暑寒別岳  1492

 

2017620日 晴れ  暑寒コース往復

 

登り・4時間50分(休憩時間含む)

下り・3時間20分(休憩時間含む)

 

過去の暑寒別岳

雨竜沼から暑寒別岳へ

箸別コースから暑寒別岳へ

 

 

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ルート図(増毛町の暑寒別岳登山ガイドから転写しました)

 

 

 

 

 

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 前日の内に増毛町から暑寒荘がある登山口まで入りました。家からの距離は147km(新十津川経由)です。浜益経由で海岸線を走ると30kmほど近くなるのですが、トンネルが多く、たまにトンネル内の修復工事で迂回させられることもあるので内陸を走りました。

 

 昼食にと「つるぬま道の駅」食べた十割そば≠ェ想定を超える美味しさでした。

 

 増毛町からアスファルト道路を走り、たどり着いた暑寒荘下の駐車場は30台が停められる大きさで、きれいに整備されていました。近くにある外トイレは太陽電池で照明もあり、何と水洗式でした。

 

 3階建ての暑寒荘は大きく、1階には食卓テーブルや台所と内トイレ、2、3階の寝室は個室仕様になっていました。

 周辺も手入れが行き届いていて、管理する増毛町の暑寒別岳に対する思い入れの深さを感じることが出来ました。

 

 

 

 

 

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 朝5時に山荘の裏手にある登山口を出発しました。届出ノートを見ると数組が早くも出発していました。枕や布団が変わると熟睡できない体質で、固い寝床に寝袋では当然のごとく寝不足の体調になってしまいました。しかし初めてのコースですから気持ちは期待で入れ込み気味になっています。

 登山道は明瞭で迷うことはありません。尾根までの道はほど良い傾斜で、思いの外快調に歩くことが出来ました。

 

 

 

 

 

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 30分もしないで尾根上の1合目に着きました。ここからは平坦で幅の広い登山道が続きます。朝日が左から射して来ます。風がほとんどないので早朝にも関わらず気温は結構高めになっています。

 始末に悪いのは立ち止まると群がって来る蚊の大群です。箸別コースを登った時は事前情報で蚊の多さを知り十分に対策をしたのですが、今回は時期が早いこともあって、普段から持ち歩いている防虫スプレーと虫刺され軟膏しか用意しませんでした。

 せめて防虫ネットを持って来れば良かったと嘆いても後の祭りでした。

 

 

 

 

 

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 「つつじヶ丘」では先行グループが蚊に悩まされながら休憩を取っていました。ここからは前方に暑寒別岳や西暑寒別岳を見ることが出来ました。

 

 

 

 

 

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 「佐上台」は尾根上にある小さなコブです。前方の眺望は得られませんが、後ろを振り向くと留萌方面の海岸線を見ることが出来ました。

 ここまで約3km、1時間もしないで着くことが出来ました。良し!今日は調子が良いぞ!と思ったのですが・・・

 

 

 

 

 

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 4合目辺りから登山道脇にシラネアオイの群落が見られるようになりました。気持ちの良い登山道ですが、風もないことから段々と身体が火照って来ました。ゆっくりと一息入れたいのですが、立ち止まると蚊が寄って来るのでペースを落としながらでも歩き続けるしかありません。

 

 

 

 

 

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 水場があると言う5合目は少し広くなっていました。端にある小さな水場は流れる水もなく、澱んで溜まっていました。とてもそのまま飲めるような水ではありませんでした。

 暑寒荘の案内板には5合目まで2時間、5合目から山頂までは2時間半と書いてありました。5合目標柱には「頂上まで3.8km、登山口まで6.2km」と書いてありますから、ここから登山道が険しさを増していくことが予想出来ました。

 

 

 

 

 

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 ここまで来る登山道から左前方に見えていた1076mの高台手前で雪渓が現れました。表面の汚れた雪を削り、ザラメ雪を手に持って首筋や額を冷やすと生き返る思いがしました。

 ここから見える雄冬方面の海岸線沖に白くなった水平線が見えました。

 

 

 

 

 

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 1076mの高台を登る男性はかなり手前で追い抜いたのですが、こちらのペースダウンのせいで早くも追い付かれてしまいました。最終的には山頂に着く前に下山して行きましたから、かなりの差を付けられてしまいました。

 

 この急登にはロープが付けられていますが、頼ることなく登ることが出来ました。斜面横の植生がササからハイマツに変化して行くのが確認出来ます。

 

 

 

 

 

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 7合目に来てやっと暑寒別岳の全貌を目の当たりにすることが出来ました。植生が変わったせいか、幾分蚊の数が減ったようです。それでも立ち止まるとそれなりの数で寄って来ます。

 

 

 

 

 

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 7合目を過ぎてすぐに「滝見台」に着きます。ここからは右奥に見える西暑寒別の北斜面を流れ落ちる小さな滝をいくつか見ることが出来ます。

 行く手には「扇風岩」ある8合目のコブを手前にして、暑寒別岳から西暑寒別岳のパノラマが広がっています。

 

 

 

 

 

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 「扇風岩」の手前から登って来た方向を振り返りました。1076mの高台からは小さなアップダウンを繰り返しながら尾根が続いているのが分かります。

 

 

 

 

 

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 8合目の「扇風岩」まで何とか辿り着きました。肉体的にも精神的にもやっとという感じでした。

 ここに上がる途中、両太ももに痙攣の前兆を感じてしまいました。身体の火照り、発汗、水分補給の不足などから血液が濃くなり、毛細血管まで血が行き渡らなくなったのでしょうか。

 ここからこの山の核心部となる頂上台地への急登が始まります。しかし、このままの体調で進めば太ももの痙攣は必ず起きてしまいます。はやる気持ちを落ち着かせ、岩陰に下りて大休止を取ることにしました。

 日の当たらない岩陰で身体の火照りを鎮め、こんな時にと用意してあった「芍薬甘草湯」を飲みました。これで痙攣を抑えることが出来たら急登も怖くはありません。

 15分ほどの休憩で呼吸も整い、太ももの違和感も消えたので、最後の大斜面に向かって歩き始めることにしました。

 

 

 

 

 

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 「扇風岩」を下から写しました。自分が持っている1983年発行の「空撮登山ガイド」には「屏風岩」と記されています。ちなみに1076mの高台は「炭釜ノ上」という面白い名が付いていました。

 ちょうど「つつじヶ丘」で追い抜いたグループが登って来たようで、岩の上で休憩をするようでした。

 

 

 

 

 

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 「扇風岩」からは少し下ります。ハイマツや灌木が茂る平坦地に段々と高度を上げる登山道が真っ直ぐ延びていました。

 中央の大きな台地が頂上に見えますが、右奥に見える小さな台地が三角点のある頂上です。

 

 

 

 

 

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 9合目に向かう途中から「扇風岩」を振り返って見ました。地形的には「扇風岩」が尾根筋の終了地点だと言うのが分かります。

 

 

 

 

 

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 「扇風岩」で休んでいたグループが追い抜いて行き、また9合目で休んでいました。上手に休憩を取っているようで、自分のように休みを取らず、ズルズルとゆっくり歩くのとは対照的でした。

 

 

 

 

 

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 頂上台地へ登る急斜面から後ろを振り返りました。「扇風岩」や1076mの高台、その向こうまでを見下ろすことが出来ました。歩いていると地形の分かりにくい登山道ですが、ここから見ると1本の尾根上にあることが分かります。

 急斜面の所要時間は約20分、太ももの痙攣も起きずに登り切ることが出来ました。恐るべし!「芍薬甘草湯」と言ったところでしょうか。

 

 

 

 

 

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 登り切った先は限りなく広いハイマツ帯でした。その先に小高い丘のような山頂部が見えました。登山道の周りは高山植物が咲き乱れていて、ここまでの苦労をすべて帳消しにしてくれる癒しをもたらしてくれました。

 

 

 

 

 

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 箸別コースとの分岐点から山頂を眺めました。分岐にあった道標は折れてなくなり、基部だけが残されていました。以前は遠くからでも分岐と分かりましたが、今は近くまで来ないと確認出来ません。

 

 ここからはハクサンイチゲやキバナシャクナゲを始めとして、名のある高山植物が美しさを競うように咲き誇っています。その花を見ながら歩くだけでも、ここまで登って来た価値があるのだと思いました。

 

 

 

 

 

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 登山道右手のハイマツ帯越しに西暑寒別岳を見ました。まだ多くの雪渓が斜面を覆っています。背後に見える筈の雄冬山はもやって確認出来ませんでした。

 

 

 

 

 

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 東方向に目を向けると、南暑寒別岳と恵岱岳の間に雨竜沼湿原を確認することが出来ました。

 

 

 

 

 

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ハクサンイチゲの群落です。今が最盛期の様でした。

 

 

 

 

 

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7年ぶりの暑寒別岳です。喜びよりも疲労感がにじみ出ています。

 

 

 

 

 

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 山頂に着いた時は運悪くガスが上がって来て、眺望は全くありませんでした。しかし早い昼食を食べたり、岩の上に横になって体を休めている内に段々とガスが切れ始めました。

 少し待つ内に、もやってはいますが、群別岳(右)と奥徳富岳(左)の吊り尾根を見ることが出来ました。この右にある浜益岳や浜益御殿は確認出来ましたが、さすがに雄冬山までは確認することが出来ませんでした。

 それでもまったく見えないと諦めていた光景が目の前に現れたのですから、望外のご褒美になりました。

 

 

 

 

 

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 山頂での休憩時間は1時間。沢から吹き上げて来る微風で火照った身体もほぼ回復しました。登山靴も脱いで足首もリフレッシュしました。

 あの苦しかった5合目から8合目辺りの辛さは何処かに飛んで行ってしまいました。十分に山頂の雰囲気を味わったので下山することにしました。

 

 前を歩くのはワンちゃんを連れた熟年のご夫婦です。仲良く箸別コースへ下りて行きました。

 下山で気を付けなければならないのはつまづきによる転倒です。登りなら手を突くだけで済みますが、下りだと大怪我につながる危険性があります。山頂台地から下る急斜面はロープにつかまりながら慎重に下りました。

 

 

 

 

 

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 片道10q、往復20qの山歩きですから、いくら体調が戻ったと言っても疲れます。登りよりも少なくなったとはいえ、まだまだゆっくり休憩の出来る蚊の数ではありません。しかし無理にスピードを上げて膝に痛みを出さないようにと慎重に歩きました。

 

 尾根から下って暑寒荘の屋根が見えた時は正直、ホッとしました。裏手にある大きな靴洗い場で靴とスパッツを洗い、流れ出る冷たい水で顔と首筋を洗いました。本当は誰もいないので上半身の汗も拭き取りたかったのですが、蚊に刺されると思って我慢しました。

 

 帰りは増毛の町から浜益経由で海岸線を走って帰りました。気を付けなければならないのは疲れによる居眠り運転です。少し強めにクーラーを入れ、海岸線に出てからは窓を開けて走りました。

 厚田でソフトクリームを食べてクールダウンし、札幌に入ってからはお風呂に寄って汗を洗い流してスッキリしました。

 

 登っている時は「もう絶対来ない!」と考えていましたが、時間が経つと、今度はもう少し涼しい時期にと考えている自分がいました。

 体力の低下を存分に知った今回の山旅でしたが、それでも山の素晴らしさは変わりません。また次の山で「山はイイなあ!」と叫びたいものです。

 

 

 

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