羊蹄山 (ようていざん) 1898m(俗称・えぞ富士)

200295日 快晴

京極コース 喜茂別コース

 

支笏洞爺国立公園の広大な地域のほぼ中央、じゃがいも畑が延々と続く田園風景の中にすっくと立つ円錐形の独立峰「羊蹄山」。その容姿端麗な姿は富士山にも似ていることから蝦夷(北海道)の富士山に例えて、「えぞ富士」とも呼ばれて愛されている。

羊蹄山はアイヌ語で「マッカリヌプリ」「マチネシリ(雌岳)」と呼ばれていたという。江戸時代に入り和人がこの山を「後方羊蹄山(しりべしやま)」と呼ぶようになり、それがいつの間にか「ようていざん」と呼ばれるようになったようだ。「後方羊蹄山(しりべしやま)」は「後方」を“しりべ”、「羊蹄」を“し”と読むのだそうだ。

 

悪天続きだった8月とはうって変わって、9月に入ってからは好天が続いている。このチャンスを逃してなるものかと、おばさんの提案を聞き入れて羊蹄山を登ることにした。ガイドブックでは上級クラスに位置付けされるタフな山ということもあって、前日は真狩コース登山口にある「羊蹄自然の家」に宿泊し、近くにある「まっかり温泉」“羊蹄山丸見え露天風呂”に浸かってじっくりと鋭気を養った。

 夜が明けると同時に登り始めたのだが、風邪気味だというおばさんの体調がすこぶる悪い。1時間たっても、2時間たってもペースはいっこうに上がらない。ついには後から登ってくる登山者にどんどん追い抜かれる『アリの行軍』登山となってしまった。それでも晴れ渡った青空と、次々と繰り広げられる大パノラマに励まされ、何とか山頂に辿り着くことができた。

苦しみもがいて登り切ったおばさんの感激ぶりは、簡単には語り尽くせない程のものだった。

 

 

 

真狩村のじゃがいも畑と容姿端麗な羊蹄山。真狩村出身の有名人といえば、言わずと知れた「細川たかし」。♪わたし馬鹿よね〜お馬鹿さんよね〜〜。

 まだ薄暗い早朝の真狩登山口で登山届けに記入するおばさん。朝の5時半だというのに、もう数組の登山者が登山口に集まっていた。さすがに羊蹄山だと感心する。

 見通しの無い樹林帯を抜けると段々と展望が開けてくる。朝日を浴びながらつかの間の展望を楽しむ管理人。おばさんはというと体調不良で息も絶え絶え。

 6合目で休息をとるおばさん。後から来る登山者に次々と追い抜かれ、難行苦行の山登りとなる。それでも次々と現れる展望に心は晴れるのか、また登り続ける。

 8合目からガレ場を横切り9合目へ。遥か後方に見える「昆布岳」が低く、小さく見える。大分登ってきた実感を風景で感じることが出来る。

 9合目から火口壁に続く斜面にはナナカマドが紅く色付き始めている。高山植物の多く見られる斜面には「イワギキョウ」が可憐な花を咲かせていた。

登り切った所が火口壁の最低コル。大きなすり鉢状の「父釜」の向こうには最高点の頂上が見える。ここからちょうど時計回りに半周すると頂上に着く。 

旧避難小屋跡から倶知安の町を見下ろす。奥には岩内の町が見え、またその奥には積丹岳や余別岳が見える。何!小さくて分からないだって。それならここをクリック。 

 旧避難小屋跡から「母釜」「子釜」の右側を通って頂上に向かうおばさん。よくぞここまで頑張った。あと少しで札幌方面の大パノラマが見られるのだ。頑張れ!

山頂から見る「父釜」の全景。春先には山スキーやスノーボードで滑り降りる猛者もいるという。カメラのワンショットに収まり切らない程の大きさがある。

 昼食のあと、旧山頂で満足するおばさんを無理やり連れて新山頂へ。澄み切った青空に疲れ切った身体が徐々に回復していくのか笑顔が戻って来る。

 山頂で17年ぶりに出会った避難小屋管理人さんと記念撮影。管理人歴21年の貫禄がにじみ出ている。「ぶらりと山旅」のエセ管理人の方はなぜか謙虚でショボイ。

 山頂から険しい岩稜の真狩側火口壁を見る。今回はおばさんもいるので来た道を戻ることにする。17年前は時計と逆方向に一回りしたものだった。

 山頂から「尻別岳」を見下ろす。遠くには「徳舜瞥山・ホロホロ山」や「オロフレ山」が一望できる。何!小さくて分からないだって。それならここをクリック

 山頂から「洞爺湖」や「有珠山」、「噴火湾」の向こうの「駒ケ岳」を一望する。何!またも小さ過ぎて全然分からないだって。それならここをクリックだ。

 

登り(5時間45分・休憩時間含む)

下り(4時間10分・休憩時間含む)

真狩登山口

AM5:30

山頂

PM12:30

5合目

AM7:50

9合目避難小屋分岐

PM1:30

9合目避難小屋分岐

AM9:55

5合目

PM2:50

火口壁最低コル

AM10:25

真狩登山口

PM4:40

山頂

AM11:15

 

 

360度の大パノラマを楽しんだ後には、長くて苦しい下りが待ち構えている。案の定、体力を使い果たしているおばさんには厳しい下りとなり、膝をかばいながらの歩行は思いのほか時間が掛かり、登山口に着いた頃は薄暗くなり始めていた。

帰りも「まっかり温泉」に寄って疲れた汗を流し、静かに暮れていく羊蹄山を眺めながら厳しくて楽しかった登山の余韻を楽しんだ。