第3回

めまい、難聴で発症した女性の病気の原因はなんと.......

00.4.10

4月10日診療日記

今日はめまいで入院中のMさんについて書きます。

Mさんは昨年突発性難聴の診断で入院しました。左耳の突然の耳鳴り、難聴で、耳鼻咽喉科でも突発性難聴の診断でした。MRI上も明らかな脳の異常はありませんでした。

高気圧酸素治療にて劇的に聴力は回復し、突発性難聴で矛盾はありませんでした。

しかし、今年になって難聴が再発し再入院になりました。耳鼻咽喉科の聴力検査でも、やはり感音性難聴で、突発性難聴の再発を疑う所見でした。再度、高気圧酸素治療にて劇的に聴力は回復しました。

ところが、3月になり今度はめまいの症状にて再入院となりました。突発性難聴はめまいを起こすことはしばしばあり、今回も一連の症状と思いました。

何度も繰り返すので、私も少し気になりもう一度MRIを撮りました。すると、なんと、左の聴神経付近から出ている脳腫瘍が見つかりました。これは聴神経腫瘍、または髄膜腫のいずれかを疑う所見でした。

これらの腫瘍はガンマナイフ(頭を開けずに脳を治療できる医療機器)による治療ができる可能性が高く、S病院で治療をお願いしました。うまく治療でき1〜2年で腫瘍は消失する可能性が高いと思われます。

この症例は、きわめて突発性難聴に似た症状で発症し最初は脳腫瘍であることに気ずきませんでした。たいへん小さな腫瘍でよく注意しないとMRIでも見落としそうなものでした。しかし、突発性難聴と思いこんでしまわずに、再度MRIを再検してよかったと思います。

この患者さんについては、私の反省点が2点あります。第1点は、最初から聴神経の腫瘍を念頭に置いていればMRIをもう少し精密に撮る指示を出したはずであること。こうしていればもう少し早く発見できた可能性があったということです。

第2点は、通常突発性難聴は繰り返すことがないのに、2回目の症状再発の時に、また突発性難聴であると思ったことです。この2点に気をつけていればも少し早く発見できたと思います。

しかし、幸い短期間のうちに発見でき無事治療出来て良かったと思います。

診療の上では「思いこみ」がいちばん危なく、つねに他の病気の存在を疑いながら治療を続ける必要があると思いました。

聴神経腫瘍にかかった人の体験記です!

きっとためになります。興味深い話です。読んで下さい。

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