットワーク作り、
  他機関や有効な社会資源へのケースマネージメント的な紹介、
  ニューズレターやホームページなどでの情報の収集と発信
  などを行っています。

  その、私たちの活動の基礎になっているのが、
  「フェミニスト・カウンセリング」の考え方です。

フェミニスト・カウンセリングの歴史

・1960年代、70年代の女性解放運動の中で、意識覚醒のための
 グループ(CR)が作られ、女性たちが自分の生活や考えを話し始めました。

・その中で女性たちは、自分たちが無力感や怒り、欲求不満、何かが
 欠けている不完全な人間という感覚などを、お互いに共有し合っている
 ということを発見しました。

・そのことによって、個々の女性が抱える問題は、単に個人的な問題ではなく、
 女性の置かれた社会状況によって引き起こされるものだということが
 わかってきました。

・そのようにして、フェミニズムの思想や、フェミニスト・カウンセリングの
 理論が作られ、実践されていったのです。

フェミニスト意識

「フェミニスト意識」として、次の4つがあげられます。
 @グループに属する女性は、従属的な立場にあり、自己決定の機会を
  奪われているという認識。
 Aこのような状況は自然ではなく社会的要因の結果であり、それは
  変えられなければならない。
 B女性はこの状況を変えるために、ともに手をつながなければならない。
 C女性は、今までの社会状況に代わるヴィジョンを持たなければならない。

フェミニスト・カウンセリングとは?

フェミニスト・カウンセリングは、上にあげた「フェミニストの意識」を
考え方の基礎にしています。
フェミニスト・カウンセリングの特徴として、次の5点が考えられます。

 @クライエントへの共感・受容。
 Aクライエントの自分を見つめていく作業を通しての成長。

    ここまでは、従来のカウンセリングも同じですが、
    次からがフェミカンならではのところです。

 Bジェンダー社会に生まれ、「女性として」育てられる過程で
  身につけた制約や、「女性だから」押しつけられる抑圧に
  対応する中で作られていった意識に気づいて変えていく。

   ※女性が「当然」だと思っていることを、
     「もし、男(夫、息子、男性社員…)だったら
      そうするだろうか?」と考えてみるとわかりやすい。
     逆に男性なら簡単にしていることを女性が躊躇するものが
     ないかも、考えてみるとおもしろい。

     たとえば、配偶者の親の介護、
           友人に急に食事に誘われて、
           仕事の帰りに電話一本で行けるか など。

 C従来の価値観や枠組みとは違った視点で悩みや苦しみを
  とらえなおし、そのことによって、クライエント自身が今までとは
  違った視点で自らの問題を解決していけるよう援助する。

   ※たとえば、
     「結婚しない女性=女として未成熟」とされているが、
     「女性の自己実現や自己表現を阻害する結婚制度の問題」
     ととらえてみる など。
                     
 Dそういう作業を通して、女性をエンパワーメントし、
  女性が自分自身の力に気付き、自尊感情を回復し、
  自分自身で自分の人生を選び取っていけるような援助をする。

               ◇

私たちは、「勝手に枠に はめない」ということが基本だと思っています。
「常識」「当たり前」などと言われている枠、
「本来、こうあるべき」という枠、…
今、ある枠をはずして、次の新しい枠にはめてしまうこともよくあることです。
その人が何を感じているのか、
その人がどうしたいのか、
社会的な制約によって「そう思わされている」という可能性も考えながら、
それぞれの人が、自分自身の人生を自分で選び取れるような
サポートをしていきたいと考えています。

               ◇

参考文献:『フェミニストカウンセリングの未来』
       シリーズ〈女性と心理〉第4巻/河野貴代美編/新水社


活動の紹介へ戻る