-Wilton Felderとも共演されましたが、Wilton Felderについてもお聞かせください


一言でいうなら「寡黙な人」となると思います。しかもとても暖かいやさしい人 です。 演奏については今更いうことでもありませんが「ウィルトン・サウンド」が確立 された、ゆるぎない「個性」をもっていますよね。彼は2曲で吹いてくれました が、紛れもないウィルトン・サウンドを加えてくれました。

-アルバム製作の際の雰囲気や何か心に残るエピソードがあったらお聞かせください

色々ありますが、WayneとWiltonのやり取りが興味深かったですね。関西の夫婦 漫才のようでもありました。で、エンジニア曰く「ありゃ、Mr & Mrs Grandfatherだよ」。見事に言い当てていると思いますよ。 こんなこともありました。ある日のレコーディングのことですが、Wayneがすこ し遅れてきたんですよ。で、それまでミュージシャンだけで、レコーディング予 定の曲をアレンジしながらリハをしていたんです。「おお、なかなかいいじゃな い!」「これだとWayneも気に入るんじゃない?」などと自信を持っていたわけ です。で、Wayneがスタジオに入ってきたとき、ベースのLarryが「ちょっと自分 たちでやってみたんだけど聴いてみて」といい、自分たちのアイデアに基づいた 演奏をWayneの前でしたんですね。 演奏が終わったら・・・・・Wayneは「無言」・・・・あっそう、といった感じ で完全に無視されました。で、「じゃあ、始めようか。まずドラムはねえ・・」 と何もなかったかのように作業がスタートしたんです。ミュージシャンがあっけ に取られた瞬間でもありましたが、その後Wayneのダイレクションによって展開 されるサウンドは皆を納得させ得るものでした。こうして生まれたのが「My Dear KOBE」です。



-ギターを奏でられる時、心がけておられることがありますか

いかに「自然な流れでもって弾くか」ということですね。勿論自分の感性に則し た上での「自然さ」ということですが。ソロを取っていても、メロを弾いていて も「何かしてやろう」と邪念が入った瞬間は必ずコケます。そこで流れが途絶え てしまったということなんですね。 まあ、そういう意味ではコケることもしばしばなんですが・・・・、理想として はギターを弾いているということさえ意識しないような自然さで演奏することが 出来ればいいですね。 ちょっと例えで説明すると、車を運転していてある地点から今その時にいる地点 の間、それはほんの短い時間ですが思い出せない事ってありませんか?「あっ、 運転してるんだ・・・」と正気に戻ったような感じになって、どうしてもその間 「どうやって運転してきたのか思い出せない」ことって・・・・。でも、事実安 全に運転してきているわけです。おそらく条件反射のような感覚で運転していた んだと思います。 これぐらいの自然さで、周りの音に対し条件反射のように反応しながら邪念なく 演奏できたらなあと思います。理想ですね

-僕の周囲にも若いギタリスト志願者がいるのですが、彼等にアドバイスをいただけませんか

楽しむことです。常に楽しんでほしいですね。 自分が楽しくなければ、練習も続きません。自分が楽しくなければ、聴いてくだ さる人も楽しくなれません。自分が楽しくなければ・・・音楽ではなくなってし まいます。