西国旅行記
2005年10月から11月にかけて、西国33観音巡礼の旅に出た。
ここでは、今回の巡礼の旅のうち、3分の1ほどのウェイトを占める観光部分を旅行記風にブログにしたものを纏めてみた。巡礼記としては、別のページに掲載している。


第3回(その2) (2005.11.22〜11.26)

4日目 11月25日(金)

第29番札所松尾寺
朝の電車は、通勤通学で混むかと思ったが、案に相違して、乗客は少なかった。それでも、松尾寺駅では、5・6人の人が下車し、国道の方へ歩いていった。私は、ふと目に止まった案内板に従って、線路の反対側の道を辿ることにした。途中で、小学生二人に出会った。「おはようございます」と挨拶され、「おはよう」と返した。 
山際に流れる細い川、それに沿って続く細い道。やがて、少し広い舗装道路に出て、ここからが登りである。いくつもの上りを経験してきたので、あまり驚かないが、それにしても人通りはまったくなく、ひたすら上っていく道を歩く。ふと、工事をしている人に出会い、挨拶したが、そこから直ぐに石段の下に出た。ほぼ予定通りの時間だった。   堂内
少し長い石段を登ると、本堂下の石段があり、山門が見える。本堂は宝形造りでしっとりと落ち着いていると言うか、何となく田舎っぽいと言うか。
   
静かな境内には、誰もいず、冷気が漂っていた。本堂以外には、見るべきお堂もなく、唯一、トイレに書かれた、烏枢瑟摩明王(トイレの守護仏)の説明が面白かった。折角なので、お賽銭を上げた。住職の書いたものが、いくつか置いてあったので、そのうちの一枚を購入した。トイレの説明
帰り道、地図にあった細い山道を探しながら歩いていくと、急な斜面にへばりつくような獣道のような道があった。昔は、この道を上ったのかと想像し、その苦労を偲んだ。

  松尾寺駅にて

2時間に一本の列車に乗り、松尾寺から敦賀へ。そこから乗り換えて、長浜。駅員さんに港へ行く道を尋ねると、丁寧に、近道まで教えてくれた。長浜と言えば、秀吉。何とはなしに、街並みがきちんとしている。そう言えば、随分以前、この町の古い販売店にお邪魔したことがあった。公園を横切り、港は直ぐだった。次の船まで、暫く湖岸を散歩する。長浜市内の向こうに伊吹山
乗船客は殆んどいないかと思ったら、賑やかなおばさん軍団に占拠された。遊覧船とは名ばかり、湖上に見るべきものはなく、ひたすら竹生島へ向かう。
船着場から、すぐに石段を登るようになっており、いくつかのお堂を左右に、上り切った所に第30番札所宝厳寺の本堂がある。右上には、平成の建立である、三重塔。そこから下ったところに観音堂があり、ここでも読経する。国宝の唐門、薄暗い堂内、それに続く舟廊下。 舟廊下内外 いずれも秀頼が移築したとされる。これは、古い。
その先に、都久夫須麻神社があり、お参りした。考えてみると、どこのお寺でも、殆んど神社が並んでいるが、初めて参拝したことになる。 
上陸時間1時間20分は短いかなと思っていたが、一回りしても、30分たっぷり余った。三大弁天の一つということで、弁天様の絵入りのお守りを購入。  龍神岬

5日目 11月26日(土)

実は、かなり厳しい山だと案内書に書いてあったので、タクシーで行こうかと悩んだ末、近江八幡から能登川まで、早目の電車に乗った。土曜日なので、乗客はかなり少ない。駅で待っていたバスもがらがらの状態。ましてや、観音寺口での下車は一人だけ。  
いよいよ第32番札所観音正寺参拝。8時のスタート。例によって、あてずっぽうで、少し歩くと、大きな神社があり、停まっていた車の人に、ここから行けるかと尋ねたら、皆、この辺から登っていくが、俺は知らんと言う。それならと、神社の中に入っていくと、すぐに上りの参道が見つかった。HPのイメージとは随分違い、神社の参拝路のすぐ横にあった。
桟木のある所と石のある所で少し登りにくいが、まずまず。滑りやすい、との注意書きもあったが、そんなこともない。ちょっとしたトラブルもあったが、これも無事クリア。10分で平和像へ、
20分で見晴台のような所へ着いた。寺まで900mの標示。
800m登ったことになる。駐車場まで300mに勇気付けられて、六根清浄、遍照金剛と頑張る。快晴。汗だくで、セーターも脱いだ。更に10分で駐車場へ、そこからは車も通れる砂利道だ。平らで、もう苦労なし。寺までの山道にねずみ岩、奥の院がある。
         
今回、最後となる鐘を撞いてから、境内へ。間口が狭く、奥行きが長い境内だ。その一番奥に本堂がある。新しい本堂の中で、新しい観音様は半地下に鎮座していた。観音様を良く見ながら、堂内に座って読経。さて、納経をと思ったら、バタバタと入ってきた一団に先を越された。
お参りは後回しで、先を争って沢山の朱印を押してもらっていた。知り合いにでも頼まれたのであろうか。
    境内の仏石等
帰りは早かった。約25分で下へ、バスも比較的早く来た。

第33番札所結願寺の華厳寺は車がないと、行きにくいお寺である。折角、前の観音正寺で時間を稼いだのに、大垣では、予定通りの電車しかなかった。約1時間、以前何度か訪れている大垣の町を歩いてみたが、全く記憶になかった。尤も、車のことが多かったので、無理もないことだが。レールバスと呼ぶ電車は音はやかましいが、その割にスピードは速い。只、単線のため行き違い待ち停車の時間が結構あった。駅からはバスの連絡も良く、すんなりと寺の入り口に着く。
降りてびっくり、観光地だ。大きな駐車場に車がびっしり。広い参道の両側に土産物屋、食べ物屋、柿だ、饅頭だ。ぞろぞろ並んで歩く人、人、人。紅葉狩りの絶好の季節、土曜日、快晴。仕方ないか。  
山門を入ってからも、状況は変わらず、満願を迎えて、厳かな気持ちで、お参りしたかったのだが、とてもそんな状態ではなかった。何とか、読経、朱印を済ませた。寺内の配置も良く分からぬまま、皆の後について廻ってみた。どうも心残りだと思っていたら、精進落としの鯉にも触れていなかった。
    
階段下から見る本堂、堂内、
   
笈摺堂、満願堂を回り、気付くと、もう時間があまり残っていなかった。            本堂前にて、満願記念写真
  
道から境内まで紅葉盛ん
バスの時間にせかされて、戻る、ぎりぎり。
帰りの電車で焦った。往復で買った切符がない。どこかで落としたに違いなかった。最初のことがあって、往復を買う時に、嫌な予感があった。下車時、ものは相談と、運転手に話すと、笑って通してくれた。嬉しい功徳だった。それにしても、最初と最後に同じことで失敗するとは・・・・

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