『裸のうどん』(東海林さだお著) 読んでネ。(^ ^;

    このところ、しきりに凝っている食べものがある。   

   ”醤油かけうどん” である。

   ”醤油かけうどん”

   「なんだかこう、貧乏くさい食べものだねえ」   

   と言われそうで、これまでじっと我慢していたのだが、   
   日に日に
   ”醤油かけうどん”への愛情は深まるばかり。   

   ついに世間への公表を決断するに立ち至った。   

   このところ毎日、一日一回は
   ”醤油かけうどん” を作っては食べている。   

   ぼくはいったん凝りだすと
   わりに長く続くほうで、最低十日間は続く。   
 ↓    ↑    カーソル↑をイラストの上に置いて見てね。   ↑    ↓

  ”醤油かけうどん”
   この料理は、題名が、
   この料理の料理法のすべてを言いつくしている   
   という珍しい料理である。

         丸写しです。  「今度は醤油かけうどんが怖い」
            うどん
           うどん
          うどん
         うどん
        うどん
       うどん
      うどん
     うどん
    うどん
   うどん
  うどん
 うどん
どん
ん                ★新日本トホホ普及協会   
 
   


『紹介おもしろ文庫part5』
文春文庫『伊勢エビの丸かじり』 東海林さだお著(467円+税)113pより、

    裸のうどん

                 を原文まるごと紹介してみたい。
                  (やっぱり、絵はガマンしてネ)
                   「ここで笑わないと笑うトコもうないよ」

  裸のうどん

 このところ、しきりに凝っている食べものがある。
”醤油かけうどん” である。
「なんだかこう、貧乏くさい食べものだねえ」
 と言われそうで、これまでじっと我慢していたのだが、日に日に ”醤油かけうどん”
への愛情は深まるばかり。
 ついに世間への公表を決断するに立ち至った。
 このところ毎日、一日一回は ”醤油かけうどん” を作っては食べている。
 ぼくはいったん凝りだすとわりに長く続くほうで、最低十日間は続く。
 以前、焼き豚に凝ったときは、毎日毎日焼き豚を作り続け、焼き豚がどんどん出来て
しまい、焼き豚が冷蔵庫にあふれかえって困ったことがあった。
 焼き豚は作ってみると、一本一本出来具合が違い、味が違い、こうしてみてはどうか、
ああしてみてはどうかと作っているうちに、数十本の焼き豚が出来あがってしまい、あ
たり一体はまるで焼き豚屋のようになってしまった。
 今回はそういう心配はない。
 作ったものはその場ですぐ食べきれる。しかも作り方は極めて簡単だ。
 まず料理法からいこう。
 この料理は、題名が、この料理の料理法のすべてを言いつくしているという珍しい料
理である。
 うどんをゆでて引きあげ、あつあつのうちに醤油をかけて食べる。
 うまいんだな、これが。
 最近、この料理のファンが意外に多いことを知った。
 この料理はあまりに貧乏くさいためか、これが好きだということを人に話すことがため
らわれる。
 そのため、醤油かけうどん好きは、「隠れ醤油かけうどん好き」となって世の中のあち
こちにひそんでいるのである。
 その証拠に、何気なくこの話題を持ちだすと、ひとひざのりだしてくる人が多い。
「わたしはそこにおろし生姜をそえます」
「ネギは入れないほうがかえっていいですよ」
「生醤油はどうしても味がとんがってますから、味の素が有効です」
 いろんな人がいろんなことを試しているようなのだ。
 うどん料理は数々あるが、”醤油かけうどん” は究極のうどん料理である。
 油揚げの助けも借りず、揚げ玉の助けも借りず、鶏肉の助けも借りず、ツユの助けさ
え借りない。
 裸一貫、身にまとうものは一つもない。
 ユニフォームなしの真剣勝負だ。
 数あるスポーツの中で相撲のようなものだ。
 うどんと醤油が裸で渡り合う。
 いやいや、相撲はフンドシをしているが、この勝負はフンドシさえもしていない。
 小錦と水戸泉が、フンドシをはずして取っ組みあっているところを想像していただきた
い。
 モノとモノとがじかにぶつかり合う。
 ここでは一切の言い訳がきかない。
 味のよしあしを、誰のせいにもすることができない。
「うどんはよかったんだが、ツユのほうがどうもねえ」
 とか、
「ツユもうどんもよかったんだが、油揚げの味が濃すぎて全体のバランスがくずれた」
 などの弁解の余地がまったくないのだ。
 だからうどんの選択は大切だ。
 ゆで麺や生麺より乾麺がいいようだ。
 べろべろ感のあるうどんは避けたい。
 だから平べったい麺より、太目で角形、ゆで時間の長い麺がいい。
 全体がひきしまった、コシのあるうどんが合う。
 うどんがゆであがったら、お湯をよく切って丼にあける。
 湯気もうもうの上からお醤油を少しかける。
 このときお醤油の、強く匂い立つのに驚かされる。
 お醤油は、あまりに身近に使っているわりには、その匂いをかぐ機会は意外に少な
い。
(これがお醤油の匂いだったか)
 と、改めて懐かしい。
 醤油のにじんだあたりをゆるく掻きまぜてズルズルと一口。
 なるほど確かに醤油特有のカドがある。
 そこで ”隠れうどん好き味の素派” の助言どおり、味の素をパラパラかけるとアラ不
思議、たちまちカドがとれて味が一変する。
 うどんがおいしい。
 小麦粉を練って細長く伸ばしてゆでるとこういう味になるわけね、フムフム、こうコシ
があって、こう弾力があって、そのひきしまったものをこう噛んでみると、歯にきしんで、
フムフム、なるほど、大本
(おおもと)の小麦そのものの味って、結局こういう味だったわ
けね、そこへ醤油がからまってこうなってくるわけね、と逐一しみじみ納得できるので
ある。
 むろん、ここへおろし生姜がからんでくるのもわるくはない。
 しかし、とりあえずは醤油だけの味を是非味わってみてほしい。
 うどんがいかにもうどんらしく、醤油がいかにも醤油らしく、両者毅然としているところ
がいい。
 折れ合わないところがいい。
 うどんには醤油がおいしいということがわかると、醤油以外のものも試してみたくなる
のが人の常だ。
「蕎麦ツユはどうか」「キムチの素はどうだろう」「ノンオイル梅ジソサラダドレッシングは
どうか」「ジャムはどうか」「すりゴマたのむ」「タバスコを是非」「ウチはそこに太白胡麻
油を加えます」「じゃあうちはサフラワーオイルと温泉一泊ご招待クーポンをつけましょ
う」
 と、いろんなことをいろんな人が言ってくるにちがいない。そういう誘惑には一切乗ら
ないでほしい。
 そんなことをしては、醤油一筋、裸一貫から築きあげて、ようやく今日の名声をかち
得た ”醤油かけうどん” のご先祖さまに申しわけが立たない。

 
   

   数あるスポーツの中で相撲のようなものだ。   
   うどんと醤油が裸で渡り合う。  

   いやいや、相撲はフンドシをしているが、   
   この勝負はフンドシさえもしていない。

   小錦と水戸泉が、フンドシをはずして   
   取っ組みあっているところを
   想像していただきたい。

   モノとモノとがじかにぶつかり合う。
   ここでは一切の言い訳がきかない。   
   味のよしあしを、
   誰のせいにもすることができない。
 
 


     盛岡は冷麺の本場である。      
     ということ、知ってました?
盛岡冷麺疑惑査察団

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「行くぞ!冷麺探検隊」
東海林さだお著。いつもの丸写しです。(^ ^;
                        麺つながりです。見てネ。(^ ^;
 
 


    お中元となると、
    ソーメンは急に態度がでかくなる。
   「特製化粧木箱」の中にエラソーに横たわる。   
    その箱をわざとらしく藁の縄で荒々しく縛り、
   「藁縄荒縛り」ということになる。
ソーメンはエライのか








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   湯気もうもうの上からお醤油を少しかける。   
   このときお醤油の、
   強く匂い立つのに驚かされる。
   お醤油は、
   あまりに身近に使っているわりには、
   その匂いをかぐ機会は意外に少ない。

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