豚をおいしく肥らせて殺して食べるボクらなのら、『フランドン農学校の豚』。
っつーことで、『賢治童話を丸写しシリーズその30』だよん。(^ ^;
豚はもちろん自分の名が、白金と並べられたのを聞いた。それから豚は、白金が一匁(もんめ)
三十円することをよく知っていたものだから、自分のからだが二十貫で、いくらになるということ
も勘定がすぐ出来たのだ。豚はぴたっと耳を伏せ、眼を半分だけ閉じて、前肢(あし)をきくっと
曲げながらその勘定をやったのだ。
20×1000×30=600000 実に六十万円だ。六十万円といったならそのころのフランドンあたり
では、まあ第一流の紳士なのだ。いまだってそうかも知れない。さあ第一流の紳士だもの、豚が
すっかり幸福を感じ、あの頭のかげの方の鮫(さめ)によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろ
こんだのも、けして無理とは云われない。
ところが豚の幸福も、あまり永くは続かなかった。
(丸写しオシマイ)
『賢治童話を丸写しシリーズその30』でした。
『フランドン農学校の豚 』の漫画の紹介
@やまだ紫:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第2巻 .
◆ボクらの残酷性、ぐー。(^
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やまだ紫の漫画版『フランドン農学校の豚』は、豚を殺して食べるボクらの残酷性がぐー。
やまだ紫、っつー漫画家は初対面。クールタッチでよかったのら。
ボクらは豚をおいしく肥らせて殺して食べる、っつー言い訳のきかない現実を、豚も人間も
バランスよく描かれてるのら。畜産学の先生と水色の上着の若い助手がいんだにゃぁ。
原作との相性ビッタシ。豚肉まぃう〜。(^
^; 狂牛病の心配も無ぃしネ。(^ ^;
っつーことで、『フランドン農学校の豚』の漫画版、やまだ紫、ボクらの残酷性がぐー。(^
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「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」
【豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、ぐたっぐたっと歩き出す。】
【外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行った。】
歩き出しはぐたっぐたっ、歩いて行くのはぐたぐた mmm リアルですねぇ、豚の歩き方、
さっすがー賢治先生。
@ちらちら:【豚の方でも時々は、あの小さなそら豆形の怒ったような眼をあげて、そちらをちらち
ら見ていたのだ。】
Aぴたっ:【豚はぴたっと耳を伏せ、眼を半分だけ閉じて、前肢(あし)をきくっと曲げながらその勘
定をやったのだ。】
Bきくっ:【前肢(あし)をきくっと曲げながらその勘定をやったのだ。】
Cすっかり:【さあ第一流の紳士だもの、豚がすっかり幸福を感じ、あの頭のかげの方の鮫(さめ)
によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろこんだのも、けして無理とは云われない。】
Dにやにや:【あの頭のかげの方の鮫(さめ)によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろこんだの
も、けして無理とは云われない。】
Eどさり:【それから二三日たって、そのフランドンの豚は、どさりと上から落ちて来た一かたまり
のたべ物から、(大学生諸君、意志を鞏固(きょうこ)にもち給え。いいかな。)たべ物の
中から一寸細長い白いもので、さきにみじかい毛を植えた、ごく率直に云うならば、ラ
クダ印の歯磨楊子、それを見たのだ。】
Fぎょっ:【豚は実にぎょっとした。】
Gザラッザラッ:【一体、その楊子の毛を見ると、自分のからだ中の毛が、風に吹かれた草のよ
う、ザラッザラッと鳴ったのだ。】
Hくらくら:【豚は実に永い間、変な顔して、眺めていたが、とうとう頭がくらくらして、いやないやな
気分になった。】
Iくるっ:【いきなり向うの敷藁(しきわら)に頭を埋めてくるっと寝てしまったのだ。】
Jさくさく:【気分がいいと云ったって、結局豚の気分だから、苹果(りんご)のようにさくさくし、青ぞ
らのように光るわけではもちろんない。】
Kどしゃっ:【最も想像に困難なのは、豚が自分の平らなせなかを、棒でどしゃっとやられたとき
何と感ずるかということだ。】
Lずんずん:【さて豚はずんずん肥(ふと)り、なんべんも寝たり起きたりした。】
Mじっ:【フランドン農学校の畜産学の先生は、毎日来ては鋭い眼で、じっとその生体量を、計算
しては帰って行った。】
Nきちん:【「も少しきちんと窓をしめて、室(へや)中暗くしなくては、脂(あぶら)がうまくかからんじゃ
ないか。それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな、毎日阿麻仁(あまに)を少しず
つやって置いて呉れないか。」】
Oそろそろ:【「それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな、毎日阿麻仁(あまに)を少しずつや
って置いて呉れないか。」】
Pすっかり:【豚はこれをすっかり聴いた。】
Qじっ:【(とにかくあいつら二人は、おれにたべものはよこすが、時々まるで北極の、空のような
眼をして、おれのからだをじっと見る、実に何ともたまらない、とりつきばもないようなき
びしいこころで、おれのことを考えている、そのことは恐い、ああ、恐い。)】
Rむちゃくちゃ:【豚は心に思いながら、もうたまらなくなり前の柵を、むちゃくちゃに鼻で突(つ)っ
突いた。】
Sペタリ:【さあそこでその頃は、牛でも馬でも、もうみんな、殺される前の日には、主人から無理
に強いられて、証文にペタリと印を押したもんだ。】
21ぼろぼろ:【ごくとしよりの馬などは、わざわざ蹄鉄をはずされて、ぼろぼろなみだをこぼしなが
ら、その大きな判をぱたっと証書に押したのだ。】
22ぱたっ:【その大きな判をぱたっと証書に押したのだ。】
23じろじろ:【おまけに校長がじろじろと豚のからだを見ることは全くあの畜産の、教師とおんなじ
ことなのだ。】
24こわごわ:【豚はかなしく耳を伏せた。そしてこわごわ斯(こ)う云った。】
25しいん:【それから農学校長と、豚とはしばらくしいんとしてにらみ合ったまま立っていた。】
26じいっ:【ただ一言も云わないでじいっと立って居ったのだ。】
27カサカサ:【おまけにその晩は強いふぶきで、外では風がすさまじく、乾いたカサカサした雪の
かけらが、小屋のすきまから吹きこんで豚のたべものの余りも、雪でまっ白になった
のだ。】
28じいっ:【畜産の教師は鋭い目で、もう一遍じいっと豚を見てから、それから室を出て行った。】
29げたげた:【ところが次の朝になって、やっと太陽が登った頃、寄宿舎の生徒が三人、げたげ
た笑って小屋へ来た。】
30しんしん:【そして一晩睡らないで、頭のしんしん痛む豚に、又もや厭な会話を聞かせたのだ。】
31どっ:【一人が斯(こ)う答えたら三人共どっとふき出しました。】
32ほやほや:【「暖かそうだよ。どうだ。湯気さえほやほやと立っているよ。」】
33よろよろ:【豚はあんまり悲しくて、辛くてよろよろしてしまう。】
34ばたばた:【入口でばたばた雪を落して、それから例のあいまいな苦笑をしながら前に立つ。】
35はっきり:【「そうかい。それはいいね、ところで実は今日はお前と、内々相談に来たのだが
ね、どうだ頭ははっきりかい。」】
36とうとう:【とうとう豚はこらえかねてまるで泣声でこう云った。】
37ぎくっ:【校長はぎくっとしたが気をとりなおしてこう云った。】
38ぷんぷん:【校長はぷんぷん怒り、顔をまっ赤にしてしまい証書をポケットに手早くしまい、大
股に小屋を出て行った。】
39どっ:【けれども半日ほど泣いたら、二晩も眠らなかった疲れが、一ぺんにどっと出て来たので
つい泣きながら寝込んでしまう。】
40ぶるっ:【その睡(ねむ)りの中でも豚は、何べんも何べんもおびえ、手足をぶるっと動かした。】
41じっ:【助手は唇へ指をあて、しばらくじっと考えて、それからぼんやり返事した。】
42ぼんやり:【助手は唇へ指をあて、しばらくじっと考えて、それからぼんやり返事した。】
43ぐるぐる:【「それでこいつはぐるぐるして昨夜一晩寝ないんだな。」】
44キリキリ:【教師は実に口惜しそうに、しばらくキリキリ歯を鳴らし腕を組んでから又云った。】
45そろそろ:【「日の照らない処を、厩舎の陰のあたりの、雪のない草はらを、そろそろ連れて歩
いて呉れ。」】
46だんだん:【「それからだんだん直ったら今まで通りにすればいい。」】
47ぼんやり:【教師は教員室へ帰り豚はもうすっかり気落ちして、ぼんやりと向うの壁を見る、動
きも叫びもしたくない。】
48ピシッ:【「少しご散歩はいかがです。今日は大へんよく晴れて、風もしずかでございます。それ
ではお供いたしましょう。」ピシッと鞭がせなかに来る。全くこいつはたまらない。】
49のそのそ:【ヨークシャイヤは仕方なくのそのそ畜舎を出たけれど胸は悲しさでいっぱいで、歩
けば裂けるようだった。】
50ゆっくり:【助手はのんきにうしろから、チッペラリーの口笛を吹いてゆっくりやって来る。】
51ぶらぶら:【鞭もぶらぶらふっている。】
52こてっ:【こてっとぶたれて散歩しながら豚はつくづく考えた。】
53つくづく:【こてっとぶたれて散歩しながら豚はつくづく考えた。】
54ごろっ:【豚は仕方なく又畜舎に戻りごろっと藁に横になる。】
55ちらっ:【ちらっと豚を一眼見て、手を振りながら助手に云う。】
56どしどし:【「そして肥育器を使うとしよう、飼料をどしどし押し込んで呉れ。」】
57さっぱり:【「校長もさっぱり拙(まず)いなぁ。」】
58すっかり:【豚はすっかりおびえて了(しま)い、「つきます。つきます。」と、かすれた声で云った
のだ。】
59じっ:【校長はじっと眼鏡(めがね)越しに、豚の小さな眼を見て云った。】
60びくびく:【豚は口をびくびく横に曲げ、短い前の右肢(あし)を、きくっと挙げてそれからピタリと
印をおす。】
61きくっ:【短い前の右肢(あし)を、きくっと挙げてそれからピタリと印をおす。】
62ピタリ:【きくっと挙げてそれからピタリと印をおす。】
63ばたばた:【豚はばたばた暴れたがとうとう囲いの隅にある、二つの鉄の環に右側の、足を二
本共縛られた。】
64ぎしぎし:【助手はぎしぎしその管を豚の歯の間にねじ込んだ。】
65だんだん:【豚はいくら呑むまいとしても、どうしても咽喉で負けてしまい、その練ったものが胃
の中に、入ってだんだん腹が重くなる。】
66がやがや:【あるときは生徒が十人ほどやって来てがやがや斯(こ)う云った。】
67ゴツゴツ:【あんまり豚はつらいので、頭をゴツゴツ板へぶっつけた。】
68はあはあ:【三足で息がはあはあした。】
69ようよう:【豚はまるで潰れそうになり、それでもようよう畜舎の外まで出たら、そこに大きな木の
鉢に湯が入ったのが置いてあった。】
70パチッ:【助手が又一つパチッとやる。】
71チラッ:【そのブラッシをチラッと見て、豚は馬鹿のように叫んだ。】
72ぞくぞく:【寒さがぞくぞくからだに浸(し)みる。】
73ゴウゴウ:【それに今朝からまだ何も食べないので、胃ももうからになったらしく、あらしのように
ゴウゴウ鳴った。】
74しんしん:【豚はもう眼もあけず頭がしんしん鳴りだした。】
75ギーギー:【「連れ出してあんまりギーギー云わせないようにね。まずくなるから。」】
76はあはあ:【豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、ぐたっぐたっと歩き出す。】
77ぐたっぐたっ:【ぐたっぐたっと歩き出す。】
78カッ:【俄(にわか)にカッと明るくなった。】
79ぐたぐた:【外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行っ
た。】
80ちらっ:【ちらっと頭をあげたとき、俄に豚はピカッという、はげしい白光のようなものが花火の
ように眼の前でちらばるのを見た。】
81ピカッ:【俄に豚はピカッという、はげしい白光のようなものが花火のように眼の前でちらばる
のを見た。】
82キーン:【天上の方ではキーンという鋭い音が鳴っている。】
83ごうごう:【横の方ではごうごう水が湧いている。】
84はあはあ:【とにかく豚のすぐよこにあの畜産の、教師が、大きな鉄槌を持ち、息をはあはあ吐
きながら、少し青ざめて立っている。】
85クンクン:【又豚はその足もとで、たしかにクンクンと二つだけ、鼻を鳴らしてじっとうごかなくな
っていた。】
86じっ:【鼻を鳴らしてじっとうごかなくなっていた。】
87ザクッ:【助手が大きな小刀で豚の咽喉(のど)をザクッと刺しました。】
『フランドン農学校の豚』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
2006.2.11.
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