『イーハトーヴ・オノマトペ症候群』やってます。(^ ^;
  「煙山(けむやま)にエレッキのやなぎの木があるよ。」                  藤原慶次郎がだしぬけに私に云いました。                   尋常四年の二学期のはじめ頃だったと思います。   

 
                     エレッキの木なのら、『鳥をとるやなぎ』


 
イーハトーヴオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語) .
     「エレキの楊(やなぎ)の木?」         と私が尋ね返そうとしましたとき、                                   慶次郎はあんまり短くて書けなくなった鉛筆を、                   一番前の源吉に投げつけました。                 源吉はうしろを向いて、                                              みんなの顔をくらべていましたが、                                   すばやく机に顔を伏せて、                                           両手で頭をかかえてかくれていた慶次郎を見つけると、          まるで怒り出して
宮沢賢治童話の私設ファンコーナー
です。

               ★宮沢賢治童話を是非ぜひゼヒ読んでネ★
んで、回目の今回は、


     ****** 新編 風の又三郎 ******    .
      新潮文庫 438円 307p 表紙:加山又造 注解・解説・年譜:天沢退二郎
                              「何するんだい。慶次郎。何するんだい。」                           なんて高く叫びました。
                やまなし
───────── 7p
                貝の火
───────── 29p
                蜘蛛となめくじと狸
─────17p
                ツェねずみ
──────── 9p
                ク
ねずみ──────── 11p
                蛙のゴム靴
────────17p→ ここまでは前々ページです。
                二十六夜 ──────── 28p
                雁
(かり)の童子─────── 15p
                十月の末
 ──────── 10p
                フランドン農学校の豚
 ─── 20p
                虔十
(けんじゅう)公園林 ──── 10p
                谷
──────────── 9p→ ここまではページです。
                鳥をとるやなぎ─────── 8p
                祭の晩
────────── 7p
                グスコーブドリの伝記
──── 42p
                風の又三郎
 ─────── 55p の16短編です。


 
 


新編 風の又三郎』の第十三話です。

  「煙山(けむやま)にエレッキのやなぎの木があるよ。」  


   「エレキの楊(やなぎ)の木?」   

      エレキと云えばエレキ・ギターでんがな。                             ベンチャーズでんがな。                                              ♪デンデケデケデケデ〜♪でんがな。                              ♪ダイヤモンド・ヘッド♪でんがな。(^ ^;    .       ♪パイプライン♪                                                     ♪ウォーク・ドント・ラン♪                                            ♪ワイプアウト♪                                                     ♪クルー・エル・シー♪                                               ♪十番街の殺人♪                                                 ♪キャラバン♪                                                       ♪二人の銀座♪                                                    ♪京都の恋♪                                                       ♪雨の御堂筋♪でんがな。(^ ^;  

*** 『鳥をとるやなぎ』 8p ***
 

 エレッキの木なのら、『鳥をとるやなぎ』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその33』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 「煙山
(けむやま)にエレッキのやなぎの木があるよ。」
 藤原慶次郎がだしぬけに私に云いました。私たちがみんな教室に入って、机に座り、先
生はまだ教員室に寄っている間でした。尋常四年の二学期のはじめ頃だったと思います。
 「エレキの楊
(やなぎ)の木?」と私が尋ね返そうとしましたとき、慶次郎はあんまり短くて
書けなくなった鉛筆を、一番前の源吉に投げつけました。源吉はうしろを向いて、みんなの
顔をくらべていましたが、すばやく机に顔を伏せて、両手で頭をかかえてかくれていた慶次
郎を見つけると、まるで怒り出して
 「何するんだい。慶次郎。何するんだい。」なんて高く叫びました。みんなもこっちを見たの
で私も大へんきまりが悪かったのです。その時先生が、鞭や白墨や地図を持って入って来
られたもんですから、みんなは俄
(にわ)かにしずかになって立ち、源吉ももう一遍こっちをふ
りむいてから、席のそばに立ちました。慶次郎も顔をまっ赤にしてくつくつ笑いながら立ちま
した。そして礼がすんで授業がはじまりました。私は授業中もそのやなぎのことを早く慶次
郎に尋ねたかったのですけれどもどう云うわけかあんまり聞きたかったために云い出し兼
ねていました。それに慶次郎がもう忘れたような顔をしていたのです。
 けれどもその時間が終り、礼も済んでみんな並んで廊下へ出る途中、私は慶次郎にたず
ねました。
 「さっきの煙山
(けむやま)の楊(やなぎ)の木ね、どうしたって云うの。」
 慶次郎はいつものように、白い歯を出して笑いながら答えました。
 「今朝権兵衛茶屋のとこで、馬をひいた人がそう云っていたよ。煙山
(けむやま)の野原に鳥
を吸い込む楊
(やなぎ)の木があるって。エレキらしいって云ったよ。」
 「行こうじゃないか。見に行こうじゃないか。どんなだろう。きっと古い木だね。」私は冬によ
くやる木片を焼いて髪の毛に擦
(こす)るとごみを吸い取ることを考えながら云いました。
 「行こう。今日僕うちへ一遍帰ってから、さそいに行くから。」
 「待ってるから。」私たちは約束しました。そしてその通りその日のひるすぎ、私たちはいっ
しょに出かけたのでした。
                
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその33』でした。


  鳥をとるやなぎ お気に入りオノマトペ

  季節: 秋(二学期のはじめ頃)        権兵衛茶屋のわきから                                              蕎麦ばたけや松林を通って、                                       煙山(けむやま)の野原に出ましたら、       向うには毒ヶ森や南晶山(なんしょうざん)が、                     たいへん暗くそびえ、       その上を雲がぎらぎら光って、                                       処々(ところどころ)には竜の形の黒雲もあって、                  どんどん北の方へ飛び、   .       野原はひっそりとして人も馬も居ず、                               草には穂が一杯に出ていました。  

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=5つが最高。)
@くつくつ:【慶次郎も顔をまっ赤にしてくつくつ笑いながら立ちました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
Nばあっ:【そして水に足を入れたとき、私たちは思わずばあっと棒立ちになってしま
      いました。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
【慶次郎も顔をまっ赤にしてくつくつ笑いながら立ちました。】
 【そして水に足を入れたとき、私たちは思わずばあっと棒立ちになってしまいました。】

 なんか漫画のワンシーンのようにあざやかに眼に浮かんじゃうにゃぁ。



       「うん、鷹か何か来るといいねえ。                                    木の上を飛んでいて、                                               きっとよろよろしてしまうと僕はおもうよ。」   「きまってらあ、殺生石だってそうだそうだよ。」   

   「きっと鳥はくちばしを引かれるんだね。」       .    「そうさ。くちばしならきっと磁石にかかるよ。」      .

*** 鳥をとるやなぎオノマトペ ***
 

@くつくつ:【慶次郎も顔をまっ赤にしてくつくつ笑いながら立ちました。】
Aぎらぎら:【権兵衛茶屋のわきから蕎麦ばたけや松林を通って、煙山
(けむやま)の野原に出
      ましたら、向うには毒ヶ森や南晶山(なんしょうざん)が、たいへん暗くそびえ、その上を
      雲がぎらぎら光って、処々(ところどころ)には竜の形の黒雲もあって、どんどん北の方
      へ飛び、野原はひっそりとして人も馬も居ず、草には穂が一杯に出ていました。】
Bどんどん:【処々
(ところどころ)には竜の形の黒雲もあって、どんどん北の方へ飛び、野原は
      ひっそりとして人も馬も居ず、草には穂が一杯に出ていました。】
Cひっそり:【野原はひっそりとして人も馬も居ず、草には穂が一杯に出ていました。】
Dだんだん:【私たちはだんだん河の方へ行きました。】
Eごうごう:【その川は、ふだんは水も大へんに少くて、大抵の処なら着物を脱がなくても渉

      (わた)れる位だったのですが、一ぺん水が出ると、まるで川幅が二十間位にもな
      って恐ろしく濁り、ごうごう流れるのでした。】
Fくしゃくしゃ:【だんだん遡
(のぼ)って、とうとうさっき青いくしゃくしゃの球(たま)のように見え
      たいちばんはずれの楊(やなぎ)の木の前まで来ましたがやっぱり野原はひっそり
      して音もなかったのです。】
Gさっぱり:【「この木だろうか。さっぱり鳥が居ないからわからないねえ。」】
Hずうっ:【私が云いましたら慶次郎も心配そうに向うの方からずうっとならんでいる木を一本

      ずつ見ていました。】
Iよろよろ:【「うん、鷹か何か来るといいねえ。木の上を飛んでいて、きっとよろよろしてしま

      うと僕はおもうよ。」】
Jどうっ:【風がどうっとやって来ました。】
Kさっ:【するといままで青かった楊
(やなぎ)の木が、俄にさっと灰いろになり、その葉はみんな
      ブリキでできているように変ってしまいました。】
Lちらちらちらちら:【そしてちらちらちらちらゆれたのです。】
Mバチャン:【慶次郎は、いかにもその鷹やなにかが楊
(やなぎ)の木に嘴(くちばし)を引っぱら
      れて、逆(さかさ)になって木の中に吸い込まれるのを見たいらしく、上の方ばかり向
      いて歩きましたし、私もやはりその通りでしたから、二人はたびたび石につまづい
      て、倒れそうになったり又いきなりバチャンと川原の中のたまり水にふみ込んだり
      もしました。】
Nばあっ:【そして水に足を入れたとき、私たちは思わずばあっと棒立ちになってしまいまし

      た。】
Oがあがあがあがあ:【みんなその梢の中に入ってしばらくがあがあがあがあ鳴いていまし

      たが、まもなくしいんとなってしまいました。】
Pしいん:【まもなくしいんとなってしまいました。】
Qがあっ:【石はその半分も行きませんでしたが、百舌はにわかにがあっと鳴って、まるで音

      譜をばらまきにしたように飛びあがりました。】
Rがっかり:【「生きていたねえ、だまってみんな僕たちのこと見てたんだよ。」慶次郎はがっ

      かりしたようでした。】
Sバチャン:【慶次郎はそれを両手で起して、川へバチャンと投げました。】
21ずうっ:【もずが、まるで千疋
(びき)ばかりも飛びたって、野原をずうっと向うへかけて行くよ
      うに見えましたが、今度も又、俄に一本の柳の木に落ちてしまいました。】
22くるっ:【そして慶次郎もだまってくるっと戻ったのでした。】

 『鳥をとるやなぎ』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                2006.2.12.

 
 


新編 風の又三郎』の第十四話です。

   山の神の秋の祭りの晩でした。   




   亮二はあたらしい水色のしごきをしめて、   

   それに十五銭もらって、      お旅屋にでかけました。       .    「空気獣」という見世物が大繁盛でした。     .

**** 『祭の晩』 7p ****
 


 つーん、アセチレン・ランプの匂いだなや、『祭の晩』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその34』だよん。(^ ^;
<イントロ>
 山の神の秋の祭りの晩でした。
 亮二はあたらしい水色のしごきをしめて、それに十五銭もらって、お旅屋にでかけました。
「空気獣
(くうきじゅう)」という見世物が大繁盛でした。
 それは、髪を長くして、だぶだぶのずぼんをはいたあばたな男が、小屋の幕の前に立って、
「さあ、みんな、入れ入れ。」と大威張りでどなっているのでした。亮二が思わず看板の近くま
で行きましたら、いきなりその男が、
 「おい、あんこ、早ぐ入れ。銭は戻りでいいから。」と亮二に叫びました。亮二は思わず、つ
っと木戸口を入ってしまいました。すると小屋の中には、高木の甲助だの、だいぶ知ってい
る人たちが、みんなおかしいようなまじめなような顔をして、まん中の台の上を見ているので
した。台の上に空気獣がねばりついていたのです。それは大きな平べったいふらふらした白

いもので、どこが頭だか口だかわからず、口上云いがこっち側から棒でつっつくと、そこは引
っこんで向うがふくれ、向うをつっつくとこっちがふくれ、まん中を突くとまわりが一たいふくれ
ました。
    
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその34』でした。


 祭の晩 漫画紹介

 @鈴木翁二:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第4巻  .

                『ガロ』の匂いぷんぷん。(^ ^;
 

 鈴木翁二の漫画版『祭の晩』は、ムードいんじゃん。

 鈴木翁二は初対面の漫画家。んで、な〜んも期待してまへんでした。
 昔懐かしの漫画雑誌『ガロ』の匂いぷんぷん。mmmなかなかいい雰囲気ですよ。
 「空気獣
(くうきじゅう)」という見世物もいい味出してましたよ。
 昔の田舎の秋祭りのアセチレン・ランプのカーバイトがつーんと匂うようでしたよ。

 っつーことで、『祭の晩』の漫画版、鈴木翁二、『ガロ』の匂いええべ。
(^ ^;

 ps.鈴木翁二の漫画版『祭の晩』のワンシーンのセリフ「亮二、青い上着がくるよ」
    これって、『銀河鉄道の夜』のザネリのセリフ「ジョバンニ、ラッコの上着がくるよ」
    のパロディっつーか、オマージュっつーか、鈴木翁二クンなかなか遊んでますよ。


  季節: 秋 祭の晩 お気に入りオノマトペ

 
 その辺一ぱいにならんだ屋台の青い苹果(りんご)や葡萄(ぶどう)が、アセチレンのあかりできらきら光っていました。  亮二は、アセチレンの火は青くてきれいだけれどもどうも大蛇のような悪い臭(におい)がある、などと思いながら、そこを通り抜けました。  向うの神楽殿には、ぼんやり五つばかりの提灯がついて、これからおかぐらがはじまるところらしく、てびらがねだけしずかに鳴って居りました。  (昌一もあのかぐらに出る) と亮二は思いながら、しばらくぼんやりそこに立っていました。   .
 そしたら向うのひのきの陰の暗い掛茶屋のほうで、なにか大きな声がして、みんながそっちへ走って行きました。  

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆☆ 5つが最高。)
Lもにゃもにゃ:【男は首を垂れ、手をきちんと膝まで下げて、一生けん命口の中で何か
      もにゃもにゃ云っていました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
22ぼりぼり:【太い根や枝までついた、ぼりぼりに折られた太い薪でした。】
 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
もにゃもにゃ、ぼりぼり、って一度も使ったことないんだども、ちょこっといんじゃ〜ん。







 するとさっきの大きな男が、髪をもじゃもじゃして、しきりに村の若い者にいじめられているのでした。  額から汗を流してなんべんも頭を下げていました。    何か云おうとするのでしたが、どうもひどくどもってしまって語(ことば)が出ないようでした。

 てかてか髪をわけた村の若者が、みんなが見ているので、いよいよ勢(いきおい)よくどなっていました。    .  「貴様(さ)んみたいな、他処(よそ)から来たものに馬鹿にされて堪(たま)っか。早く銭を払え、銭を。無いのか、この野郎。無いなら何(な)して物食った。こら。」  

**** 祭の晩オノマトペ ****
 

@だぶだぶ:【「空気獣(くうきじゅう)」という見世物が大繁盛でした。それは、髪を長くして、だ
      ぶだぶのずぼんをはいたあばたな男が、小屋の幕の前に立って、「さあ、みん
      な、入れ入れ。」と大威張りでどなっているのでした。】
Aつっ:【亮二は思わず、つっと木戸口を入ってしまいました。】
Bふらふら:【台の上に空気獣がねばりついていたのです。それは大きな平べったいふらふ

      らした白いもので、どこが頭だか口だかわからず、口上云いがこっち側から棒で
      つっつくと、そこは引っこんで向うがふくれ、向うをつっつくとこっちがふくれ、まん
      中を突くとまわりが一たいふくれました。】
Cしげしげ:【亮二が不思議がってしげしげ見ていましたら、にわかにその男が、眼をぱち

      ぱちっとして、それから急いで向うを向いて木戸口の方に出ました。】
Dぱちぱちっ:【にわかにその男が、眼をぱちぱちっとして、それから急いで向うを向いて木

      戸口の方に出ました。】
Eぼんやり:【亮二がぼんやりそのおかしな形の空気獣の看板を見ているうちに、達二が又

      云いました。】
Fぴょんぴょん:【そして片脚で、ぴょんぴょん跳
(は)ねて、人ごみの中にはいってしまいまし
      た。】
Gきらきら:【その辺一ぱいにならんだ屋台の青い苹果
(りんご)や葡萄(ぶどう)が、アセチレ
      ンのあかりできらきら光っていました。】
Hもじゃもじゃ:【するとさっきの大きな男が、髪をもじゃもじゃして、しきりに村の若い者に

      いじめられているのでした。】
Iてかてか:【てかてか髪をわけた村の若者が、みんなが見ているので、いよいよ勢
(いきお
      い)よくどなっていました。】
Jぱちぱち:【男は黄金
(きん)色の眼をぱちぱちさせて、汗をふきふき云いました。】
Kすっかり:【亮二はすっかりわかりました。】
Lもにゃもにゃ:【男は首を垂れ、手をきちんと膝まで下げて、一生けん命口の中で何かも

      にゃもにゃ云っていました。】
Mじっ:【すると男はびっくりした様子で、じっと亮二の顔を見下していましたが、やがていき

      なり屈(かが)んでそれを取るやいなや、主人の前の台にぱちっと置いて、大きな
      声で叫びました。】
Nぱちっ:【やがていきなり屈
(かが)んでそれを取るやいなや、主人の前の台にぱちっと置
      いて、大きな声で叫びました。】
Oがやがや:【「山男だ、山男だ。」みんなは叫んで、がやがやあとを追おうとしましたが、も

      うどこへ行ったか、影もかたちも見えませんでした。】
Pごうごうっ:【風がごうごうっと吹き出し、まっくろなひのきがゆれ、掛茶屋のすだれは飛び、

      あちこちのあかりは消えました。】
Qとうとう:【お爺さんははじめはだまって亮二の顔を見ながら聞いていましたが、おしまいと

      うとう笑い出してしまいました。】
Rずうっ:【「こういう太い木を一本、ずうっと曲げて、それをもう一本の枝でやっと押えて置い

      て、その先へ魚などぶら下げて、狐だの熊だの取りに来ると、枝にあたってばちん
      とはねかえって殺すようにしかけたりしているそうだ。」】
Sばちん:【「狐だの熊だの取りに来ると、枝にあたってばちんとはねかえって殺すようにしか

      けたりしているそうだ。」】
21どしんがらがらがらっ:【その時、表の方で、どしんがらがらがらっと云う大きな音がして、

      家は地震の時のようにゆれました。】
22ぼりぼり:【太い根や枝までついた、ぼりぼりに折られた太い薪でした。】
23きらきらきらきら:【見るとそこらいちめん、きらきらきらきらする栗の実でした。】
24ぐるぐる:【「着物と団子だけじゃつまらない。もっともっといいものをやりたいな。山男が嬉

      しがって泣いてぐるぐるはねまわって、それからからだが天に飛んでしまう位いい
      ものをやりたいなあ。」】
25ごう:【風が山の方で、ごうっと鳴って居ります。】

 『祭の晩』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                2006.2.14.

 
 


新編 風の又三郎』の第十五話です。

 .

      グスコ−ブドリは、                                                    イ−ハト−ブの大きな森のなかに生れました。      お父さんは、                                                          グスコ−ナドリという名高い木樵(きこ)りで、                      どんな巨(おお)きな木でも、                                        まるで赤ん坊を寝かしつけるように                                  訳なく伐(き)ってしまう人でした。      ブドリにはネリという妹があって、                                     二人は毎日森で遊びました。      ごしっごしっとお父さんの樹を鋸(ひ)く音が、                      やっと聴えるくらいな遠くへも行きました。      二人はそこで木苺の実をとって湧水に漬けたり、                 空を向いてかわるがわる                                             山鳩の啼(な)くまねをしたりしました。

   .
      するとあちらでもこちらでも、                                         ぽう、ぽう、と鳥が睡(ねむ)そうに鳴き出すのでした。  .

***** 『グスコーブドリの伝記』 42p *****
 

 スタジオ・ジブリだにゃぁ、クーボー大博士、『グスコーブドリの伝記』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその35』だよん。(^ ^;

 ブドリがその小さな汚い手帳を出したとき、クーボー大博士は大きなあくびをやりながら、

(かが)んで眼をぐっと手帳につけるようにしましたので、手帳はあぶなく大博士に吸い込
まれそうになりました。
 ところが大博士は、うまそうにこくっと一つ息をして、「よろしい。この図は非常に正しくで
きている。そのほかのところは、何だ、ははあ、沼ばたけのこやしのことに、馬のたべ物の
ことかね。では問題を答えなさい。工場
(こうば)の煙突から出るけむりには、どういう色の種
類があるか。」
 ブドリは思わず大声に答えました。
 「黒、褐、黄、灰、白、無色。それからこれらの混合です。」
 大博士はわらいました。
 「無色のけむりは大へんいい。形について云いたまえ。」
   
(中 略)
 大博士はまたわらいました。
 「よろしい。きみはどういう仕事をしているのか。」
 「仕事をみつけに来たんです。」
 「面白い仕事がある。名刺をあげるから、そこへすぐ行きなさい。」博士は名刺をとり出し
て何かするする書き込んでブドリに呉れました。ブドリはおじぎをして、戸口を出て行こうと
しますと、大博士はちょっと眼で答えて、
 「何だ。ごみを焼いてるのかな。」と低くつぶやきながら、テ−ブルの上にあった鞄に、白
(チョーク)のかけらや、はんけちや本や、みんな一緒に投げ込んで小脇にかかえ、さっき
顔を出した窓から、プイッと外へ飛び出しました。びっくりしてブドリが窓へかけよって見ます
といつか大博士は玩具
(おもちゃ)のような小さな飛行船に乗って、じぶんでハンドルをとりな
がら、もううす青いもやのこめた町の上を、まっすぐに向うへ飛んでいるのでした。ブドリが
いよいよ呆
(あき)れて見ていますと、間もなく大博士は、向うの大きな灰いろの建物の平屋
根に着いて船を何かかぎのようなものにつなぐと、そのままぽろっと建物の中へ入って見え
なくなってしまいました。
             
(丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその35』でした。

 ps.二階の窓から、プイッと外へ飛び出し、玩具
(おもちゃ)のような小さな飛行船にひらりと
   飛び乗るクーボー大博士、mmm カッチョイイ! スタジオ・ジブリだなや。
(^ ^;


 グスコーブドリの伝記 漫画紹介

 @松本零士:宮沢賢治漫画館(潮出版社)第4巻  .

 Aますむらひろし:ますむら版宮沢賢治童話集
                     (朝日ソノラマ)

 B山本まさはる:文芸まんがシリーズ16風の又三郎
                         (ぎょうせい)

        一等賞は、山本まさはる、なのら。(^ ^;

 

 @松本零士の漫画版『グスコーブドリの伝記』は、遠近法カッチョイイ!飛行船ココチエエ!
けれど、成人した妹ネリ好きくない、っつー感じで、まぁまぁ、なのら。

 Aますむらひろしは、猫たちが人間を演じる、っつーマニアックな画法なんだけども、名演
技猫は出て来まへん、残念。 ユルキャラ『アタゴオル』とおんなじ漫画家とは思えまへん。
ったく、まじめ猫ばっか。おまえら、演技、カテエんだよ。ちったぁヒデヨシ見習えっつんだ
よ。ったく。

 B山本まさはるは、初対面。なぁ〜んも期待してまへんでした。mmm クーボー大博士が
グンバツの名演技、このキャラ、サイコー! 原作のユーモアをしっかり演じてくれはりまし
た。
 今にも噴火しそうにぐらぐらゆれるサンムトリ火山で調査中のペンネンナーム技師とグス
コーブドリを訪ねて来たクーボー大博士、原作通りおしゃれなのら。
 玩具
(おもちゃ)のような小さな飛行船からひらりと飛び降りたクーボー大博士、
 「お茶を呼ばれに来たよ。ゆれるかい。」大博士はにやにやわらって云いました。

 この名シーンを原作通りのユーモアで描いた、山本まさはる大画伯なのら。

 っつーことで、『グスコーブドリの伝記』の漫画版、一等賞は、山本まさはる、なのら。
(^ ^;


 グスコーブドリの伝記 お気に入りオノマトペ

  季節:不特定         ブドリがふっと眼をひらいたとき、                                     いきなり頭の上で、いやに平べったい声がしました。     「やっと眼がさめたな。まだお前は飢饉のつもりかい。               起きておれに手伝わないか。」      見るとそれは茶いろなきのこしゃっぽをかぶって                     外套にすぐシャツを着た男で、                                      何か針金でこさえたものをぶらぶら持っているのでした。     「もう飢饉は過ぎたの? 手伝いって何を手伝うの?」              ブドリがききました。      「網掛けさ」         .       「ここへ網を掛けるの?」       

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆☆☆ 5つが最高。)
69のんのん:【停車場を一足出ますと、地面の底から何かのんのん湧くようなひびきや
      どんよりとしたくらい空気、行ったり来たりする沢山の自動車のあいだに、ブ
      ドリはしばらくぼうとしてつっ立ってしまいました。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=★★5つが最高。)
52しおしお:【主人はだまってしおしおと沼ばたけを一まわりしましたが、家(うち)へ帰
      りはじめました。】
86
するする:【博士は名刺をとり出して何かするする書き込んでブドリに呉れました。】
95
むくむく:【ある日ブドリが老技師とならんで仕事をして居りますと、俄(にわ)かにサ
      ンムトリという南の方の海岸にある火山が、むくむく器械に感じ出してきまし
      た。】

 

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 【停車場を一足出ますと、地面の底から何かのんのん湧くようなひびきやどんよりと
  したくらい空気、行ったり来たりする沢山の自動車のあいだに、ブドリはしばらくぼ
  うとしてつっ立ってしまいました。】

 のんのん、っつーの久しぶりに大好きな出会い、でした。るんるん。


     「何でもかんでも、おれは山師張るときめた。」                     するとも一人の白い笠をかぶった                                   せいの高いおじいさんがいいました。     「やめろって云ったらやめるもんだ。                                    そんなに肥料(こやし)うんと入れて、                               藁(わら)はとれるったって、                                          実は一粒もとれるもんでない。」
     「うんにゃ、おれの見込みでは、                                      今年は今までの三年分暑いに相違ない。                        一年で三年分とって見せる。」      「やめろ。やめろ。やめろったら。」

     「うんにゃ。やめない。花はみんな埋めてしまったから、              こんどは豆玉を六十枚入れて                                      それから鶏(とり)の糞(かえし)、百駄入れるんだ。               急がしったら何のこう忙しくなれば、                                 ささげの蔓(つる)でもいいから                                       手伝いに頼みたいもんだ。」           .       ブドリは思わず近寄っておじぎをしました。                        「そんならぼくを使ってくれませんか。」  

***** グスコーブドリの伝記オノマトペ *****.
 

@ごしっごしっ:【ごしっごしっとお父さんの樹(き)を鋸(ひ)く音が、やっと聴(きこ)えるくらいな
      遠くへも行きました。】
Aぼう、ぼう、:【するとあちらでもこちらでも、ぼう、ぼう、と鳥が睡
(ねむ)そうに鳴き出すの
      でした。】
Bばさばさ:【するとこんどは、もういろいろの鳥が、二人のばさばさした頭の上を、まるで

      挨拶するように啼(な)きながらざあざあざあざあ通りすぎるのでした。】
Cざあざあざあざあ:【まるで挨拶するように啼
(な)きながらざあざあざあざあ通りすぎるの
      でした。】
Dぐしゃぐしゃ:【ところがどういうわけですか、その年は、お日さまが春から変に白くて、い

      つもなら雪がとけると間もなく、まっしろな花をつけるこぶしの樹(き)もまるで咲か
      ず、五月になってもたびたび霙(みぞれ)がぐしゃぐしゃ降り、七月の末になっても
      一向に暑さが来ないために去年播(ま)いた麦も粒の入らない白い穂しかできず、
      大抵の果物も花が咲いただけで落ちてしまったのでした。】
Eとうとう:【そしてとうとう秋になりましたが、やっぱり栗の木は青いからのいがばかりでし

      たし、みんなでふだんたべるいちばんたいせつなオリザという穀物も、一つぶも
      できませんでした。】
Fやっぱり:【やっぱり栗の木は青いからのいがばかりでしたし、みんなでふだんたべるい

      ちばんたいせつなオリザという穀物も、一つぶもできませんでした。】
Gがっかり:【ブドリのお父さんもお母さんも、たびたび薪を野原の方へ持って行ったり、冬

      になってからは何べんも巨きな樹を町へそりで運んだりしたのでしたが、いつも
      がっかりしたようにして、わずかの麦の粉などもって帰ってくるのでした。】
Hすっかり:【それでもどうにかその冬は過ぎて次の春になり、畑には大切にしまって置い

      た種子も播かれましたが、その年もまたすっかり前の年の通りでした。】
Iじっ:【ある日お父さんは、じっと頭をかかえて、いつまでもいつまでも考えていましたが、

      俄かに起きあがって、「おれは森へ行って遊んでくるぞ」と云いながら、よろよろ
      家を出て行きましたが、まっくらになっても帰って来ませんでした。】
Jよろよろ:【「おれは森へ行って遊んでくるぞ。」と云いながら、よろよろ家を出て行きまし

      たが、まっくらになっても帰って来ませんでした。】
Kうろうろ:【とうとうこらえ切れなくなって、まっくらな森の中へ入って、いつかのホップの門

      のあたりや、湧水のあるあたりをあちこちうろうろ歩きながら、お母さんを一晩呼
      びました。】
Lちらちら:【森の樹
(き)の間からは、星がちらちら何か云うようにひかり、鳥はたびたびお
      どろいたように暗(やみ)の中を飛びましたけれども、どこからも人の声はしません
      でした。】
Mぼんやり:【とうとう二人はぼんやり家へ帰って中へはいりますと、まるで死んだように睡

      (ねむ)ってしまいました。】
Nぽん:【その男は籠の中から円
(まる)い餅をとり出してぽんと投げながら言いました。】
Oこわごわ:【二人がこわごわたべはじめますと、男はじっと見ていましたが、「お前たちは

      いい子供だ。けれどもいい子供だというだけでは何にもならん。」】
Pじっ:【男はじっと見ていましたが、「お前たちはいい子供だ。けれどもいい子供だという

      だけでは何にもならん。」】
Qぷいっ:【そしてぷいっとネリを抱きあげて、せなかの籠へ入れて、そのまま「おおほいほ

      い。おおほいほい。」とどなりながら、風のように家(うち)を出て行きました。】
Rおおほいほい。おおほいほい:【そのまま「おおほいほい。おおほいほい。」とどなりなが

      ら、風のように家を出て行きました。】
Sわっ:【ネリはおもてではじめてわっと泣き出し、ブドリは、「どろぼう、どろぼう。」と泣きな

      がら叫んで追いかけましたが、男はもう森の横を通ってずうっと向うの草原(くさは
      ら)を走っていて、そこからネリの泣き声が、かすかにふるえて聞えるだけでした。】
21ずうっ:【男はもう森の横を通ってずうっと向うの草原
(くさはら)を走っていて、そこからネリ
      の泣き声が、かすかにふるえて聞えるだけでした。】
22ばったり:【ブドリは、泣いてどなって森のはずれまで追いかけて行きましたが、とうとう疲

      れてばったり倒れてしまいました。】
23ふっ:【ブドリがふっと眼をひらいたとき、いきなり頭の上で、いやに平べったい声がしまし

      た。】
24ぶらぶら:【見るとそれは茶いろなきのこしゃっぽをかぶって外套にすぐシャツを着た男

      で、何か針金でこさえたものをぶらぶら持っているのでした。】
25ぶりぶり:【男はブドリを地面におろしながらぶりぶり憤
(おこ)り出しました。】
26ふにゃふにゃ:【「お前もいくじのないやつだ。何というふにゃふにゃだ。」】
27すたすた:【男はポケットから、まりを十ばかり出してブドリに渡すと、すたすた向うへ行っ

      てしまいました。】
28はあはあ:【ブドリはまた三つばかりそれを投げましたが、どうしても息がはあはあしてか

      らだがだるくてたまらなくなりました。】
29むしゃむしゃ:【ブドリはもうやけになって、だまってその男のよこした蒸しパンをむしゃむ

      しゃたべて、またまりを十ばかり投げました。】
30ぐらぐら:【それをこんどは片っぱそから鍋に入れてぐらぐら煮て、手で車をまわしながら

      糸をとりました。】
31がらがらがらがら:【夜も昼もがらがらがらがら三つの糸車をまわして糸をとりました。】
32ぽろぽろぽろぽろ:【こうしてこしらえた黄いろな糸が小屋に半分ばかりたまったころ、外

      に置いた繭からは、大きな白い蛾がぽろぽろぽろぽろ飛びだしはじめました。】
33にやにや:【てぐす飼いの男が、ブドリに、「おい、お前の来春
(らいはる)まで食うくらいの
      ものは家(うち)の中に置いてやるからな、それまでここで森と工場の番をしてい
      るんだぞ。」と云って変ににやにやしながら、荷馬車についてさっさと行ってしま
      いました。】
34さっさ:【荷馬車についてさっさと行ってしまいました。】
35ぎっしり:【中には十冊ばかりの本がぎっしり入って居りました。】
36ぐらぐらっ:【ある朝、ブドリたちが薪をつくっていましたら俄にぐらぐらっと地震がはじま

      りました。】
37ずうっ:【それからずうっと遠くでどーんという音がしました。】
38どーん:【どーんという音がしました。】
39ばさばさばさばさ:【しばらくたつと日が変にくらくなり、こまかな灰がばさばさばさばさ降

      って来て、森はいちめんまっ白になりました。】
40どんどん:【そう云ったかと思うと、もうどんどん走って行ってしまいました。】
41しょんぼり:【そこでブドリは、しょんぼりとみんなの足痕
(あしあと)のついた白い灰をふん
      で野原の方へ出て行きました。】
42ばさばさ:【灰は風の吹くたびに樹
(き)からばさばさ落ちて、まるでけむりか吹雪のようで
      した。】
43だんだん:【けれどもそれは野原へ近づくほど、だんだん浅く少なくなって、ついには樹

      (き)も緑に見え、みちの足痕(あしあと)も見えないくらいになりました。】
44ぎっしり:【そばへ寄ってみると、その桃いろなのには、いちめんにせいの低い花が咲い

      ていて、蜜蜂がいそがしく花から花をわたってあるいていましたし、緑いろなの
      には小さな穂を出して草がぎっしり生え、灰いろなのは浅い泥の沼でした。】
45ぎょっ:【すると二人は、ぎょっとしたように顔をあげて、あごに手をあててしばらくブドリを

      見ていましたが、赤鬚が俄(にわ)かに笑い出しました。】
46さっさ:【赤鬚
(あかひげ)は、ブドリとおじいさんに交(かわ)る交(がわ)る云いながら、さっさと
      先に立って歩きました。】
47ぴしゃっ:【馬はたびたびぴしゃっと泥水をはねあげて、みんなの顔へ打ちつけました。】
48ゆっくりゆっくり:【そらでは、毎日甘くすっぱいような雲が、ゆっくりゆっくりながれていて、

      それがじつにうらやましそうに見えました。】
49どろどろ:【こうして二十日ばかりたちますと、やっと沼ばたけはすっかりどろどろになりま

      した。】
50はっきり:【ブドリの主人の苗は大きくなってまるで黒いくらいなのに、となりの沼ばたけは

      ぼんやりしたうすい緑いろでしたから、遠くから見ても、二人の沼ばたけははっき
      り堺まで見わかりました。】
51ぼんやり:【見ると唇のいろまで水いろになって、ぼんやりまっすぐ見つめているのです。】
52しおしお:【主人はだまってしおしおと沼ばたけを一まわりしましたが、家
(うち)へ帰りはじ
      めました。】
53おろおろ:【おかみさんはおろおろ泣きはじめました。】
54むっくり:【すると主人が俄かに元気になってむっくり起きあがりました。】
55ぐう:【「さあ、五日でも十日でもいいから、ぐうというくらい寝てしまえ。」】
56のろのろ:【ブドリは主人に云われた通り納屋へ入って睡
(ねむ)ろうと思いましたが、何だ
      かやっぱり沼ばたけが苦になって仕方ないので、またのろのろそっちへ行って
      みました。】
57ぎらぎら:【見ると沼ばたけには水がいっぱいで、オリザの株は葉をやっと出しているだ

      け、上にはぎらぎら石油が浮んでいるのでした。】
58ほう:【主人は、「頭から石油を漬
(つ)けられたら人だって死ぬだ。」と云いながら、ほうと
      息を吸って首をちぢめました。】
59かんかん:【となりの男は、かんかん怒ってしまってもう物も云えず、いきなりがぶがぶ水

      へ入って、自分の水口に泥を積みあげはじめました。】
60がぶがぶ:【いきなりがぶがぶ水へ入って、自分の水口に泥を積みあげはじめました。】
61にやり:【主人はにやりと笑いました。】
62すたすた:【主人はさきに立ってすたすた家
(うち)へあるきはじめました。】
63とうとう:【その次の朝、とうとう主人は決心したように云いました。】
64どんどん:【水はどんどん退き、オリザの株は見る見る根もとまで出て来ました。】
65あっ:【「その代
(かわ)りおまえは、おれの死んだ息子の読んだ本をこれから一生けん命
      勉強して、いままでおれを山師だといってわらったやつらを、あっと云わせるよう
      な立派なオリザを作る工夫をしてくれ。」】
66ゆらゆら:【そして八月のなかばになると、オリザの株はみんなそろって穂を出し、その

      穂の一枝ごとに小さな白い花が咲き、花はだんだん水いろの籾(もみ)にかわっ
      て、風にゆらゆら波をたてるようになりました。】
67さっぱり:【植え付けの頃からさっぱり雨が降らなかったために、水路は乾いてしまい、

      沼にはひびが入って、秋のとりいれはやっと冬じゅう食べるくらいでした。】
68どんどんどんどん:【汽車はいくつもの沼ばたけをどんどんどんどんうしろへ送りながら、

      もう一散に走りました。】
69のんのん:【停車場を一足出ますと、地面の底から何かのんのん湧くようなひびきやど

      んよりとしたくらい空気、行ったり来たりする沢山の自動車のあいだに、ブドリ
      はしばらくぼうとしてつっ立ってしまいました。】
70どんより:【どんよりとしたくらい空気、行ったり来たりする沢山の自動車のあいだに、

      ブドリはしばらくぼうとしてつっ立ってしまいました。】
71ぼう:【ブドリはしばらくぼうとしてつっ立ってしまいました。】
72ぎらり:【するとすぐ頭の上の二階の窓から、大きな灰いろの頭が出て、めがねが二つ

      ぎらりと光りました。】
73どっ:【「今授業中だよ。やかましいやつだ。用があるならはいって来い。」とどなりつけ

      て、すぐ頭を引っ込めますと、中では大勢でどっと笑い、その人は構わずまた
      何か大声でしゃべっています。】
74ぎっしり:【中にはさまざまの服装をした学生がぎっしりです。】
75がちっ:【模型はがちっと鳴って奇体な船のような形になりました。】
76さっさっ:【左手にもチョークをもって、さっさっと書きました。】
77じろじろ:【先生はもう書いてしまって、壇の上にまっすぐに立って、じろじろ学生たちの

      席を見まわしています。】
78そっ:【ブドリはそっとききました。「ね、この先生は何て云うんですか。」すると学生は

      ばかにしたように鼻でわらいながら答えました。「ク−ボ−大博士さお前知ら
      なかったのかい。」】
79ぱっ:【その時教室に、ぱっと電燈がつきました。】
80わあ:【学生たちはわあと叫んで、みんなばたばたノ−トをとじました。】
81ばたばた:【学生たちはわあっと叫んで、みんなばたばたノートをとじました。】
82そっ:【学生はその間、いかにも心配そうに首をちぢめているのでしたが、それからそ

      っと肩をすぼめて廊下まで出て、友達にそのしるしを読んでもらって、よろこん
      だりしょげたりするのでした。】
83ぐんぐん:【ぐんぐん試験が済んで、いよいよブドリ一人になりました。】
84ぐっ:【ブドリがその小さな汚い手帳を出したとき、クーボー大博士は大きなあくびをや

      りながら、屈(かが)んで眼をぐっと手帳につけるようにしましたので、手帳はあ
      ぶなく大博士に吸い込まれそうになりました。】
85こくっ:【ところが大博士は、うまそうにこくっと一つ息をして、「よろしい。この図は非常

      に正しくできている。」】
86するする:【博士は名刺をとり出して何かするする書き込んでブドリに呉れました。】
87プイッ:【「何だ。ごみを焼いてるのかな。」と低くつぶやきながら、テーブルの上にあっ

      た鞄に、白墨(チョーク)のかけらや、はんけちや本や、みんな一緒に投げ込ん
      で小脇にかかえ、さっき顔を出した窓から、プイッと外へ飛び出しました。】
88ぽろっ:【ブドリがいよいよ呆
(あき)れて見ていますと、間もなく大博士は、向うの大きな
      灰いろの建物の平屋根に着いて船を何かかぎのようなものにつなぐと、そのま
      まぽろっと建物の中へ入って見えなくなってしまいました。】
89くっきり:【ブドリが、クーボー大博士から貰った名刺の宛名をたずねて、やっと着いた

      ところは大きな茶いろの建物で、うしろには房のような形をした高い柱が夜の
      そらにくっきり白く立って居りました。】
90きちん:【そこにはいままでに見たこともないような大きなテ−ブルがあって、そのまん

      中に一人の少し髪の白くなった人のよさそうな立派な人が、きちんと座って耳
      に受話器をあてながら何か書いていました。】
91ジー:【みんな赤や橙や黄のあかりがついていて、それが代
(かわ)る代(がわ)る色が変
      ったりジーと蝉のように鳴ったり、数字が現われたり消えたりしているのです。】
92ことっ:【ブドリがわれを忘れて見とれて居りますと、その人が受話器をことっと置いて

      ふところから名刺入れを出して、一枚の名刺をブドリに出しながら、「あなたが、
      グスコーブドリ君ですか。」】
93もじもじ:【その人はブドリの挨拶になれないでもじもじしているのを見ると、重ねて親

      切に云いました。】
94しっかり:【「さっきク−ボ−博士から電話があったのでお待ちしていました。まあこれ

      から、ここで仕事しながらしっかり勉強してごらんなさい。] 】
95むくむく:【ある日ブドリが老技師とならんで仕事をして居りますと、俄
(にわ)かにサンム
      トリという南の方の海岸にある火山が、むくむく器械に感じ出してきました。】
96どしどし:【「今度爆発すれば、多分山は三分の一、北側をはねとばして、牛や卓子
(テ
      ーブル)ぐらいの岩は熱い灰や瓦斯(ガス)といっしょに、どしどしサンムトリ市に
      落ちてくる。」】
97ぎしぎし:【その時脚
(あし)の下では、つぶやくような微(かす)かな音がして、観測小屋
      はしばらくぎしぎし軋(きし)みました。】
98だんだん:【空にはだんだん雲が出て、それに日ももう落ちたのか、海はさびしい灰い

      ろに変り、たくさんの白い波がしらは、一せいに火山の裾(すそ)に寄せて来ま
      した。】
99ひらり:【飛行船はもう小屋の左側の大きな岩の壁の上にとまって中からせいの高い

      クーボー大博士がひらりと飛び下りていました。】
100にやにや:【「お茶をよばれに来たよ。ゆれるかい。」大博士はにやにやわらって云い

      ました。】
101ぼろぼろ:【「まだそんなでない。けれどもどうも岩がぼろぼろ上から落ちているらしい

      んだ。」】
102ぐらぐら:【山はぐらぐら続けてゆれました。】
103ゆっくり:【見るとク−ボ−大博士も老技師もしゃがんで岩へしがみついていましたし、

      飛行船も大きな波に乗った船のようにゆっくりゆれて居りました。】
104ぽかぽか:【中ではお茶がひっくり返って、アルコールが青くぽかぽか燃えていました。】
105わくわく:【ブドリは胸がわくわくしました。】
106げっそり:【ペンネン技師の頬はげっそり落ち、工作隊の人たちも青ざめて眼ばかり光

      らせながら、それでもみんな笑ってブドリに挨拶しました。】
107ひっそり:【野原には、白百合がいちめん咲き、その向うにサンムトリが青くひっそりと

      立っていました。】
108ぐらぐらっ:【俄かにサンムトリの左の裾がぐらぐらっとゆれまっ黒なけむりがぱっと立

      ったと思うとまっすぐに天にのぼって行って、おかしなきのこの形になり、その
      足もとから黄金(きん)色の溶岩がきらきら流れ出して、見るまにずうっと扇形に
      ひろがりながら海へ入りました。】
109ぱっ:【まっ黒なけむりがぱっと立ったと思うとまっすぐに天にのぼって行って、おかし

      なきのこの形になり、その足もとから黄金(きん)色の溶岩がきらきら流れ出し
      て、見るまにずうっと扇形にひろがりながら海へ入りました。】
110きらきら:【おかしなきのこの形になり、その足もとから黄金
(きん)色の溶岩がきらきら
      流れ出して、見るまにずうっと扇形にひろがりながら海へ入りました。】
111ずうっ:【見るまにずうっと扇形にひろがりながら海へ入りました。】
112ごうっ:【と思うと地面は烈しくぐらぐらゆれ、百合の花もいちめんゆれ、それからごう

      っというような大きな音が、みんなを倒すくらい強くやってきました。】
113どうっ:【それから風がどうっと吹いて行きました。】
114ぱらぱらぱらぱら:【この時サンムトリの煙は、崩れるようにそらいっぱいひろがって

      来ましたが、忽(たちま)ちそらはまっ暗になって、熱いこいしがぱらぱらぱらぱ
      ら降ってきました。】
115どんどん:【そしてサンムトリの裾には小さな瘤
(こぶ)ができて、そこから灰いろの煙
      が、まだどんどん登って居りました。】
116ジー:【受話器がジーと鳴りました。】
117ざあざあ:【「船はいま帰って来た。下の方の支度はすっかりいい。雨はざあざあ降っ

      ている。もうよかろうと思う。はじめてくれ給え。」】
118パッパッ:【見る見るさっきのけむりの網は、美しい桃いろや青や紫に、パッパッと眼

      もさめるようにかがやきながら、点(つ)いたり消えたりしました。】
119うっとり:【ブドリはまるでうっとりとしてそれに見とれました。】
120だんだん:【そのうちにだんだん日は暮れて、雲の海もあかりが消えたときは、灰いろ

      か鼠いろかわからないようになりました。】
121ぼんやり:【電光の合間に、東の雲の海のはてがぼんやり黄ばんでいるのでした。】
122ぶつぶつぶつぶつ:【雲の海はあっちでもこっちでもぶつぶつぶつぶつ呟
(つぶや)
      ているのです。】
123ぐっすり:【ブドリは毛布をからだに巻いてぐっすり睡
(ねむ)りました。】
124ぷいっ:【ブドリはいやになって、ぷいっと表へ出ましたら、向うから髪を角刈りにした

      せいの高い男が来て、いきなり、「おい、お前、今年の夏、電気でこやしを降ら
      せたブドリだな。」と云いました。】
125げらげら:【すると今の家
(うち)の中やそこらの畑から、七、八人の百姓たちが、げらげ
      らわらってかけて来ました。】
126とうとう:【ブドリはとうとう何が何だかわからなくなって倒れてしまいました。】
127おずおず:【ブドリは夢ではないかと思いましたら、まもなく一人の日に焼けた百姓の

      おかみさんのような人が、おずおずと入って来ました。】
128ぼつぼつ:【二人はしばらく物も言えませんでしたが、やっとブドリが、その後のことを

      たずねますと、ネリもぼつぼつとイーハトーブの百姓のことばで、今までのこと
      を談(はな)しました。】
129がっかり:【またあの森の中へ主人の息子といっしょに何べんも行って見たけれども、

      家はすっかり壊れていたし、ブドリはどこへ行ったかわからないのでいつもが
      っかりして帰っていたら、昨日新聞で主人がブドリのけがをしたことを読んだの
      でやっとこっちへ訪ねて来たということも云いました。】
130ずうっ:【もうよほど年は老
(と)っていましたが、やはり非常な元気で、こんどは毛の長
      い兎を千疋(びき)以上も飼ったり、赤い甘藍(かんらん)ばかり畑に作ったり、相
      変らずの山師はやっていましたが、暮しはずうっといいようでした。】
131ぐんぐん:【けれどもそれから三四日たちますと、気候はぐんぐん暖くなってきて、その

      秋はほぼ普通の作柄になりました。】

 『グスコーブドリの伝記』のオノマトペ、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝
(^ ^;
                                                   2006.2.17.

 
 



新編 風の又三郎』の第十六話です。

      「あいつは外国人だな」            「学校さ入るのだな。」            変なこどもはやはりきょろきょろこっちを見るだけ                    きちんと腰掛けています。




      そのとき風がどうと吹いて来て                                       教室のガラス戸はみんながたがた鳴り、      学校のうしろの山の萱(かや)や栗の木は                         みんな変に青じろくなってゆれ、


      教室のなかのこどもは何だか                                        にやっとわらってすこしうごいたようでした。                           すると嘉助(かすけ)がすぐ叫びました。    .       「ああわかったあいつは風の又三郎だぞ。」       

****** 『風の又三郎』 55p ******
 

 あいつが来ると、風がどうと鳴るんだなや、『風の又三郎』。

 っつーことで、『
賢治童話丸写しシリーズその36』だよん。(^ ^;
<イントロ>
    九月一日

 どっどどどどうど どどうど どどう、
 青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんもふきとばせ
 どっどどどどうど どどうど どどう

 谷川の岸に小さな学校がありました。
 教室はたった一つでしたが生徒は一年から六年までみんなありました。運動場もテニスコ
−トのくらいでしたがすぐうしろは栗の木のあるきれいな草の山でしたし、運動場の隅には
ごぼごぼつめたい水を噴く岩穴もあったのです。
 さわやかな九月一日の朝でした。青ぞらで風がどうと鳴り、日光は運動場いっぱいでした。
黒い雪袴をはいた二人の一年生の子がどてをまわって運動場にはいって来て、まだほかに
誰も来ていないのを見て
 「ほう、おら一等だぞ。一等だぞ。」とかわるがわる叫びながら大悦
(よろこ)びで門をはいっ
て来たのでしたが、ちょっと教室の中を見ますと、二人ともまるでびっくりして棒立ちになり、
それから顔を見合せてぶるぶるふるえました。がひとりはとうとう泣き出してしまいました。
というわけは、そのしんとした朝の教室のなかにどこから来たのか、まるで顔も知らないお
かしな赤い髪の子供がひとり一番前の机にちゃんと座っていたのです。そしてその机とい
ったらまったくこの泣いた子の自分の机だったのです。もひとりの子ももう半分泣きかけて
いましたが、それでもむりやり眼をりんと張ってそっちの方をにらめていましたら、ちょうど
そのとき川上から
 「ちょうはあかぐり ちょうはあかぐり」と高く叫ぶ声がしてそれからまるで大きな烏のよう
に嘉助
(かすけ)が、かばんをかかえてわらって運動場へかけて来ました。
                     (丸写しオシマイ)
 『
賢治童話丸写しシリーズその36』でした。

ps1.五年生の嘉助がいきなり「ああ、三年生に入るのだ。」と叫びました。
    っつーことは又三郎は三年生だなや。?

ps2.すると先生は、高田さんこっちへお入りなさいと云いながら四年生の列のところに連れて
   行って丈
(たけ)を嘉助とくらべてから嘉助とそのうしろのきよの間へ立たせました。
    っつーことは嘉助ときよと又三郎は四年生だなや。??
    ありぃ、ps1.で、『五年生の嘉助』って書いてあったべぇ。??

ps3.三時間目になるとこんどは三年生と四年生が国語で五年生と六年生が数学でした。
   すると又三郎はどこから出したか小さな消し炭で雑記帖の上へがりがりと大きく運算して
   いたのです。
    っつーことは、今度は、又三郎は五年生だなや。???

    つ、つ、つまり、又三郎は、三年生だか四年生だか五年生だか、ゆぐわがらない不思議
   な少年なんだなや。mmm さすが、『風の又三郎』、奥が深いですねぇ。(^ ^;

 
 


 風の又三郎 漫画紹介

 @山本まさはる:文芸まんがシリーズ16風の又三郎(ぎょうせい)

 A片山愁:風の又三郎(角川書店)

 Bますむらひろし:ますむら版宮沢賢治童話集(朝日ソノラマ)

   
     ◆一等賞は、ますむらひろし、だにゃぁ。(^ ^;

 

@山本まさはるの漫画版『風の又三郎』は、田舎臭さ、ぐー、こどもらしさ、いまいち。
 クーボー大博士のようなはまり役のキャラが一人もおまへんどした。

A片山愁は、初対面、ま、少女漫画だなや。田舎の小学生の匂いがしないずら。
 肉体も表情も現代っ子だなや。

Bますむらひろしは、猫たちが人間を演じる、っつーマニアックな画法。
 出ました!ついに出ました!
 「ちょうはあかぐり、ちょうはあかぐり」と高く叫びながら、ヒデヨシっぽいユルキャラ猫
が嘉助
(かすけ)役で出ずっぱり。田舎っぽさもグーよ。お陰で他の猫クンたちも活気づ
いたにゃぁ。
 又三郎役の猫クンも神秘的でクールないい味出してましたよ。
 ようやく『アタゴオル』の猫たちが『風の又三郎』を演じてくれました。
 九月十二日(月)の台風の朝、風と一緒に又三郎は飛んで行ってしまうかも知れない、
早ぐ学校さ行かねば、って一郎役の猫クンが、味噌をおかずに冷たい朝飯をざくざく食
べる、っつーシーンは、傑作だにゃぁ。

 っつーことで、『風の又三郎』の漫画版、一等賞は、
ますむらひろし、だにゃぁ(^ ^;

 
 


  『風の又三郎 お気に入りオノマトペ

                   「汝(うな)など悪戯(いたずら)ばりさな、                            傘ぶっ壊(か)したり。」                                              「それからそれから」                                                    又三郎は面白そうに一足進んで云いました。      「それがら樹折ったり転覆(おっけあ)したりさな」                  「それから、それからどうだい」       「家もぶっ壊(か)さな」                                               「それからそれから、あとはどうだい」       「あかしも消さな、」                                                   「それから、あとは? それからあとは? どうだい」       「シャップもとばさな」                                                  「それから? それからあとは? あとはどうだい。」       「笠もとばさな。」                                                     「それからそれから」

  季節:九月一日(木)〜九月十二日(月)     .       「それがら  うう電信ばしらも倒さな」                                「それから? それから? それから?」                .

◆オラが好きなオノマトペ(初読)=☆☆☆5つが最高。)
48きろきろ:【けれどもみんなきろきろ又三郎の方は見ていてももじもじしてやはり忙しそう
      
に棒かくしをしたり又三郎の方へ行くものがありませんでした。】
88のっこり:【(ふん。なあに、馬何処
(どこ)かで、こわくなってのっこり立ってるさ。)と思いま
      
した。】

ボクの好きなオノマトペ(再読)=5つが最高。)
47もにゃもにゃっ:【それはみんなは先生にはいつでも「お早うございます」というように習っ
      
ていたのでしたがお互いに「お早う」なんて云ったことがなかったのに又三郎にそ
      
う云われても一郎や嘉助はあんまりにわかで又勢(いきおい)がいいのでとうとう臆
      
(おく)せてしまって一郎も嘉助も口の中でお早うというかわりにもにゃもにゃっと云
      
ってしまったのでした。】
144すぱすぱ:【鼻の尖
(とが)った人は、すぱすぱと、煙草を吸うときのような口つきで云い
      
ました。】

 「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)なんて集めてどうすんの?」

 
きろきろ、のっこり、っつーの初対面だなや。のっこり、っつーの好きだにゃぁ。

 
 



       その人は、びっくりしてこっちを見ましたけれども、                  何を云ったのか、よくわからないというようすでした。                そこでみんなはまた云いました。      「あんまり川を濁(にご)すなよ、                                      いつでも先生、云うでなぃか。」      鼻の尖(とが)った人は、すぱすぱと、                               煙草を吸うときのような口つきで云いました。

          「この水呑むのか、ここらでは。」             「あんまり川をにごすなよ、                                             いつでも先生、云うでなぃか。」

      鼻の尖った人は、少し困ったようにして、                           また云いました。                                                    「川をあるいてわるいのか。」         .       「あんまり川をにごすなよ、                                             いつでも先生、云うでなぃか。」  .


******
風の又三郎オノマトペ ******

 

@どっどど どどうど どどうど どどう:【どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみも
      吹きとばせ すっぱいかりんもふきとばせ どっどど どどうど どどうど どどう 】
Aごぼごぼ:【運動場もテニスコートのくらいでしたがすぐうしろは栗の木のあるきれいな草

      の山でしたし、運動場の隅にはごぼごぼつめたい水も湧く岩穴もあったのです。】
Bどう:【青ぞらで風がどうと鳴り、日光は運動場いっぱいでした。】
Cぶるぶる:【「ほう、おら一等だぞ。一等だぞ。」とかわるがわる叫びながら大悦
(おおよろこ)
      びで門をはいって来たのでしたが、ちょっと教室の中を見ますと、二人ともまるで
      びっくりして棒立ちになり、それから顔を見合わせてぶるぶるふるえました。】
Dとうとう:【がひとりはとうとう泣き出してしまいました。】
Eしん:【というわけは、そのしんとした朝の教室のなかにどこから来たのか、まるで顔も知ら

      ないおかしな赤い髪の子供が一人、一番前の机にちゃんと座っていたのです。】
Fちゃん:【まるで顔も知らないおかしな赤い髪の子供が一人、一番前の机にちゃんと座って

      いたのです。】
Gりん:【もひとりの子ももう半分泣きかけていましたが、それでもむりやり眼をりんと張って

      そっちの方をにらめていましたら、ちょうどそのとき川上から、「ちょうはあかぐり、
      ちょうはあかぐり」と高く叫ぶ声がしてそれからまるで大きな烏のように嘉助(かすけ)
      が、かばんをかかえてわらって運動場へかけて来ました。】
Hちょうはあかぐり、ちょうはあかぐり:【「ちょうはあかぐり、ちょうはあかぐり」と高く叫ぶ声が

      してそれからまるで大きな烏のように嘉助(かすけ)が、かばんをかかえてわらって
      運動場へかけて来ました。】
Iどやどや:【と思ったらすぐそのあとから佐太郎だの耕助だのどやどややってきました。】
Jわあ:【するとその子もわあと泣いてしまいました。】
Kしゃん:【おかしいとおもってみんながあたりをみると教室の中にあの赤毛のおかしな子が

      すましてしゃんとすわっているのが目につきました。】
Lだんだん:【だんだんみんな女の子たちも集まって来ましたが誰も何とも云えませんでし

      た。】
Mじっ:【赤毛の子どもは一向こわがる風もなくやっぱりちゃんと座ってじっと黒板を見ていま

      す。】
Nゆっくり:【一郎はまるでおとなのようにゆっくり大股にやってきてみんなを見て「何した」とき

      きました。】
Oがやがや:【みんなははじめてがやがや声をたててその教室の中の変な子を指
(ゆびさ)しま
      した。】
Pしっかり:【一郎はしばらくそっちを見ていましたがやがて鞄をしっかりかかえてさっさと窓の

      下に行きました。】
Qさっさ:【一郎はしばらくそっちを見ていましたがやがて鞄をしっかりかかえてさっさと窓の下

      に行きました。】
Rすっかり:【みんなもすっかり元気になってついて行きました。】
Sきょろきょろ:【けれどもそのこどもはきょろきょろ室
(へや)の中やみんなの方を見るばかり
      でやっぱりちゃんとひざに手をおいて腰掛(こしかけ)に座っていました。】

 
  21だぶだぶ:【変てこな鼠いろのだぶだぶの上着を着て白い半ずぼんをはいてそれに赤い革
      (かわ)の半靴(はんぐつ)をはいていたのです。】
22がやがやがやがや:【「あいつは外国人だな。」「学校さ入るのだな。」みんなはがやがやが

      やがや云いました。】
23きちん:【変なこどもはやはりきょろきょろこっちを見るだけきちんと腰掛けています。】
24がたがた:【そのとき風がどうと吹いて来て教室のガラス戸はみんながたがた鳴り、学校の

      うしろの山の萱(かや)や栗の木はみんな変に青じろくなってゆれ、教室のなかのこ
      どもは何だかにやっとわらってすこしうごいたようでした。】
25にやっ:【教室のなかのこどもは何だかにやっとわらってすこしうごいたようでした。】
26ぽかん:【「わあい、喧嘩するなったら、先生ぁちゃんと職員室に来てらぞ。」と一郎が云い

      ながらまた教室の方を見ましたら一郎は俄にまるでぽかんとしてしまいました。】
27しょんぼり:【五郎はじつに申し訳けないと思って足の痛いのも忘れてしょんぼり肩をすぼ

      めて立ったのです。】
28ぴかぴか:【先生はぴかぴか光る呼子
(よびこ)を右手にもってもう集(あつま)れの支度(したく)
      をしているのでしたが、そのすぐうしろから、さっきの赤い髪の子が、まるで権現さ
      まの尾っぱ持ちのようにすまし込んで白いシャッポをかぶって先生についてすぱす
      ぱとあるいて来たのです。】
29すぱすぱ:【さっきの赤い髪の子が、まるで権現さまの尾っぱ持ちのようにすまし込んで白

      いシャッポをかぶって先生についてすぱすぱとあるいて来たのです。】
30しいん:【みんなはしいんとなってしまいました。】
31ピルル:【先生は呼子をピルルと吹きました。】
32ピルルル:【それはすぐ谷の向うの山へひびいてまたピルルルと低く戻ってきました。】
33じろじろ:【するとその間あのおかしな子は何かおかしいのかおもしろいのか奥歯で横っち

      ょと舌を噛むようにしてじろじろみんなを見ながら先生のうしろに立っていたので
      す。】
34もじもじ:【するとその子はちゃんと前へならえでもなんでも知ってるらしく平気で両腕を前へ

      出して指さきを嘉助のせなかへやっと届くくらいにしていたものですから嘉助は何だ
      かせなかがかゆいかくすぐったいかという風にもじもじしていました。】
35ぐるっ:【そこで一年生はあるき出しまもなく二年も三年もあるき出してみんなの前をぐるっ

      と通って右手の下駄箱のある入口に入って行きました。】
36しっかり:【「ですから、みなさんも今日から又いっしょにしっかり勉強しましょう。」】
37どっ:【嘉助はまるで手を叩いて机の中で踊るようにしましたので、大きな方の子どもらは

      どっと笑いましたが三年生から下の子どもらは何か怖いという風にしいんとして三
      郎の方を見ていたのです。】
38ばたばた:【みんなはばたばた鞄をあけたり風呂敷をといたりして通信簿と宿題帳を机の

      上に出しました。】
39ぎょっ:【そのときみんなはぎょっとしました。】
40だぶだぶ:【その人は白いだぶだぶの麻服を着て黒いてかてかした半巾
(はんけち)をネクタ
      イの代りに首に巻いて手には白い扇をもって軽くじぶんの顔を扇(あお)ぎながら少
      し笑ってみんなを見おろしていたのです。】
 
  41てかてか:【その人は白いだぶだぶの麻服を着て黒いてかてかした半巾(はんけち)をネクタ
      イの代りに首に巻いて手には白い扇をもって軽くじぶんの顔を扇(あお)ぎながら少し
      笑ってみんなを見おろしていたのです。】
42しぃん:【さあみんなはだんだんしぃんとなってまるで堅
(かた)くなってしまいました。】
43ずうっ:【それからずうっと下の組の子どもらは一目散に教室を飛び出しましたが四年生の

      子どもらはまだもじもじしていました。】
44りん:【その人はまたていねいに礼をして眼で三郎に合図すると自分は玄関の方へまわって

      外へ出て待っていますと三郎はみんなの見ている中を眼をりんとはってだまって昇
      降口から出て行って追いつき二人は運動場を通って川下の方へ歩いて行きました。】
45すたすた:【運動場を出るときその子はこっちをふりむいてじっと学校やみんなの方をにらむ

      ようにするとまたすたすた白服の大人について歩いて行きました。】
46きらきら:【谷川はそっちの方へきらきら光ってながれて行きその下の山の上の方では風も

      吹いているらしくときどき萱(かや)が白く波立っていました。】
47もにゃもにゃっ:【それはみんなは先生にはいつでも「お早うございます」というように習ってい

      たのでしたがお互いに「お早う」なんて云ったことがなかったのに又三郎にそう云わ
      れても一郎や嘉助はあんまりにわかで又勢(いきおい)がいいのでとうとう臆(おく)せて
      しまって一郎も嘉助も口の中でお早うというかわりにもにゃもにゃっと云ってしまった
      のでした。】
48きろきろ:【けれどもみんなきろきろ又三郎の方は見ていてももじもじしてやはり忙しそうに棒

      かくしをしたり又三郎の方へ行くものがありませんでした。】
49ざあっ:【その時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり運動場のまん中でさ

      あっと塵(ちり)があがりそれが玄関の前まで行くときりきりとまわってちいさなつむじ
      風になって黄いろな塵は瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりま
      した。】
50ざわざわ:【土手の草はざわざわ波になり運動場のまん中でさあっと塵
(ちり)があがりそれ
      が玄関の前まで行くときりきりとまわってちいさなつむじ風になって黄いろな塵は瓶
      をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。】
51さあっ:【運動場のまん中でさあっと塵
(ちり)があがりそれが玄関の前まで行くときりきり風に
      なって黄いろな塵は瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。】
52きりきり:【それが玄関の前まで行くときりきりとまわってちいさなつむじ風になって黄いろな

      塵は瓶をさかさまにしたような形になって屋根より高くのぼりました。】
53ちらっ:【先生はちらっと運動場中を見まわしてから「ではならんで。」と云いながらプルルッと

      笛を吹きました。】
54プルルッ:【「ではならんで。」と云いながらプルルッと笛を吹きました。】
55ひらり:【中にも又三郎のすぐ隣の四年生の机の佐太郎がいきなり手をのばして三年生の

      かよの鉛筆をひらりととってしまったのです。】
56ぴったり:【「わあこいつおれのだなあ。」と云いながら鉛筆をふところの中へ入れてあとは

      支那人がおじぎをするときのように両手を袖(そで)へ入れて机へぴったり胸をくっ
      つけました。】
57ちゃん:【すると又三郎は国語の本をちゃんと机にのせて困ったようにしてこれを見ていまし

      たがかよがとうとうぼろぼろ涙をこぼしたのを見るとだまって右手に持っていた半分
      ばかりになった鉛筆を佐太郎の眼の前の机におきました。】
58ぼろぼろ:【かよがとうとうぼろぼろ涙をこぼしたのを見るとだまって右手に持っていた半分

      ばかりになった鉛筆を佐太郎の眼の前の机におきました。】
59きりきり:【そしてまるで何と云ったらいいかわからない変な気持ちがして歯をきりきり云わ

      せました。】
60どんどん:【又三郎もみんな知っていてみんなどんどん歌いました。】
 
  61がりがり:【すると又三郎はどこから出したか小さな消し炭で雑記帖の上へがりがりと大きく
      運算していたのです。】
62さらさら:【次の朝空はよく晴れて谷川はさらさら鳴りました。】
63くるくる:【学校の少し下流で谷川をわたって、それから岸で楊
(やなぎ)の枝をみんなで一本
      ずつ折って青い皮をくるくる剥(は)いで鞭を拵(こしら)えて手でひゅうひゅう振りなが
      ら上の野原への路(みち)をだんだんのぼって行きました。】
64ひゅうひゅう:【鞭を拵
(こしら)えて手でひゅうひゅう振りながら上の野原への路(みち)をだん
      だんのぼって行きました。】
65はあはあ:【みんなは早くも登りながら息をはあはあしました。】
66ぼゃっ:【「何だかお日さんぼゃっとして来たな。」】
67じめじめ:【路
(みち)が林の中に入り、しばらく路はじめじめして、あたりは見えなくなりまし
      た。】
68せかせか:【みんなはまるでせかせかと走ってのぼりました。】
69きっ:【向うの曲り角の処
(ところ)に又三郎が小さな唇をきっと結んだまま三人のかけ上って
      来るのを見ていました。】
70こぼこぼ:【三人は汗をふいてしゃがんでまっ白な岩からこぼこぼ噴きだす冷たい水を何べ

      んも掬(すく)ってのみました。】
71ぐうっ:【みんなが又あるきはじめたとき湧水は何かを知らせるようにぐうっと鳴り、そこらの

      (き)もなんだかざあっと鳴ったようでした。】
72ざあっ:【そこらの樹
(き)もなんだかざあっと鳴ったようでした。】
73ぼんやり:【光ったり陰ったり幾通りにも重なったたくさんの丘の向うに川に沿ったほんとう

      の野原がぼんやり碧(あお)くひろがっているのでした。】
74ぐんぐん:【「もう少し行ぐづどみんなして草刈ってるぞ。それがら馬の居るどごもあるぞ。」

      一郎は言いながら先に立って刈った草のなかの一ぽんみちをぐんぐん歩きました。】
75ぷるぷる:【二匹の馬が、一郎を見て、鼻をぷるぷる鳴らしました。】
76ぱっ:【陽
(ひ)がぱっと明るくなり、兄さんがそっちの草の中から笑って出て来ました。】
77てかてか:【向うの少し小高いところにてかてか光る茶いろの馬が七疋ばかり集ってしっぽ

      をゆるやかにばしゃばしゃふっているのです。】
78ばしゃばしゃ:【しっぽをゆるやかにばしゃばしゃふっているのです。】
79ずうっ:【そして鼻づらをずうっとのばして何かほしそうにするのです。】
80べろり:【すると三郎は、「怖くなんかないやい。」と云いながらすぐポケットの手を馬の鼻づ

      らへのばしましたが馬が首をのばして舌をべろりと出すとさあっと顔いろを変えてす
      ばやくまた手をポケットへ入れてしまいました。】
 
 

81さあっ:【さあっと顔いろを変えてすばやくまた手をポケットへ入れてしまいました。】
82しう:【みんなは楊の枝や萱の穂でしうと云いながら馬を軽く打ちました。】
83ぴしゃん:【一郎がそこで両手をぴしゃんと打ち合せて、だあと云いました。】
84ぐるっ:【するといつか馬はぐるっとさっきの小高いところをまわってさっき四人ではいって来

      たどての切れた所へ来たのです。】
85ぐるぐる:【それからまわりがまっ蒼
(さお)になって、ぐるぐる廻り、とうとう深い草の中に倒れ
      てしまいました。】
86カンカン:【嘉助は、仰向けになって空を見ました。空がまっ白に光って、ぐるぐる廻り、その

      こちらを薄い鼠色の雲が、速く速く走っています。そしてカンカン鳴っています。】
87せかせか:【嘉助はやっと起き上がって、せかせか息しながら馬の行った方に歩き出しまし

      た。】
88のっこり:【(ふん。なあに、馬何処
(どこ)かで、こわくなってのっこり立ってるさ。)と思いまし
      た。】
89ぼうっ:【空はたいへん暗く重くなり、まわりがぼうっと霞
(かす)んで来ました。】
90ぐんぐん:【冷たい風が、草を渡りはじめ、もう雲や霧が、切れ切れになって眼の前をぐんぐ

      ん通り過ぎて行きました。】
91どきどき:【嘉助は胸をどきどきさせました。】
92パチパチ:【草がからだを曲げて、パチパチ云ったり、さらさら鳴ったりしました。】
93さらさら:【草がからだを曲げて、パチパチ云ったり、さらさら鳴ったりしました。】
94シイン:【黒板から降る白墨のような、暗い冷たい霧の粒が、そこら一面踊りまわり、あたり

      が俄にシインとして、陰気に陰気になりました。】
95ポタリポタリ:【草からは、もう雫
(しずく)の音がポタリポタリと聞えて来ます。】
96ざわざわざわっ:【嘉助はがっかりして、黒い道を又戻りはじめました。】
97がっかり:【嘉助はがっかりして、黒い道を又戻りはじめました。】
98キインキイン:【空が光ってキインキインと鳴っています。】
99くるくるくるっ:【空がくるくるくるっと白く揺らぎ、草がバラッと一度に雫を払いました。】
100バラッ:【草がバラッと一度に雫を払いました。】

 
 

101ぱたぱた:【空が旗のようにぱたぱた光って翻(ひるが)えり、火花がパチパチパチッと燃え
      ました。】
102パチパチパチッ:【火花がパチパチパチッと燃えました。】
103きっ:【又三郎は笑いもしなければ物も云いません。ただちいさな唇を強そうにきっと結ん

      だまま黙ってそらを見ています。】
104ひらっ:【いきなり又三郎はひらっとそらへ飛びあがりました。】
105ギラギラ:【ガラスのマントがギラギラ光りました。】
106のっそり:【そして馬がすぐ眼の前にのっそりと立っていたのです。】
107ぶるぶる:【嘉助はぶるぶるふるえました。】
108ごろごろ:【雷もごろごろ鳴っています。】
109ほっ:【草を焼く匂
(におい)がして、霧の中をほっと流れています。】
110チョロチョロ:【半分に焼けた大きな栗の木の根もとに、草で作った小さな囲いがあって、

      チョロチョロ赤い火が燃えていました。】
111ひひん:【馬もひひんと鳴いています。】
112ガサガサガサガサ:【天井がガサガサガサガサ云います。】
113ふっ:【霧がふっと切れました。】
114さっ:【陽
(ひ)の光がさっと流れて入りました。】
115きらきら:【草からは雫がきらきら落ち、総ての葉も茎も花も、今年の終りの陽
(ひ)の光を
      吸っています。】
116もうもう:【たばこばたけからもうもうとあがる湯気の向うで、その家はしいんとして誰も居

      たようではありませんでした。】
117そっ:【「そんなら、おいら此処へ置いてくからいいや。」と云いながらさっきの木の根もと

      へそっとその葉を置きました。】
118もくもく:【みんなは萱の間の小さなみちを山の方へ少しのぼりますと、その南側に向いた

      窪みに栗の木があちこち立って、下には葡萄がもくもくした大きな藪になっていまし
      た。】
119ざっ:【いきなり上から雫が一ぺんにざっと落ちてきましたので、耕助は肩からせなかから

      水へ入ったようになりました。】
120くつくつ:【「風が吹いたんだい。」三郎は上でくつくつわらいながら云いました。】
121ざあっ:【そのとき耕助はまた頭からつめたい雫をざあっとかぶりました。】
122パチパチ:【又三郎は少し眼をパチパチさせて気の毒そうに云いました。】
123じめじめ:【次の朝は霧がじめじめ降って学校のうしろの山もぼんやりしか見えませんでし

      た。】
124ぼんやり:【学校のうしろの山もぼんやりしか見えませんでした。】
125かんかん:【ところが今日も二時間目ころからだんだん晴れて間もなく空はまっ青になり日

      はかんかん照ってお午(ひる)になって三年生から下が下ってしまうとまるで夏のよう
      に暑くなってしまいました。】
126うとうと:【ひるすぎは先生もたびたび教壇で汗を拭き四年生の習字も五年生六年生の図

      画もまるでむし暑くて書きながらうとうとするのでした。】
127どぶんどぶん:【一郎やみんなは、河原のねむの木の間をまるで徒競走のように走ってい

      きなりきものをぬぐとすぐどぶんどぶんと水に飛び込んで両足をかわるがわる曲げ
      てだぁんだぁんと水をたたくようにしながら斜めにならんで向う岸へ泳ぎはじめまし
      た。】
128だぁんだぁん:【両足をかわるがわる曲げてだぁんだぁんと水をたたくようにしながら斜め

      にならんで向う岸へ泳ぎはじめました。】
129わくわく:【すると向う岸についた一郎が髪をあざらしのようにして唇を紫にしてわくわくふる

      えながら、「わあ又三郎、何(な)してわらった。」と云いました。】
130だぶだぶ:【「おまえたちの泳ぎ方はおかしいや。なぜ足をだぶだぶ鳴らすんだい。」と云

      いながらまた笑いました。】
131するする:【おれそれでぁあの木の上がら落すがらな。と一郎は云いながら崖の中ごろか

      ら出ているさいかちの木へするする昇って行きました。】
132どぶーん:【「さあ落すぞ、一二三。」と云いながら、その白い石をどぶーんと淵へ落しまし

      た。】
133ふう:【けれどもみんな底まで行かないに息がつまって浮びだして来て、かわるがわるふう

      とそらへ霧をふきました。】
134どぶん:【又三郎はじっとみんなのするのを見ていましたが、みんなが浮んできてからじぶ

      んもどぶんとはいって行きました。】
135ぱくぱく:【それからゆっくり、腰からたばこ入れをとって、きせるをくわえて、ぱくぱく煙をふ

      きだしました。】
136ぼぉ:【するとまもなく、ぼぉというようなひどい音がして、水はむくっと盛りあがり、それから

      しばらく、そこらあたりがきぃんと鳴りました。】
137むくっ:【水はむくっと盛りあがり、それからしばらく、そこらあたりがきぃんと鳴りました。】
138きぃん:【そこらあたりがきぃんと鳴りました。】
139わあわあ:【それは六寸ぐらいある鮒をとって、顔をまっ赤にしてよろこんでいたのです。

      それからみんなとってわあわあよろこびました。】
140ぴょんぴょん:【嘉助が、河原の砂っぱの上で、ぴょんぴょんはねながら、高く叫びました。】

 
  141ぐったり:【ほんとうに暑くなって、ねむの木もまるで夏のようにぐったり見えましたし、空も
      まるで、底なしの淵のようになりました。】
142きっ:【「何だい。こわくないや。」又三郎はきっと口をかんで云いました。】
143びちゃびちゃ:【その男はこっちへびちゃびちゃ岸をあるいて来ました。】
144すぱすぱ:【鼻の尖
(とが)った人は、すぱすぱと、煙草を吸うときのような口つきで云いまし
      た。】
145がらん:【みんなも何だかその男も又三郎も気の毒なような、おかしながらんとした気持ち

      になりながら、一人ずつ木からはね下りて、河原に泳ぎついて、魚を手拭(てぬぐい)
      につつんだり、手にもったりして、家(うち)に帰りました。】
146ひそひそ:【そこでみんなはひそひそ時間になるまでひそひそその話ばかりしていました。】

147むくむく:【すっかり夏のような立派な雲の峰が、東でむくむく盛りあがり、さいかちの木は
      青く光って見えました。】
148ぞろっ:【小さなこどもらは、よろこんで顔を赤くして、押しあったりしながら、ぞろっと淵を

      囲みました。】
149じゃぶじゃぶ:【佐太郎、大威張りで、上流
(かみ)の瀬に行って笊をじゃぶじゃぶ水で洗い
      ました。】
150こちこち:【一郎も河原に座って石をこちこち叩いていました。】
151びくっ:【佐太郎はびくっとしましたけれども、まだ一しんに水を見ていました。】
152ぬるぬる:【そして一郎は、はじめに、昨日あの変な鼻の尖った人の上
(のぼ)って行った
      崖の下の、青いぬるぬるした粘土のところを根っこにきめました。】
153ざぶん:【「ようし、見ていろよ。」と云いながら、本気になって、ざぶんと水に飛び込んで、

      一生けん命、そっちの方へ泳いで行きました。】
154ばしゃばしゃ:【又三郎の髪の毛が赤くてばしゃばしゃしているのにあんまり永く水につか

      って唇もすこし紫いろなので子どもらは、すっかり恐(こわ)がってしまいました。】
155つるつる:【第一、その粘土のところはせまくて、みんながはいれなかったのにそれに大へ
      んつるつるすべる坂になっていましたから、下の方の四五人などは、上の人につか
      まるようにして、やっと川へすべり落ちるのをふせいでいたのでした。】
156ぼちゃぼちゃ:【又三郎は、ぼちゃぼちゃ、もう近くまで行きました。】
157ばたばた:【みんながばたばた防いでいましたら、だんだん粘土がすべって来て、なんだか

      すこうし下へずれたようになりました。】
158ぼちゃんぼちゃん:【するとみんなは、ぼちゃんぼちゃんと一度に水にすべって落ちまし

      た。】
159ぐるぐる:【嘉助がひとり、上をまわって泳いで遁げましたら、又三郎はすぐに追い付い

      て、押えたほかに、腕をつかんで、四五へんぐるぐる引っぱりまわしました。】
160ごほごほ:【嘉助は、水を呑んだと見えて、霧をふいて、ごほごほむせて、「おいらもうや

      めた。こんな鬼ごっこもうしない。」と云いました。】
161しんしん:【ところが、そのときはもう、そらがいっぱいの黒い雲で、楊も変に白っぽくなり、

      山の草はしんしんとくらくなりそこらは何とも云われない、恐ろしい景色にかわって
      いました。】
162ごろごろごろ:【そのうちに、いきなり上の野原のあたりで、ごろごろごろと雷が鳴り出しま

      した。】
163ひゅうひゅう:【風までひゅうひゅう吹きだしました。】
164ぶちぶち:【淵の水には、大きなぶちぶちがたくさんできて、水だか石だかわからなくなっ

      てしまいました。】
165ざっこざっこ:【「雨はざっこざっこ雨三郎」】
166どっこどっこ:【「風はどっこどっこ又三郎」】
167がたがた:【すると又三郎はまるであわてて、何かに足をひっぱられるように淵からとび

      あがって一目散にみんなのところに走って来てがたがたふるえながら、「いま叫ん
      だのはおまえらだちかい。」とききました。】
168がくがく:【「何だい。」といいましたが、からだはやはりがくがくふるっていました。】
169どうっ:【一郎はすばやく帯をしてそして下駄をはいて土間を下り馬屋の前を通って潜
(くぐ)
      りをあけましたら風がつめたい雨の粒と一緒にどうっと入って来ました。】
170ばたっ:【馬屋のうしろの方で何か戸がばたっと倒れ馬はぶるるっと鼻を鳴らしました。】
171ぶるるっ:【馬はぶるるっと鼻を鳴らしました。】
172はあ:【一郎は風が胸の底まで滲
(し)み込んだように思ってはあと強く息を吐きました。】
173ごとんごとん:【遠くの方の林はまるで海が荒れているようにごとんごとんと鳴ったりざっ

      と聞えたりするのでした。】
174ざっ:【ざっと聞えたりするのでした。】
175さらさら:【すると胸がさらさらと波をたてるように思いました。】
176どかどか:【けれども又じっとその鳴って吠えてうなってかけて行く風をみていますと今度

      は胸がどかどかなってくるのでした。】
177どんどんどんどん:【昨日まで丘や野原の空の底に澄みきってしんとしていた風が今朝夜

      あけ方俄かに一斉に斯(こ)う動き出してどんどんどんどんタスカロラ海床(かいしょう)
      の北のはじをめがけて行くことを考えますともう一郎は顔がほてり息もはあ、はあ、
      なって自分までが一緒に空を翔(か)けて行くような気持ちになって胸を一ぱいはっ
      て息をふっと吹きました。】
178はあ、はあ、:【もう一郎は顔がほてり息もはあ、はあ、なって自分までが一緒に空を翔

      (か)けて行くような気持ちになって胸を一ぱいはって息をふっと吹きました。】
179ふっ:【自分までが一緒に空を翔
(か)けて行くような気持ちになって胸を一ぱいはって息を
      ふっと吹きました。】
180ぐんぐん:【一郎は急いで井戸からバケツに水を一ぱい汲んで台所をぐんぐん拭きまし

      た。】
181ぶるぶる:【それから金だらいを出して顔をぶるぶる洗うと戸棚から冷たいごはんと味噌

      をだしてまるで夢中でざくざく喰べました。】
182ざくざく:【戸棚から冷たいごはんと味噌をだしてまるで夢中でざくざく喰べました。】
183こちこち:【「うん又三郎って云うやづよ。」一郎は急いでごはんをしまうと椀
(わん)をこちこ
      ち洗って、それから台所の釘にかけてある油合羽(あぶらがっぱ)を着て下駄をもっ
      てはだしで嘉助をさそいに行きました。】
184ざぶざぶ:【昇降口からはいって行きますと教室はまだしいんとしていましたがところどこ

      ろの窓のすきまから雨が板にはいって板はまるでざぶざぶしていました。】
185ごとごと:【「そうだなぃな。やっぱりあいづは風の又三郎だったな。」嘉助が高く叫びまし

      た。職員室の方で何かごとごと鳴る音がしました。】
186がたがた:【風はまだやまず、窓がらすは雨つぶのために曇りながらまだがたがた鳴りま

      した。】

 『風の又三郎』のオノマトペ、まんず、これで、おすめえだぁ。えがっだなす。 スネオ 拝 (^ ^;
                                                   2006.2.19.
 
 










 
 

      しんとした朝の教室のなかにどこから来たのか、                   まるで顔も知らないおかしな赤い髪の子供がひとり               一番前の机にちゃんと座っていたのです。

 
     








 


 トップページは右往左往だなす。                                 ♪オチを聞いてギャグを知る♪

 

  (貴重なほんのわずかな読者の方々へ)
トップページのあっちこっちも、ご覧くなさい。 スネオ 拝 (^ ^;

       
  セロ弾きのゴーシュ   次回配本は『セロ弾きのゴーシュ』です。
       

     「あいつは外国人だな」                                              「学校さ入るのだな。」                                                 みんなはがやがやがやがや云いました。                                                                    by『風の又三郎』