『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;
   旧暦の六月二十四日の晩でした。   ふくろうの坊さんの講釈なのら。『二十六夜』      北上川の水は                                                        黒の寒天よりももっとなめらかにすべり                              獅子鼻は微(かす)かな星のあかりの底に                         まっくろに突き出ていました。


 イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
        獅子鼻の上の松林は、もちろんもちろん、                         まっ黒でしたがそれでも林の中に入って行きますと、              その脚の長い松の木の高い梢が、                                 一本一本空の天の川や、                                          星座にすかし出されて見えていました。                    松かさだか鳥だかわからない黒いものが                            たくさんその梢にとまっているようでした。
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー
です。

★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★

 
  んで、回目の今回は、


       ***** 新編 風の又三郎 *****       .
       新潮文庫 438円 307p 表紙:加山又造 注解・解説・年譜:天沢退二郎
                              そして林の底の萱(かや)の葉は                                    夏の夜の雫(しずく)をもうポトポト落として居りました。
                 やまなし
───────── 7p
                 貝の火
───────── 29p
                 蜘蛛となめくじと狸
─────17p
                 ツェねずみ
──────── 9p
                 ク
ねずみ──────── 11p
                 蛙のゴム靴
────────17p→ ここまではページです。
                 二十六夜 ──────── 28p
                 雁
(かり)の童子─────── 15p
                 十月の末
 ──────── 10p
                 フランドン農学校の豚
 ─── 20p
                 虔十
(けんじゅう)公園林 ──── 10p
                 谷
──────────── 9p
                 鳥をとるやなぎ─────── 8p→ ここからはページです。
                 祭の晩
────────── 7p
                 グスコーブドリの伝記
──── 42p
                 風の又三郎
 ─────── 55p の16短編です。
                   


 
 


新編 風の又三郎』の第七話です。
      爾(そ)の時に疾翔(しっしょう)大力(たいりき)、                  爾迦夷(るかい)に告げて曰(いわ)く、      諦(あきらか)に聴け、諦に聴け、                                   善(よ)くこれを思念せよ、      我今汝に、                                                           梟鵄(きょうし)諸(もろもろ)の悪禽(あくきん)、                  離苦解脱(げだつ)の道を述べん、と。      爾迦夷(るかい)、則(すなわ)ち、両翼を開張し、               虔(うやうや)しく頸(くび)を垂れて、座を離れ、                   低く飛揚(ひよう)して、                                              疾翔大力を賛嘆すること三匝(さんそう)にして、                 徐(おもむろ)に座に復し、      拝跪(はいき)して唯(ただ)願うらく、                               疾翔大力、疾翔大力、                                             ただ我等が為に、これを説きたまえ。      疾翔大力、微笑(みしょう)して、                                   金色(こんじき)の円光を以(もっ)て                                頭(こうべ)に被(かぶ)れるに、その光、                            遍(あまね)く、一座を照し、                                        諸鳥歓喜(かんぎ)充満せり。      則(すなわ)ち説いて曰(いわ)く、                                   汝等(なんじら)審(つまびらか)に                                   諸(もろもろ)の悪業(あくごう)を作る。
******* 『二十六夜』 28p *******
 

 ありがたいお経ってむずかしかぁ、んだどもていねいに講釈するふくろうのお坊さんのお陰
で、だんだんわがって来だ気になっだべさ、『二十六夜』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその27』だよん。(^ ^;

 「ただ今のご文
(もん)は梟鵄(きょうし)守護章というて、誰(たれ)も存知の有り難いお経の中の
一とこじゃ。ただ今から、暫時
(しばし)の間、そのご文の講釈を致す。みなの衆、ようく心を留
(と)めて聞かしゃれ。折角鳥に生れて来ても、ただ腹が空(す)いた、取って食う、睡(ねむ)くな
った、巣に入るではなんの所詮
(しょせん)もないことじゃぞよ。それも鳥に生れてただやすやす
と生きるというても、まことはただの一日とても、ただごとではないのぞよ、こちらが一日生きる
には、雀
(すずめ)やつぐみや、たにしやみみずが、十や二十も殺されねばならぬ、ただ今の
ご文にあらしゃるとおりじゃ。ここの道理をよく聴きわけて、必ずうかうか短い一生をあだにす
ごすではないぞよ。これからご文に入るじゃ。子供らも、こらえて睡るではないぞ。よしか。」
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその27』でした。


 二十六夜 以降しばらく漫画紹介できましぇん。

           申し訳なか。

 

 おそらく、たぶん、漫画版『二十六夜』はありましぇん。
 おそらく、たぶん、『(かり)の童子』も『十月の末』も漫画版はありましぇん。

 っつーことで、宮沢賢治童話の漫画紹介は、しばらくシバラク、お待ちくなさい。 スネオ 拝 (^ ^;


   二十六夜 お気に入りオノマトペ
                  疾翔(しっしょう)大力(たいりき)、                                  爾迦夷(るかい)に告げて曰(いわ)くと、       まず疾翔大力とは、いかなるお方じゃか、                         それを話さなければならんじゃ。    疾翔大力と申しあげるは、施身大菩薩のことじゃ。          もと鳥の中から菩提心を発して、                                   発願した大力の菩薩じゃ。    疾翔とは早く飛ぶということじゃ。          大力というは、お徳によって、たとえ火の中水の中、              ただこの菩薩を念ずるものは、捨身大菩薩、                     必ず飛び込んで、お救いになり、                                   その浄明(じょうみょう)の天上にお連れなさる、       その時火に入って身の毛一つも傷つかず、                        水に潜(くぐ)って、羽、塵ほどもぬれぬという、                     そのお徳をば、大力とこう申しあげるのじゃ。
 季節:旧暦の6月24〜26日

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
H
うかうか:【「ここの道理をよく聴きわけて、必ずうかうか短い一生をあだにすごすではない
      ぞよ。」】
L
ゆるり:【「みなの衆しばらくゆるりとやすみなされ。」】
43
プリプリ:【男のふくろうはもうとても斯(こ)うしていられないというようにプリプリしていまし
      た。】

▼ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
48
しいんしいん:【それにつれて林中の女のふくろうがみなしいんしいんと泣きました。】
51
しょぼしょぼ:【梟のお母さんが、大きな眼を泣いてまぶしそうにしょぼしょぼしながら尋ね
      ました。】
59
とろり:【「からだはつかれてとろりとなる」】
73
ぶるぶる:【穂吉はどうしたのか折られた脚をぶるぶる云わせその眼は白く閉じたのです。】
79
ばりばりばり:【それはそのお月さまの船の尖った右のへさきから、まるで花火のように美し
      い紫いろのけむりのようなものが、ばりばりばりと噴き出たからです。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
「みなの衆しばらくゆるりとやすみなされ。」
 
ゆるりとやすむ、mmm リラックスやなぁ。なごむにゃぁ。
 
ゆるり、とろり、mmm ここんとこしばらく、使ってまへんなぁ。疲れてるんかなぁ、ボク。


      ある年非常な飢饉が来て、                                         米もとれねば木の実もならず、                                      草さえ枯れたことがござった。        鳥もけものも、みな飢え死にじゃ                                    人もばたばた倒れたじゃ。        もう炎天と飢渇の為に人にも鳥にも、                              親兄弟の見さかいなく、この世からなる餓鬼道じゃ。        そのとき疾翔大力は、                                               まだ力ない雀でござらしゃったなれど、                              つくづくこれをご覧じて、世の浅間しさはかなさに、                 泪をながしていらしゃれた。        中にもその家の親子二人、                                         子はまだ六つになるならず、                                          母親とてもその大飢渇に、                                          どこから食(じき)を得るでなし、                                     もうあすあすに二人もろとも                                          見す見す餓死を待ったのじゃ。        このとき、疾翔大力は、                                             上よりこれをながめられ                                              あまりのことにしばしは途方にくれなされたが、                     日ごろの恩を報ずるは、ただこの時と勇みたち、                   つかれた羽をうちのばし、はるか遠くの林まで、                    親子の食(じき)をたずねたげな。        一念天に届いたか、ある大林のその中に、                        名さえも知らぬ木なれども、色もにおいもいと高き、              十の木の実をお見附けなされたじゃ。
******* 二十六夜オノマトペ *******
 

@ポトポト:【そして林の底の萱(かや)の葉は夏の夜の雫(しずく)をもうポトポト落して居りました。】
Aずうっとずうっと:【その松林のずうっとずうっと高い処
(ところ)で誰かゴホゴホ唱えています。】
Bゴホゴホ:【誰かゴホゴホ唱えています。】
Cしぃん:【俄に声が絶え、林の中はしぃんとなりました。】
Dごう:【しばらくたって、西の遠くの方を、汽車のごうと走る音がしました。】
Eごとんごとん:【その音は、今度は東の方の丘に響いて、ごとんごとんとこだまをかえして来まし

      た。】
Fじっ:【一疋
(ぴき)の大きなのは、林の中の一番高い松の木の、一番高い枝にとまり、そのまわ
      りの木のあちこちの枝には、大きなのや小さいのや、もうたくさんのふくろうが、じっとと
      まってだまっていました。】
Gゴホゴホ:【ゴホゴホ声が又起りました。】
Hうかうか:【「ここの道理をよく聴きわけて、必ずうかうか短い一生をあだにすごすではないぞ

      よ。」】
Iしいん:【林の中は又しいんとなりました。】
Jバチャン:【ただ下の北上川の淵で、鱒か何かのはねる音が、バチャンと聞えただけでした。】
Kばたばた:【鳥もけものも、みな飢え死にじゃ人もばたばた倒れたじゃ。】
Lゆるり:【「みなの衆しばらくゆるりとやすみなされ。」】
Mばたばた:【いちばん高い木の黒い影が、ばたばた鳴って向うの低い木の方へ移ったようでし

      た。】
Nばさばさ:【それと同時に、林の中は俄にばさばさ羽の音がしたり、嘴
(くちばし)のカチカチ鳴る
      音、低くごろごろつぶやく音などで、一杯になりました。】
Oカチカチ:【嘴
(くちばし)のカチカチ鳴る音、低くごろごろつぶやく音などで、一杯になりました。】
Pごろごろ:【低くごろごろつぶやく音などで、一杯になりました。】
Qチカチカ:【天の川が大分まわり大熊星がチカチカまたたき、それから東の山脈の上の空は

      ぼおっと古めかしい黄金(きん)いろに明るくなりました。】
Rぼおっ:【それから東の山脈の上の空はぼおっと古めかしい黄金
(きん)いろに明るくなりまし
      た。】
Sごとごと:【前の汽車と停車場で交換したのでしょうか、こんどは南の方へごとごと走る音がし

      ました。】
21ちらっ:【そのとき、黒い東の山脈の上に何かちらっと黄いろな尖
(とが)った変なかたちのもの
      があらわれました。】
22ざわっ:【梟
(ふくろう)どもは俄にざわっとしました。】
23すうっ:【二十四日の黄金
(きん)の角(つの)、鎌の形の月だったのです。忽(たちま)ちすうっと昇
      ってしまいました。】
24ぼおっ:【沼の底の光のような朧
(おぼろ)な青いあかりがぼおっと林の高い梢にそそぎ一疋(ぴ
      き)の大きな梟が羽をひるがえしているのもひらひら銀いろに見えました。】
25ひらひら:【一疋
(ぴき)の大きな梟が翅(はね)をひるがえしているのもひらひら銀いろに見えまし
      た。】
26ぶるぶる:【片っ方の翅
(はね)をひらいたり、片脚でぶるぶる立ったり、枝へ爪を引っかけてくる
      っと逆さになって小笠原島のこうもりのまねをしたりしていました。】
27くるっ:【枝へ爪を引っかけてくるっと逆さになって小笠原島のこうもりのまねをしたりしていまし

      た。】
28ぎらぎら:【すぐ上の枝に居たお父さんのふくろうがその大きなぎらぎら青びかりする眼でこっち

      を見ながら云いました。】
29はっきり:【眼のまわりの赤い隈
(くま)もはっきり見えました。】
30ばたばた:【二疋
(ひき)はばたばた、けり合ってはねが月の光に銀色にひるがえりながら下へ落
      ちました。】
31じっ:【「なぜ穂吉ちゃんのように、じっとおとなしくしていないんだろうねえ。」】
32しん:【じっとまっすぐを向いて、枝に止まったまま、はじめからおしまいまで、しんとしていまし

      た。】
33ゆらりゆらり:【その木の一番高い枝にとまりからだ中銀いろで大きく頬をふくらせ今の講義の

      やすみのひまを水銀のような月光をあびてゆらりゆらりといねむりしているのはたしか
      に梟のおじいさんでした。】
34すっかり:【蠍座は西へ沈むとこでしたし、天の川もすっかり斜めになりました。】
35ざわざわ:【急にざわざわがやんで、しずかにしずかになりました。】
36ゴホンゴホン:【坊さんの梟はゴホンゴホンと二つ三つせきばらいをして又はじめました。】
37りん:【そこは茂りあった枝のかげで、まっくらでしたが、二疋
(ひき)はどっちもあらんかぎりりん
      と眼を開いていましたので、ぎらぎら燐を燃したように青く光りました。】
38とうとう:【そこでとうとう二疋
(ひき)とも一ぺんに噴き出して一緒に、「お前の眼は大きいねえ。」
      と云いました。】
39もじもじ:【兄弟の穂吉という梟は、そこで大へんきまり悪く思ってもじもじしながら頭だけはじっ

      と垂れていました。】
40じっ:【そこで大へんきまり悪く思ってもじもじしながら頭だけはじっと垂れていました。】
41そっ:【二疋
(ひき)はもうそっと遁(に)げ出し、穂吉はいよいよ堅くなって、兄弟三人分一人で聴
      こうという風でした。】
42おろおろ:【女のふくろうにはおろおろ泣いているのもありましたし、男のふくろうはもうとても斯

      (こ)うしていられないというようにプリプリしていました。】
43プリプリ:【男のふくろうはもうとても斯
(こ)うしていられないというようにプリプリしていました。】
44びくびく:【それにあのゆうべの三人兄弟の家族の中では一番高い処
(ところ)に居るおじいさん
      の梟はもうすっかり眼を泣きはらして頬が時々びくびく云い、泪は声なくその赤くふくれ
      た眼から落ちていました。】
45しくしくしくしく:【もちろんふくろうのお母さんはしくしくしくしく泣いていました。】
46きちん:【乱暴ものの二疋
(ひき)の兄弟も不思議にその晩はきちんと座って、大きな眼をじっと
      下に落としていました。】
47ばたばたばたばた:【「さっきまではばたばたばたばた云っていたけれども、もう今はおとなしく

      臼の上にとまっているよ。」】
48しいんしいん:【それにつれて林中の女のふくろうがみなしいんしいんと泣きました。】
49そっ:【「すると、丁度子供が二人、草刈りに来て居ましたそうで、穂吉もそれを知らないうちに、

      一人がそっとのぼって来て、穂吉の足を捉(つか)まえてしまったと申します。」】
50ばたばた:【しばらくたって、またばたばたと一疋
(ぴき)の梟が飛んで戻って参りました。】
51しょぼしょぼ:【梟のお母さんが、大きな眼を泣いてまぶしそうにしょぼしょぼしながら尋ねまし

      た。】
52じっ:【梟の坊さんがそれをじっと見送っていましたが、俄にからだをりんとして言いました。】
53りん:【俄にからだをりんとして言いました。】
54おろおろ:【説教の坊さんの声が、俄におろおろして変りました。】
55ぐらぐら:【林の中はただむせび泣く声ばかり、風も出て来て、木はみなぐらぐらゆれましたが、

      仲々誰も泣きやみませんでした。】
56だんだん:【星はだんだんめぐり、赤い火星ももう西ぞらに入りました。】
57ゴホゴホ:【梟の坊さんはしばらくゴホゴホ咳嗽
(せき)をしていましたが、やっと心を取り直して、
      又講義をつづけました。】
58ちら:【「又ちらと鳴いて飛び立つじゃ、空の青板をめざすのじゃ、」】
59とろり:【「からだはつかれてとろりとなる」】
60ひやり:【「そのとき俄にひやりとする。」】
61ザアッ:【風がザアッとやって来ました。】
62ずうっ:【そして東の山からは、昨日の金角、二十五日のお月さまが、昨日よりは又ずうっと痩

      (や)せて上りました。】
63しょんぼり:【西の方からあの梟のお父さんがしょんぼり飛んで帰って来ました。】
64じっ:【またじっと眼をつぶっていると、その流れの音さえも聞えるような気がしました。】
65パチパチ:【穂吉は何か云おうとしたようでしたが、ただ眼がパチパチしたばかり、お母さんが

      代って答えました。】
66ひいひい:【「あの萱
(かや)原の中に落ちてひいひい泣いていたのでございます。」】
67ぼんやり:【穂吉はこれをぼんやり夢のように聞いていました。】
68ポキッ:【そのとき、ポキッと脚を折ったのです。】
69しんしん:【その両脚は今でもまだしんしんと痛みます。】
70ぐらぐら:【眼を開いてもあたりがみんなぐらぐらして空さえ高くなったり低くなったりわくわくゆれ

      ているよう、みんなの声も、ただぼんやりと水の中からでも聞くようです。】
71わくわく:【空さえ高くなったり低くなったりわくわくゆれているよう、みんなの声も、ただぼんやり

      と水の中からでも聞くようです。】
72びくっ:【みんなびくっとしました。】
73ぶるぶる:【穂吉はどうしたのか折られた脚をぶるぶる云わせその眼は白く閉じたのです。】
74パチッ:【穂吉はパチッと眼をひらきました。】
75ゆっくり:【「心暫くも安らかなることなしと、どうじゃ、みなの衆、ただの一時でもゆっくりと何の心
      配もなく落ち着いたことがあるかの。」】
76びくびく:【「もういつでもびくびくものじゃ。」】
77ぼおっ:【そこらはぼおっと明るくなり、下では虫が俄にしいんしいんと鳴き出しました。】
78しいんしいん:【そこらはぼおっと明るくなり、下では虫が俄にしいんしいんと鳴き出しました。】
79ばりばりばり:【それはそのお月さまの船の尖った右のへさきから、まるで花火のように美しい紫
      いろのけむりのようなものが、ばりばりばりと噴き出たからです。】

 『二十六夜』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                  2006.2.10.

 
 


新編 風の又三郎』の第八話です。
      流沙(るさ)の南の、                                                 楊(やなぎ)で囲まれた小さな泉で、      私は、いった麦粉を水にといて、                                    昼の食事をして居りました。      そのとき、一人の巡礼のおじいさんが、                            やっぱり食事のために、そこへやって来ました。   私たちはだまって軽く礼をしました。         けれども、半日まるっきり人にも出会わない                       そんな旅でしたから、      私は食事がすんでも、                                               すぐに泉とその年老(としと)った巡礼とから、                      別れてしまいたくはありませんでした。      私はしばらくその老人の、                                            高い咽喉仏(のどぼとけ)のぎくぎく動くのを、                      見るともなしに見ていました。      何か話し掛けたいと思いましたが、                                 どうもあんまり向うが寂(しず)かなので、                           私は少しきゅうくつにも思いました。

かり            .
******** 『雁の童子』 15p ********
 

 シルクロードの民話っぽいにゃぁ、『雁の童子』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその28』だよん。(^ ^;

 「雁の童子と仰
(お)っしゃるのは、まるでこの頃あった昔ばなしのようなのです。この地方にこの
ごろ降りられました天童子
(てんどうじ)だというのです。このお堂はこのごろ流沙(るさ)の向う側にも、
あちこち建って居ります。」
 「天のこどもが、降りたのですか。罪があって天から流されたのですか。」
 「さあ、よくわかりませんが、よくこの辺でそう申します。多分そうでございましょう。」
 「いかがでしょう、聞かせて下さいませんか。お急ぎでさえなかったら。」
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその28』でした。


   雁の童子 お気に入りオノマトペ
 季節:
不特定       ある明方、須利耶(すりや)さまが                                  鉄砲を持ったご自分の従弟(いとこ)の方とご一緒に、           野原を歩いていられました。      地面はごく麗(うる)わしい青い石で、                              空がぼおっと白く見え、雪もま近でございました。      須利耶(すりや)さまが                                               お従弟(いとこ)さまに仰(お)っしゃるには、                        お前もさような慰みの殺生を、                                      もういい加減やめたらどうだと、斯(こ)うでございました。      ところが従弟の方が、まるですげなく、                              やめられないと、ご返事です。      「お前はずいぶんむごいやつだ、                                      お前の傷(いた)めたり殺したりするものが、                        一体どんなものだかわかっているか、                                どんなものでもいのちは悲しいものなのだぞ。」      と、須利耶(すりや)さまは                                           重ねておさとしになりました。     「そうかもしれないよ。                                                  けれどもそうでないかもしれない。                                   そうだとすればおれは一層おもしろいのだ、                         まあそんな下らない話はやめろ、                                    そんなことは昔の坊主どもの言うこった、                            見ろ、向うを雁が行くだろう、おれは仕止めて見せる。」      と従弟の方は鉄砲を構えて、                                       走って見えなくなりました。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
@ぎくぎく:【私はしばらくその老人の、高い咽喉仏(のどぼとけ)のぎくぎく動くのを、見るとも
      なしに見ていました。】
24
とぼとぼ:【老人は黙って礼を返しました。何か云いたいようでしたが黙って俄に向うを向
      き、今まで私の来た方の荒地にとぼとぼ歩き出しました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Oぐんぐん:【なれども仔馬はぐんぐん連れて行かれます。】
23
ばったり:【何か大きな重いものが、遠くの空からばったりかぶさったように思われまし
      たのです。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
ぎくぎく、とぼとぼ mmm 老人っぽいにゃぁ。
 
【高い咽喉仏(のどぼとけ)のぎくぎく動く。】っつーのは、リアルだにゃぁ。

   私共は天の眷属(けんぞく)でございます。       罪があって只今まで雁の形を受けて居りました。       只今報いを果たしました。       私共は天に帰ります。       ただ私の一人の孫はまだ帰れません。       これはあなたとは縁のあるものでございます。       どうぞあなたの子にしてお育てを願います。       おねがいでございます。   
******** 雁の童子オノマトペ ********
 

@ぎくぎく:【私はしばらくその老人の、高い咽喉仏(のどぼとけ)のぎくぎく動くのを、見るともなし
      に見ていました。】
Aぼおっ:【地面はごく麗
(うる)わしい青い石で、空がぼおっと白く見え、雪もま近でございまし
      た。】
Bじっ:【須利耶
(すりや)さまは、その大きな黒い雁の列を、じっと眺めて立たれました。】
Cぼんやり:【須利耶
(すりや)さまも従弟(いとこ)さまも鉄砲をもったままぼんやりと立っていられ
      ました。】
Dしん:【途中の野原は青い石でしんとして子供は泣きながら随
(つ)いて参りました。】
Eちらちら:【それから果樹がちらちらゆすれ、ひばりはそらですきとおった波をたてまする。】
Fひらひら:【葡萄いろの重い雲の下を、影法師の蝙蝠
(こうもり)がひらひらと飛んで過ぎまし
      た。】
Gどっ:【みんなはどっと笑いましてそれからどう云うわけか小さな石が一つ飛んで来て童子の

      頬を打ちました。】
Hばらばら:【子供らが叫んでばらばら走って来て童子に詫
(わ)びたり慰めたりいたしました。】
Iにこにこ:【童子は初めからお了
(しま)いまでにこにこ笑って居られました。】
Jすっかり:【童子さまの脳はもうすっかり疲れて、白い網のようになって、ぶるぶるゆれ、その

      中に赤い大きな三日月が浮かんだり、そのへん一杯にぜんまいの芽のようなものが
      見えたり、また四角な変に柔らかな白いものが、だんだん拡(ひろ)がって恐ろしい大
      きな箱になったりするのでございました。】
Kぶるぶる:【童子さまの脳はもうすっかり疲れて、白い網のようになって、ぶるぶるゆれ、その

      中に赤い大きな三日月が浮かんだり、そのへん一杯にぜんまいの芽のようなものが
      見えたり、また四角な変に柔らかな白いものが、だんだん拡(ひろ)がって恐ろしい大
      きな箱になったりするのでございました。】
Lだんだん:【また四角な変に柔らかな白いものが、だんだん拡
(ひろ)がって恐ろしい大きな箱
      になったりするのでございました。】
Mぐっすり:【お二人は家に入り、母さまが迎えなされて戸の環を嵌めて居られますうちに、童子

      はいつかご自分の床に登って、着替えもせずにぐっすり眠ってしまわれました。】
Nくるっ:【くるっと立って鉄砲玉のように外へ走って出られました。】
Oぐんぐん:【なれども仔馬はぐんぐん連れて行かれます。】
Pちらっ:【童子は母馬の茶いろな瞳を、ちらっと横眼で見られましたが、俄に須利耶
(すりや)
      まにすがりついて泣き出されました。】
Qカサカサ:【冬が近くて、天山はもうまっ白になり、桑の葉が黄いろに枯れてカサカサ落ちまし

      た頃、ある日のこと、童子が俄に帰っておいでです。】
Rガサガサ:【「おっかさんの手はそんなにガサガサしているのでしょう。」】
Sしょんぼり:【童子はしょんぼり庭から道に出られました。】
21どきっ:【俄に空を羽音がして、雁の一列が通りましたとき、須利耶
(すりや)さまは窓からそれ
      を見て、思わずどきっとなされました。】
22ずうっ:【沙
(すな)がずうっとひろがって居りました。】
23ばったり:【何か大きな重いものが、遠くの空からばったりかぶさったように思われましたので

      す。】
24とぼとぼ:【老人は黙って礼を返しました。何か云いたいようでしたが黙って俄に向うを向き、

      今まで私の来た方の荒地にとぼとぼ歩き出しました。】

 『雁の童子』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                  2006.2.11.

 
 


新編 風の又三郎』の第九話です。
   嘉(か)ッコは、小さなわらじをはいて、      赤いげんこを二つ顔の前にそろえて、      ふっふっと息をふきかけながら、      土間から外へ飛び出しました。      外はつめたくて明るくて、         そしてしんとしています。      嘉(か)ッコのお母さんは、         大きなけらを着て、            縄を肩にかけて、そのあとから出て来ました。   
********* 『十月の末』 10p *********
 

 霜が降って、雹(ひょう)が降って、土ぁぐじゃぐじゃづがべもや、『十月の末』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその29』だよん。(^ ^;

 「母
(があ)、昨夜(ゆべな)、土ぁ、凍(し)みだじゃぃ。」嘉(か)ッコはしめった黒い地面を、ばたばた
踏みながら云いました。
 「うん、霜ぁ降ったのさ。今日は畑ぁ、土ぁぐじゃぐじゃづがべもや。」と嘉
(か)ッコのお母さんは、
半分ひとりごとのように答えました。
 嘉
(か)ッコのおばあさんが、やっぱりけらを着て、すっかり支度をして、家の中から出て来まし
た。
 そして一寸手をかざして、明るい空を見まわしながらつぶやきました。
 「爺
(じ)んごぁ、今朝も戻(もど)て来なぃがべが。家(え)でぁこったに忙(いしょ)がしでば。」
 「爺
(じ)んごぁ、今朝も戻(もど)て来なぃがべが。」嘉(か)ッコがいきなり叫びました。
 おばあさんはわらいました。
 「うん。けづな爺
(じ)んごだもな。酔(よ)たぐれでばがり居で、一向仕事助(す)けるもさないで。
今日も町で飲んでらべぁな。うなは爺
(じ)んごに肖(に)るやなぃじゃぃ。」
 「ダゴダア、ダゴダア、ダゴダア」嘉
(か)ッコはもう走って垣の出口の柳の木を見ていました。
 それはツンツン、ツンツンと鳴いて、枝中はねあるく小さなみそさざいで一杯でした。
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその29』でした。


 十月の末 お気に入りオノマトペ
        みそさざいどもは、       とんだりはねたり、       柳の木のなかで、       じつにおもしろそうにやっています。       柳の木のなかというわけは、       葉の落ちてカラッとなった柳の木の外側には、       すっかりガラスが張ってあるような気がするのです。          それですから、                                                        嘉(か)ッコはますます大よろこびです。       けれどもとうとう、                                                     そのすきとおるガラス函(ばこ)もこわれました。
 季節:十月の末
◆オラが好きなオノマトペ(初読)=
☆☆ 5つが最高。)
E
ダゴダア、ダゴダア、ダゴダア:【「ダゴダア、ダゴダア、ダゴダア」嘉(か)ッコはもう走っ
      て垣の出口の柳の木を見ていました。それはツンツン、ツンツンと鳴いて、枝中
      はねあるく小さなみそさざいで一杯でした。】
J
ぼろん:【小さなみそさざいどもは、みんなまるでまん円(まる)になって、ぼろんと飛んで
      しまったのです。】

▼ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
28
ひばり焼げこ、ひばりこんぶりこ:【「ひばり焼げこ、ひばりこんぶりこ。」なんて出鱈目
      なひばりの歌を歌っていました。】
29
ギッ:【嘉(か)ッコは、黒猫をしっぽでつかまえて、ギッと云うくらいに抱いていました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
【小さなみそさざいどもは、みんなまるでまん円(まる)になって、ぼろんと飛んでしまったのです。】
 
ぼろん??? 意味わがらないな。(^ ^;

     「ばさん、こう云(ゆ)にして                                            ガアガアコーコーど鳴るものぁ何だべ。」       おばあさんはやれやれと腰をのばして、                             手の甲で額を一寸こすりながら、                                   二人の方を見て云いました。   「天(あま)の邪鬼(しゃぐ)の小便(しょんべ)の音さ。」         二人は変な顔をしながら黙って                                     しばらくその音を呼び寄せて聞いていましたが、                    俄(にわ)かに善コがびっくりする位叫びました。      「ほう、                                                                  天(あま)の邪鬼(しゃぐ)の小便(しょんべ)ぁ永ぃな。」       そこで嘉(か)ッコが飛びあがって笑って                             おばあさんの所に走って行って云いました。      「アッハッハ、ばさん。                                                  天の邪鬼の小便ぁたまげだ永ぃな。」      「永ぃてさ、天の邪鬼ぁいっつも小便、垂れ通しさ。」               とおばあさんはすまして云いながら又豆を抜きました。       嘉(か)ッコは呆(あき)れて                                          ぼんやりとむしろに座りました。
********* 十月の末オノマトペ *********
 

@ふっふっ:【嘉(か)ッコは、小さなわらじをはいて、赤いげんこを二つ顔の前にそろえて、ふっ
      ふっと息をふきかけながら、土間から外へ飛び出しました。】
Aしん:【外はつめたくて明るくて、そしてしんとしています。】
Bばたばた:【「母
(があ)、昨夜(ゆべな)、土ぁ、凍(し)みだじゃぃ。」嘉(か)ッコはしめった黒い地面
      を、ばたばた踏みながら云いました。】
Cぐじゃぐじゃ:【「うん、霜ぁ降ったのさ。今日は畑ぁ、土ぁぐじゃぐじゃづがべもや。」と嘉
(か)ッコ
      のお母さんは、半分ひとりごとのように答えました。】
Dすっかり:【嘉
(か)ッコのおばあさんが、やっぱりけらを着て、すっかり支度をして、家の中から
      出て来ました。】
Eダゴダア、ダゴダア、ダゴダア:【「ダゴダア、ダゴダア、ダゴダア」嘉
(か)ッコはもう走って垣の
      出口の柳の木を見ていました。それはツンツン、ツンツンと鳴いて、枝中はねあるく
      小さなみそさざいで一杯でした。】
Fツンツン、ツンツン:【それはツンツン、ツンツンと鳴いて、枝中はねあるく小さなみそさざいで

      一杯でした。】
Gツツンツツン、チ、チ、ツン、ツン:【「ツツンツツン、チ、チ、ツン、ツン。」みそさざいどもは、と

      んだりはねたり、柳の木のなかで、じつにおもしろそうにやっています。】
Hカラッ:【柳の木のなかというわけは、葉の落ちてカラッとなった柳の木の外側には、すっかり

      ガラスが張ってあるような気がするのです。】
Iダア:【嘉
(か)ッコが「ダア。」と云いながら、両手をあげたものですから、小さなみそさざいども
      は、みんなまるでまん円(まる)になって、ぼろんと飛んでしまったのです。】
Jぼろん:【小さなみそさざいどもは、みんなまるでまん円
(まる)になって、ぼろんと飛んでしまっ
      たのです。】
Kゴーゴー、ガーガー、キイミイガアアヨオワア、ゴゴー、ゴゴー、ゴゴー:【電信ばしらが、「ゴー

      ゴー、ガーガー、キイミイガアアヨオワア、ゴゴー、ゴゴー、ゴゴー。」とうなっています。】
Lパサパサ:【嘉
(か)ッコは街道のまん中にちいさな腕を組んで立ちながら、松並木のあっちこっ
      ちをよくよく眺めましたが、松の葉がパサパサ続くばかり、そのほかにはずうっとはず
      れのはずれの方に、白い牛のようなものが、頭だか足だか一寸出しているだけです。】
Mずうっ:【そのほかにはずうっとはずれのはずれの方に、白い牛のようなものが、頭だか足だ

      か一寸出しているだけです。】
Nちゃん:【路のまん中に一寸顔を出している円いあばたの石ころさえも、嘉
(か)ッコはちゃんと
      知っているのでした。】
Oつんつん:【松の木や楢の木が、つんつんと光のそらに立っています。】
Pぎっしり:【豆ばだけは、今はもう、茶色の豆の木でぎっしりです。】
Qサッサッ:【豆はみな厚い茶色の外套を着て、百列にも二百列にもなって、サッサッと歩いてい

      る兵隊のようです。】
Rカーカーココーコー、ジャー:【「カーカーココーコー、ジャー。」という水の流れるような音が聞え

      るのでした。】
Sだんだん:【その時丁度嘉
(か)ッコのお母さんが畦(あぜ)の向うの方から豆を抜きながらだんだ
      んこっちへ来ましたので、嘉(か)ッコは高く叫びました。】
21ガアガア:【「母
(があ)、こう云(ゆ)にしてガアガアど聞えるものぁ何だべ。」】
22ばたばた:【「西根山の滝の音さ。」お母さんは豆の根の土をばたばた落しながら云いました。】
23ガアガアコーコー:【「ばさん、こう云
(ゆ)にしてガアガアコーコーど鳴るものぁ何だべ。」】
24やれやれ:【おばあさんはやれやれと腰をのばして、手の甲で額を一寸こすりながら、二人の

      方を見て云いました。】
25ぼんやり:【嘉
(か)ッコは呆(あき)れてぼんやりとむしろに座りました。】
26グー:【そこで二人はもうグーとも云わず、まん円になって一目散に逃げました。】
27かっ:【お日さまが又かっと明るくなり、二人はむしろに座ってひばりもいないのに、「ひばり焼げ

      こ、ひばりこんぶりこ。」なんて出鱈目なひばりの歌を歌っていました。】
28ひばり焼げこ、ひばりこんぶりこ:【「ひばり焼げこ、ひばりこんぶりこ。」なんて出鱈目なひばり

      の歌を歌っていました。】
29ギッ:【嘉
(か)ッコは、黒猫をしっぽでつかまえて、ギッと云うくらいに抱いていました。】
30ガタアッ:【俄に途方もない、空の青セメントが一ぺんに落ちたというようなガタアッという音がし

      て家はぐらぐらっとゆれ、みんなはぽかっとして呆れてしまいました。】
31ぐらぐらっ:【家はぐらぐらっとゆれ、みんなはぽかっとして呆れてしまいました。】
32ぽかっ:【みんなはぽかっとして呆れてしまいました。】
33ぶるるっ:【猫は嘉
(か)ッコの手から滑り落ちて、ぶるるっとからだをふるわせて、それから一目
      散にどこかへ走って行ってしまいました。】
34ガリガリッ、ゴロゴロゴロゴロ:【「ガリガリッ、ゴロゴロゴロゴロ。」音は続き、それからバァッと表

      の方が鳴って何か石ころのようなものが一散に降って来たようすです。】
35バァッ:【音は続き、それからバァッと表の方が鳴って何か石ころのようなものが一散に降って

      来たようすです。】
36ガアガアッ:【「雹
(ひょう)だ。」お父さんが云いました。ガアガアッと云うその雹の音の向うから、
      「ホーォ。」ととなりの善コの声が聞えます。】
37ぎらぎら:【空はまるで新しく拭
(ふ)いた鏡のようになめらかで、青い七日ごろのお月さまがその
      まん中にかかり、地面はぎらぎら光って嘉(か)ッコは一寸氷砂糖をふりまいたのだとさえ
      思いました。】
38プイッ:【となりの垣根からも小さな黒い影がプイッと出てこっちへやって参ります。】

 『十月の末』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                  2006.2.11.

 
 



新編 風の又三郎』の第十話です。
      ある夕方などは、殊に豚は自分の幸福を、感じて、              天上に向いて感謝していた。      というわけはその晩方、化学を習った一年生の、                 生徒が、自分の前に来ていかにも不思議そうにして、            豚のからだを眺めて居た。      豚の方でも時々は、                                                 あの小さなそら豆形の怒ったような眼をあげて、                   そちらをちらちら見ていたのだ。   その生徒が云った。     「ずいぶん豚というものは、奇体なことになっている。」        「水やスリッパや藁をたべて、                                           それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。」   「豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒だ。」      「白金と同じことなのだ。」      「無機体では白金だし有機体では豚なのだ。」      「考えれば考える位、これは変になることだ。」   
********** 『フランドン農学校の豚』 20p **********
 

 豚をおいしく肥らせて殺して食べるボクらなのら、『フランドン農学校の豚』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその30』だよん。(^ ^;

 豚はもちろん自分の名が、白金と並べられたのを聞いた。それから豚は、白金が一匁
(もんめ)
三十円することをよく知っていたものだから、自分のからだが二十貫で、いくらになるということ
も勘定がすぐ出来たのだ。豚はぴたっと耳を伏せ、眼を半分だけ閉じて、前肢
(あし)をきくっと
曲げながらその勘定をやったのだ。
 20×1000×30=600000 実に六十万円だ。六十万円といったならそのころのフランドンあたり
では、まあ第一流の紳士なのだ。いまだってそうかも知れない。さあ第一流の紳士だもの、豚が
すっかり幸福を感じ、あの頭のかげの方の鮫
(さめ)によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろ
こんだのも、けして無理とは云われない。
 ところが豚の幸福も、あまり永くは続かなかった。
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその30』でした。


 フランドン農学校の豚 漫画紹介

 @やまだ紫:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第2巻  .

                 ボクらの残酷性、ぐー。(^ ^;
 

 やまだ紫の漫画版『フランドン農学校の豚』は、豚を殺して食べるボクらの残酷性がぐー。

 やまだ紫、っつー漫画家は初対面。クールタッチでよかったのら。
 ボクらは豚をおいしく肥らせて殺して食べる、っつー言い訳のきかない現実を、豚も人間も
バランスよく描かれてるのら。畜産学の先生と水色の上着の若い助手がいんだにゃぁ。
 原作との相性ビッタシ。豚肉まぃう〜。(^ ^; 狂牛病の心配も無ぃしネ。(^ ^;

 っつーことで、『フランドン農学校の豚』の漫画版、やまだ紫、ボクらの残酷性がぐー。
(^ ^;


 フランドン農学校の豚 お気に入りオノマトペ
                    さて豚はずんずん肥(ふと)り、                                      なんべんも寝たり起きたりした。       フランドン農学校の畜産学の先生は、                             毎日来ては鋭い眼で、じっとその生体量を、                      計算しては帰って行った。      「も少しきちんと窓をしめて、室(へや)中暗くしなくては、          脂(あぶら)がうまくかからんじゃないか。」    「それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな。」          「毎日阿麻仁(あまに)を                                              少しずつやって置いて呉れないか。」
 季節: 冬 
           教師は、若い水色の上着の助手に斯(こ)う云った。       豚はこれをすっかり聴いた。       そして又大へんいやになった。       楊子のときと同じだ。          折角のその阿麻仁(あまに)も、                                    どうもうまく咽喉(のど)を通らなかった。

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆ 5つが最高。)
32ほやほや:【「暖かそうだよ。どうだ。湯気さえほやほやと立っているよ。」】
52
こてっ:【こてっとぶたれて散歩しながら豚はつくづく考えた。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
30しんしん:【そして一晩睡らないで、頭のしんしん痛む豚に、又もや厭な会話を聞かせた
      のだ。】
64ぎしぎし:【助手はぎしぎしその管を豚の歯の間にねじ込んだ。】
74
しんしん:【豚はもう眼もあけず頭がしんしん鳴りだした。】
77
ぐたっぐたっ:【豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、ぐたっぐたっと歩き出す。】
79
ぐたぐた:【外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行
      った。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 【豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、
ぐたっぐたっと歩き出す。】
 【外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱり
ぐたぐた歩いて行った。】

 歩き出しは
ぐたっぐたっ、歩いて行くのはぐたぐた mmm リアルですねぇ、豚の歩き方、
さっすがー賢治先生。


   「いつだろうなあ、早く見たいなあ。」       「僕は見たくないよ。」          「早いといいなあ、囲って置いた葱(ねぎ)だって、                   あんまり永いと凍っちまう。」    「馬鈴薯もしまってあるだろう。」          「しまってあるよ。三斗しまってある。                                  とても僕たちだけで食べられるもんか。」
      「今朝はずいぶん冷たいねえ。」                                      一人が白い息を手に吹きかけながら                               斯(こ)う云いました。       「豚のやつは暖かそうだ。」                                             一人が斯う答えたら三人共どっとふき出しました。       「豚のやつは脂肪でできた、                                           厚さ一寸の外套を着てるんだもの、暖かいさ。」       「暖かそうだよ。どうだ。                                                 湯気さえほやほやと立っているよ。」    豚はあんまり悲しくて、辛くてよろよろしてしまう。   

 ********* フランドン農学校の豚                 .
                 のオノマトペ *********.
 

@ちらちら:【豚の方でも時々は、あの小さなそら豆形の怒ったような眼をあげて、そちらをちらち
      ら見ていたのだ。】
Aぴたっ:【豚はぴたっと耳を伏せ、眼を半分だけ閉じて、前肢
(あし)をきくっと曲げながらその勘
      定をやったのだ。】
Bきくっ:【前肢
(あし)をきくっと曲げながらその勘定をやったのだ。】
Cすっかり:【さあ第一流の紳士だもの、豚がすっかり幸福を感じ、あの頭のかげの方の鮫
(さめ)
      によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろこんだのも、けして無理とは云われない。】
Dにやにや:【あの頭のかげの方の鮫
(さめ)によく似た大きな口を、にやにや曲げてよろこんだの
      も、けして無理とは云われない。】
Eどさり:【それから二三日たって、そのフランドンの豚は、どさりと上から落ちて来た一かたまり

      のたべ物から、(大学生諸君、意志を鞏固(きょうこ)にもち給え。いいかな。)たべ物の
      中から一寸細長い白いもので、さきにみじかい毛を植えた、ごく率直に云うならば、ラ
      クダ印の歯磨楊子、それを見たのだ。】
Fぎょっ:【豚は実にぎょっとした。】
Gザラッザラッ:【一体、その楊子の毛を見ると、自分のからだ中の毛が、風に吹かれた草のよ

      う、ザラッザラッと鳴ったのだ。】
Hくらくら:【豚は実に永い間、変な顔して、眺めていたが、とうとう頭がくらくらして、いやないやな

      気分になった。】
Iくるっ:【いきなり向うの敷藁
(しきわら)に頭を埋めてくるっと寝てしまったのだ。】
Jさくさく:【気分がいいと云ったって、結局豚の気分だから、苹果
(りんご)のようにさくさくし、青ぞ
      らのように光るわけではもちろんない。】
Kどしゃっ:【最も想像に困難なのは、豚が自分の平らなせなかを、棒でどしゃっとやられたとき

      何と感ずるかということだ。】
Lずんずん:【さて豚はずんずん肥
(ふと)り、なんべんも寝たり起きたりした。】
Mじっ:【フランドン農学校の畜産学の先生は、毎日来ては鋭い眼で、じっとその生体量を、計算

      しては帰って行った。】
Nきちん:【「も少しきちんと窓をしめて、室
(へや)中暗くしなくては、脂(あぶら)がうまくかからんじゃ
      ないか。それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな、毎日阿麻仁(あまに)を少しず
      つやって置いて呉れないか。」】
Oそろそろ:【「それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな、毎日阿麻仁
(あまに)を少しずつや
      って置いて呉れないか。」】
Pすっかり:【豚はこれをすっかり聴いた。】
Qじっ:【(とにかくあいつら二人は、おれにたべものはよこすが、時々まるで北極の、空のような

      眼をして、おれのからだをじっと見る、実に何ともたまらない、とりつきばもないようなき
      びしいこころで、おれのことを考えている、そのことは恐い、ああ、恐い。)】
Rむちゃくちゃ:【豚は心に思いながら、もうたまらなくなり前の柵を、むちゃくちゃに鼻で突
(つ)
      突いた。】
Sペタリ:【さあそこでその頃は、牛でも馬でも、もうみんな、殺される前の日には、主人から無理

      に強いられて、証文にペタリと印を押したもんだ。】
21ぼろぼろ:【ごくとしよりの馬などは、わざわざ蹄鉄をはずされて、ぼろぼろなみだをこぼしなが

      ら、その大きな判をぱたっと証書に押したのだ。】
22ぱたっ:【その大きな判をぱたっと証書に押したのだ。】
23じろじろ:【おまけに校長がじろじろと豚のからだを見ることは全くあの畜産の、教師とおんなじ

      ことなのだ。】
24こわごわ:【豚はかなしく耳を伏せた。そしてこわごわ斯
(こ)う云った。】
25しいん:【それから農学校長と、豚とはしばらくしいんとしてにらみ合ったまま立っていた。】
26じいっ:【ただ一言も云わないでじいっと立って居ったのだ。】
27カサカサ:【おまけにその晩は強いふぶきで、外では風がすさまじく、乾いたカサカサした雪の

      かけらが、小屋のすきまから吹きこんで豚のたべものの余りも、雪でまっ白になった
      のだ。】
28じいっ:【畜産の教師は鋭い目で、もう一遍じいっと豚を見てから、それから室を出て行った。】
29げたげた:【ところが次の朝になって、やっと太陽が登った頃、寄宿舎の生徒が三人、げたげ

      た笑って小屋へ来た。】
30しんしん:【そして一晩睡らないで、頭のしんしん痛む豚に、又もや厭な会話を聞かせたのだ。】
31どっ:【一人が斯
(こ)う答えたら三人共どっとふき出しました。】
32ほやほや:【「暖かそうだよ。どうだ。湯気さえほやほやと立っているよ。」】
33よろよろ:【豚はあんまり悲しくて、辛くてよろよろしてしまう。】
34ばたばた:【入口でばたばた雪を落して、それから例のあいまいな苦笑をしながら前に立つ。】
35はっきり:【「そうかい。それはいいね、ところで実は今日はお前と、内々相談に来たのだが

      ね、どうだ頭ははっきりかい。」】
36とうとう:【とうとう豚はこらえかねてまるで泣声でこう云った。】
37ぎくっ:【校長はぎくっとしたが気をとりなおしてこう云った。】
38ぷんぷん:【校長はぷんぷん怒り、顔をまっ赤にしてしまい証書をポケットに手早くしまい、大

      股に小屋を出て行った。】
39どっ:【けれども半日ほど泣いたら、二晩も眠らなかった疲れが、一ぺんにどっと出て来たので

      つい泣きながら寝込んでしまう。】
40ぶるっ:【その睡
(ねむ)りの中でも豚は、何べんも何べんもおびえ、手足をぶるっと動かした。】
41じっ:【助手は唇へ指をあて、しばらくじっと考えて、それからぼんやり返事した。】
42ぼんやり:【助手は唇へ指をあて、しばらくじっと考えて、それからぼんやり返事した。】
43ぐるぐる:【「それでこいつはぐるぐるして昨夜一晩寝ないんだな。」】
44キリキリ:【教師は実に口惜しそうに、しばらくキリキリ歯を鳴らし腕を組んでから又云った。】
45そろそろ:【「日の照らない処を、厩舎の陰のあたりの、雪のない草はらを、そろそろ連れて歩

      いて呉れ。」】
46だんだん:【「それからだんだん直ったら今まで通りにすればいい。」】
47ぼんやり:【教師は教員室へ帰り豚はもうすっかり気落ちして、ぼんやりと向うの壁を見る、動

      きも叫びもしたくない。】
48ピシッ:【「少しご散歩はいかがです。今日は大へんよく晴れて、風もしずかでございます。それ

      ではお供いたしましょう。」ピシッと鞭がせなかに来る。全くこいつはたまらない。】
49のそのそ:【ヨークシャイヤは仕方なくのそのそ畜舎を出たけれど胸は悲しさでいっぱいで、歩

      けば裂けるようだった。】
50ゆっくり:【助手はのんきにうしろから、チッペラリーの口笛を吹いてゆっくりやって来る。】
51ぶらぶら:【鞭もぶらぶらふっている。】
52こてっ:【こてっとぶたれて散歩しながら豚はつくづく考えた。】
53つくづく:【こてっとぶたれて散歩しながら豚はつくづく考えた。】
54ごろっ:【豚は仕方なく又畜舎に戻りごろっと藁に横になる。】
55ちらっ:【ちらっと豚を一眼見て、手を振りながら助手に云う。】
56どしどし:【「そして肥育器を使うとしよう、飼料をどしどし押し込んで呉れ。」】
57さっぱり:【「校長もさっぱり拙
(まず)いなぁ。」】
58すっかり:【豚はすっかりおびえて了
(しま)い、「つきます。つきます。」と、かすれた声で云った
      のだ。】
59じっ:【校長はじっと眼鏡
(めがね)越しに、豚の小さな眼を見て云った。】
60びくびく:【豚は口をびくびく横に曲げ、短い前の右肢
(あし)を、きくっと挙げてそれからピタリと
      印をおす。】
61きくっ:【短い前の右肢
(あし)を、きくっと挙げてそれからピタリと印をおす。】
62ピタリ:【きくっと挙げてそれからピタリと印をおす。】
63ばたばた:【豚はばたばた暴れたがとうとう囲いの隅にある、二つの鉄の環に右側の、足を二

      本共縛られた。】
64ぎしぎし:【助手はぎしぎしその管を豚の歯の間にねじ込んだ。】
65だんだん:【豚はいくら呑むまいとしても、どうしても咽喉で負けてしまい、その練ったものが胃

      の中に、入ってだんだん腹が重くなる。】
66がやがや:【あるときは生徒が十人ほどやって来てがやがや斯
(こ)う云った。】
67ゴツゴツ:【あんまり豚はつらいので、頭をゴツゴツ板へぶっつけた。】
68はあはあ:【三足で息がはあはあした。】
69ようよう:【豚はまるで潰れそうになり、それでもようよう畜舎の外まで出たら、そこに大きな木の

      鉢に湯が入ったのが置いてあった。】
70パチッ:【助手が又一つパチッとやる。】
71チラッ:【そのブラッシをチラッと見て、豚は馬鹿のように叫んだ。】
72ぞくぞく:【寒さがぞくぞくからだに浸
(し)みる。】
73ゴウゴウ:【それに今朝からまだ何も食べないので、胃ももうからになったらしく、あらしのように

      ゴウゴウ鳴った。】
74しんしん:【豚はもう眼もあけず頭がしんしん鳴りだした。】
75ギーギー:【「連れ出してあんまりギーギー云わせないようにね。まずくなるから。」】
76はあはあ:【豚は全く異議もなく、はあはあ頬をふくらせて、ぐたっぐたっと歩き出す。】
77ぐたっぐたっ:【ぐたっぐたっと歩き出す。】
78カッ:【俄
(にわか)にカッと明るくなった。】
79ぐたぐた:【外では雪に日が照って豚はまぶしさに眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行っ

      た。】
80ちらっ:【ちらっと頭をあげたとき、俄に豚はピカッという、はげしい白光のようなものが花火の

      ように眼の前でちらばるのを見た。】
81ピカッ:【俄に豚はピカッという、はげしい白光のようなものが花火のように眼の前でちらばる

      のを見た。】
82キーン:【天上の方ではキーンという鋭い音が鳴っている。】
83ごうごう:【横の方ではごうごう水が湧いている。】
84はあはあ:【とにかく豚のすぐよこにあの畜産の、教師が、大きな鉄槌を持ち、息をはあはあ吐

      きながら、少し青ざめて立っている。】
85クンクン:【又豚はその足もとで、たしかにクンクンと二つだけ、鼻を鳴らしてじっとうごかなくな

      っていた。】
86じっ:【鼻を鳴らしてじっとうごかなくなっていた。】
87ザクッ:【助手が大きな小刀で豚の咽喉
(のど)をザクッと刺しました。】

 『フランドン農学校の豚』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                     2006.2.11.

 
 
   
新編 風の又三郎』の第十一話です。
   
   .
   「お母(があ)、おらさ杉苗七百本、買って呉(け)ろ。」                 .
     「虔十(けんじゅう)、                                                   あそごは杉植ぇでも成長(おが)らない処(ところ)だ。             それより少し田でも行って助(す)けろ。」  .
 
   

    けん じゅう.
 『虔十公園林』 10p 

   

 自然大好きのやさしい馬鹿、いんだにゃぁ、『虔十(けんじゅう)公園林』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその31』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 虔十
(けんじゅう)はいつも縄の帯をしめてわらって杜(もり)の中や畑の間をゆっくりあるいてい
るのでした。
 雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔
(か)けて行く鷹
を見付けてははねあがって手をたたいてみんなに知らせました。
 けれどもあんまり子供らが虔十
(けんじゅう)をばかにして笑うものですから虔十はだんだん笑
わないふりをするようになりました。
 風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十
(けんじゅう)はもううれしくてうれしく
てひとりでに笑えて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしな
がらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立っているのでした。
 時にはその大きくあいた口の横わきをさも痒
(かゆ)いようなふりをして指でこすりながらはあ
はあ息だけで笑いました。
 なるほど遠くから見ると虔十
(けんじゅう)は口の横わきを掻(か)いているか或いは欠伸(あくび)
でもしているかのように見えましたが近くではもちろん笑っている息の音も聞えましたし唇がピ
クピク動いているのもわかりましたから子供らはやっぱりそれもばかにして笑いました。
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその31』でした。


 虔十公園林 漫画紹介

 @山松ゆうきち:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第3巻  .

                      馬鹿バッチシ。(^ ^;
 

 山松ゆうきちの漫画版『虔十公園林』は、馬鹿バッチシ。

 ボクは山松ゆうきちの大ファンなので、期待は大きかった。
 子供たちにも馬鹿にされる虔十がグンバツ。虔十を馬鹿にする子供たち大人たちバッチシ。

 っつーことで、『虔十公園林』の漫画版、山松ゆうきち、馬鹿がグンバツ。
(^ ^;

 ps.「馬鹿にされたい症候群」のボクとしましては、『虔十公園林』も山松ゆうきちも大好き、
    なのら。
(^ ^;

 ps2.「馬鹿にされたい症候群」に興味ある方は、
     
ボクの忍法帖データ★ランキングpart 脇役の巻 を見てネ。(^ ^;
                 クリックしてネ。


   虔十公園林 お気に入りオノマトペ

 季節: 不特定                  「買ってやれ、買ってやれ。                                           虔十ぁ今まで何一つだて頼んだごとぁ無ぃがったもの。            買ってやれ。」              .         虔十はまるでよろこんですぐに                                       まっすぐに家の方へ走りました。                                     そして納屋から唐鍬を持ち出してぽくりぽくりと                    芝を起して杉苗を植える穴を掘りはじめました。   .

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
J
ぽくりぽくり:【そして納屋から唐鍬を持ち出してぽくりぽくりと芝を起して杉苗を植える穴
      を掘りはじめました。】
N
のっそり:【平二はぶつぶつ云いながら又のっそりと向うへ行ってしまいました。】

▼ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
K
チーチクチーチク:【次の日、空はよく晴れて山の雪はまっ白に光りひばりは高く高くの
      ぼってチーチクチーチクやりました。】
24
どしりどしり:【ところが平二は人のいい虔十(けんじゅう)などにばかにされたと思ったので
      急に怒り出して肩を張ったと思うといきなり虔十の頬をなぐりつけました。どしり
      どしりとなぐりつけました。】
27
のしりのしり:【すると平二も少し気味が悪くなったと見えて急いで腕を組んでのしりのし
      りと霧の中へ歩いて行ってしまいました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
どしりどしり、のしりのしり mmm 雰囲気あるにゃぁ。初対面だにゃぁ。


                  その杉の列には、                                                     東京街道ロシヤ街道それから西洋街道というように              ずんずん名前がついて行きました。          .       虔十(けんじゅう)もよろこんで                                       杉のこっちにかくれながら口を大きくあいて                          はあはあ笑いました。  .

* 虔十公園林オノマトペ *
 

@ゆっくり:【虔十(けんじゅう)はいつも縄の帯をしめてわらって杜(もり)の中や畑の間をゆっくりあ
      るいているのでした。】
Aパチパチ:【雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔
(か)
      けて行く鷹を見付けてははねあがって手をたたいてみんなに知らせました。】
Bだんだん:【けれどもあんまり子供らが虔十
(けんじゅう)をばかにして笑うものですから虔十はだ
      んだん笑わないふりをするようになりました。】
Cどう:【風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十
(けんじゅう)はもううれしくてうれ
      しくてひとりでに笑えて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついて
      ごまかしながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立っているのでした。】
Dチラチラ:【ぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十
(けんじゅう)はもううれしくてうれしくてひとり
      でに笑えて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかし
      ながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立っているのでした。】
Eはあはあ:【無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつま

      でもそのぶなの木を見上げて立っているのでした。】
Fピクピク:【なるほど遠くから見ると虔十
(けんじゅう)は口の横わきを掻(か)いているか或いは欠
      (あくび)でもしているかのように見えましたが近くではもちろん笑っている息の音も聞
      えましたし唇がピクピク動いているのもわかりましたから子供らはやっぱりそれもばか
      にして笑いました。】
Gきらきら:【虔十
(けんじゅう)のおっかさんはきらきらの三本鍬を動かすのをやめてじっと虔十の
      顔を見て云いました。】
Hじっ:【じっと虔十
(けんじゅう)の顔を見て云いました。】
Iもじもじ:【虔十
(けんじゅう)はきまり悪そうにもじもじして下を向いてしまいました。】
Jぽくりぽくり:【そして納屋から唐鍬を持ち出してぽくりぽくりと芝を起して杉苗を植える穴を掘

      りはじめました。】
Kチーチクチーチク:【次の日、空はよく晴れて山の雪はまっ白に光りひばりは高く高くのぼっ

      てチーチクチーチクやりました。】
Lにこにこ:【そして虔十
(けんじゅう)はまるでこらえ切れないようににこにこ笑って兄さんに教え
      られたように今度は北の方の堺から杉苗の穴を掘りはじめました。】
Mぶつぶつ:【「平二さん、お早うがす。」と云って向うに立ちあがりましたので平二はぶつぶつ

      云いながら又のっそりと向うへ行ってしまいました。】
Nのっそり:【平二はぶつぶつ云いながら又のっそりと向うへ行ってしまいました。】
Oぱちぱち:【そして片っぱしからぱちぱち杉の下枝を払いはじめました。】
Pがらん:【濃い緑いろの枝はいちめんに下草を埋めその小さな林はあかるくがらんとなってし

      まいました。】
Qぼんやり:【そしてぼんやり立っている虔十
(けんじゅう)にきげんよく云いました。】
Rすっかり:【そこで虔十
(けんじゅう)もやっと安心して兄さんと一緒に杉の木の下にくぐって落と
      した枝をすっかり集めました。】
Sどっ:【あっちでもこっちでも号令をかける声ラッパのまね、足ぶみの音それからまるでそこ
      ら中の鳥も飛びあがるようなどっと起る笑い声、虔十はびっくりしてそっちへ行って
      見ました。】
21ずんずん:【その杉の列には、東京街道ロシヤ街道それから西洋街道というようにずんずん
      名前がついて行きました。】
22さらさら:【その日はまっ白なやわらかな空からあめのさらさらと降る中で虔十
(けんじゅう)がた
      だ一人からだ中ずぶぬれになって林の外に立っていました。】
23ポタリポタリ:【その杉には鳶色
(とびいろ)の実がなり立派な緑の枝さきからはすきとおったつ
      めたい雨のしずくがポタリポタリと垂れました。】
24どしりどしり:【ところが平二は人のいい虔十
(けんじゅう)などにばかにされたと思ったので急に
      怒り出して肩を張ったと思うといきなり虔十の頬をなぐりつけました。どしりどしりとな
      ぐりつけました。】
25とうとう:【虔十
(けんじゅう)は手を頬にあてながら黙ってなぐられていましたがとうとうまわりが
      みんなまっ青に見えてよろよろしてしまいました。】
26よろよろ:【虔十
(けんじゅう)は手を頬にあてながら黙ってなぐられていましたがとうとうまわりが
      みんなまっ青に見えてよろよろしてしまいました。】
27のしりのしり:【すると平二も少し気味が悪くなったと見えて急いで腕を組んでのしりのしりと霧

      の中へ歩いて行ってしまいました。】
28ずんずん:【お話はずんずん急ぎます。】
29ずんずん:【そこらの畑や田はずんずん潰れて家がたちました。】
30ああ:【「ああ、ここはすっかりもとの通りだ。木まですっかりもとの通りだ。木は却
(かえ)って小
      さくなったようだ。 みんなも遊んでいる。ああ、あの中に私や私の昔の友達が居ないだ
      ろうか。」 】

 『虔十公園林』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。まんず、えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                   2006.2.12.

 
 
   
新編 風の又三郎』の第十二話です。
   
   .
      「おいおい、どこからこぼれて此処(ここ)らへ落ちた?              さらわれるぞ。」       「蕈(きのこ)のうんと出来る処(ところ)へ                            連れてってやろうか。                                                  お前なんかには持てない位                                          蕈(きのこ)のある処(ところ)へ連れてってやろうか。」         .
   私は 「うん。」 と云いました。     .
 
   

** 『谷』 9p **

   

 深くて急でまっ赤だにゃぁ、『谷』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその32』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 楢渡
(ならわたり)のとこの崖はまっ赤でした。
 それにひどく深くて急でしたからのぞいて見ると全くくるくるするのでした。
 谷底には水もなんにもなくてただ青い梢と白樺などの幹が短く見えるだけでした。
 向う側もやっぱりこっち側と同じようでその毒々しく赤い崖には横に五本の灰いろの太い

線が入っていました。ぎざぎざになって赤い土から喰(は)み出していたのです。それは昔山
の方から流れて走って来て又火山灰に埋もれた五層の古い溶岩流だったのです。
 崖のこっち側と向う側と昔は続いていたのでしょうがいつかの時代に裂けるか罅
(か)ける
かしたのでしょう。霧のあるときは谷の底はまっ白でなんにも見えませんでした。
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその32』でした。


  以降しばらく漫画紹介できましぇん。

           申し訳なか。

 

 おそらく、たぶん、漫画版『谷』はありましぇん。
 おそらく、たぶん、『鳥をとるやなぎ』も漫画版はありましぇん。

 っつーことで、宮沢賢治童話の漫画紹介は、しばらくシバラク、お待ちくなさい。 スネオ 拝 (^ ^;


     お気に入りオノマトペ

 季節: 秋           「いいか。                                                               はぎぼだしには茶いろのと白いのとあるけれど                      白いのは硬くて筋が多くてだめだよ。茶いろのをとれ。」       .    「もうとってもいいか。」 私はききました。           .   「うん。何へ入れてく。そうだ。羽織へ包んで行け。」      .

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
N
どっかり:【さっきの蕈(きのこ)を置いた処へ来ると理助はどっかり足を投げ出して座って
      炭俵をしょいました。】

▼ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
33ごそごそごそっ:【ところがその返事はただごそごそごそっとつぶやくように聞えました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
【ところがその返事はただごそごそごそっとつぶやくように聞えました。】
 
「ごそごそごそっとつぶやく」っつーの初対面だなや。


         「どうしてこんな古いきのこばかり取って来たんだ。」          .    「理助がだって茶いろのがいいって云ったもの。」           .       「理助かい。あいつはずるさ。                                          もうはぎぼだしも過ぎるな。                                          おれもあしたでかけるかな。」    .

** オノマトペ **
 

@くるくる:【楢渡(ならわたり)のとこの崖はまっ赤でした。それにひどく深くて急でしたからのぞ
      いて見ると全くくるくるするのでした。】
Aぎざぎざ:【向う側もやっぱりこっち側と同じようでその毒々しく赤い崖には横に五本の灰い

      ろの太い線が入っていました。ぎざぎざになって赤い土から喰(は)み出していたの
      です。】
Bずうっ:【ずうっと下の方の野原でたった一人野葡萄
(のぶどう)を喰(た)べていましたら馬番
      の理助が欝金(うこん)の切れを首に巻いて木炭(すみ)の空俵をしょって大股に通り
      かかったのでした。】
Cちらちらちらちら:【影がちらちらちらちらして葉はうつくしく光りました。】
Dだんだん:【曲った黒い幹の間を私どもはだんだん潜
(くぐ)って行きました。】
Eぞくぞく:【私はまるでぞくぞくしました。】
Fふう:【理助は炭俵をおろして尤
(もっと)もらしく口をふくらせてふうと息をついてから又言いま
      した。】
Gどしどし:【白いのばかりえらんでどしどし炭俵の中へ投げ込んでいるのです。】
Hぼんやり:【「何をぼんやりしてるんだ。早くとれとれ。」理助が云いました。】
Iぴたっ:【しばらくすると理助はぴたっととまりました。】
Jしいん:【私はまるで頭がしいんとなるように思いました。】
Kそろそろ:【理助は云いながらそろそろと私を崖のはじにつき出しました。】
Lちらっ:【私はちらっと下を見ましたがもうくるくるしてしまいました。】
Mくるくる:【もうくるくるしてしまいました。】
Nどっかり:【さっきの蕈
(きのこ)を置いた処へ来ると理助はどっかり足を投げ出して座って炭
      俵をしょいました。】
Oちゃん:【「楢渡
(ならわたり)なら方向はちゃんとわかっているよ。」】
Pどかどか:【実際それを一ぱいとることを考えると胸がどかどかするのでした。】
Qぎらぎら:【ところがその日は朝も東がまっ赤でどうも雨になりそうでしたが私たちが柏の林

      に入ったころはずいぶん雲がひくくてそれにぎらぎら光って柏の葉も暗く見え風も
      カサカサ云って大へん気味が悪くなりました。】
Rカサカサ:【柏の葉も暗く見え風もカサカサ云って大へん気味が悪くなりました。】
Sずんずん:【それでも私たちはずんずん登って行きました。】
21せっせ:【そして白いのばかりえらんで二人ともせっせと集めました。】
22すっかり:【昨年のことなどはすっかり途中で話して来たのです。】
23ポツリポツリ:【丁度そのときさっきからどうしても降りそうに見えた空から雨つぶがポツリ

      ポツリとやって来ました。】
24だんだん:【雨つぶはだんだん数が増して来てまもなくザアッとやって来ました。】
25ザアッ:【まもなくザアッとやって来ました。】
26パチパチ:【楢の葉はパチパチ鳴り雫
(しずく)の音もポタッポタッと聞えて来たのです。】
27ポタッポタッ:【雫
(しずく)の音もポタッポタッと聞えて来たのです。】
28ぱたっ:【ところが雨はまもなくぱたっとやみました。】
29さっ:【そして陽
(ひ)がさっと落ちて来ました。】
30きらきら:【楢や柏の葉もきらきら光ったのです。】
31ぎくっ:【そしたらまだまだと思っていた崖がもうすぐ眼の前に出ましたので私はぎくっとして

      手をひろげて慶次郎の来るのをとめました。】
32どきっ:【慶次郎ははじめて崖を見たらしくいかにもどきっとしたらしくしばらくなんにも云い

      ませんでした。】
33ごそごそごそっ:【ところがその返事はただごそごそごそっとつぶやくように聞えました。】
34どんどん:【それから籠を持ってどんどん下りました。】
35ハッハッハ:【うしろでハッハッハと笑うような声もしたのです。】
36とうとう:【ですから次の年はとうとう私たちは兄さんにも話して一緒にでかけたのです。】

 『』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                             2006.2.12.

 
     
 







 
 
 

     その杉の列には、                                                     東京街道ロシヤ街道それから西洋街道というように              ずんずん名前がついて行きました。

 
     







 


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  (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
目次の掲示板に、おたよりくなさい。「見たよ。」だけでも嬉しいにゃぁ。
                                 スネオ 拝 (^ ^;

       
  新編 風の又三郎   次回配本は、第十三話『鳥をとるやなぎ』です。
       

   「ああ、ここはすっかりもとの通りだ。                                  木まですっかりもとの通りだ。                                        木は却(かえ)って小さくなったようだ。                               みんなも遊んでいる。ああ、あの中に                               私や私の昔の友達が居ないだろうか。」                                                                       by『虔十公園林』

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