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チェロ・メイキング 5. 裏板の仕上げとボディへの接着 HOME
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7月以降は、ヴァイオリンのリメイクを何台かやっていたし、
きしくも12月の1日には前立腺肥大と膀胱内結石除去・手術のために入院。
翌日の2日がオペ、それでも順調に回復し、7日には退院。
小生、生まれて初めて病気で入院しました。その詳細は、ブログに・・・。

そのため、工房での作業はしばらくぶりになりますが、また、少しずつ進めていきます。(H23年 1月27日)

裏板・板厚調整 縞々の影はブラインドの影、凹凸があるのではありません。
グラデュエーション(板厚)は、豆カンナとスクレーパーで削ります。縞々に凹凸のように見える影は、ブラインドの影。
朝日が射し込む工房で、朝イチの作業はとても気持ちがいいのです。
この状態は、板は、かなりツルツルになっていますね。

エッジ部が5.5mm、周辺部は4.1〜4.2mm、
中心部が6.5〜7.0mmにしました。
C部の突端だけは、エッジの厚さは少し厚く、
7mm程度です。
裏板の接着 大きいのと、クランプが片側分しかないので半分ずつ貼ります。
ライニングは、表板を切り出したスプルースの端材から電動のノコで挽き割りして作りました。
厚さ3mm×幅10mm程度に挽いたものを、カンナで板厚を2.5mmに、幅を9mmほどに削りだしました。
ヴァイオリンのときと同じで、私は、ライニングは貼ってからテーパーをつけて削るのではなく、貼る前に、 あらかじめ片側だけをカンナでテーパーをつけています。
順前後になるのがいやなのです。
内型のばらし 三層になっていた内型の表側部分も、裏板が貼れましたから、これから表も貼るようになるのでいよいよばらし、取り外します。

現在見えているのは三層式の内型の真ん中の部分で、これが三層の芯の部分になります。
表板も、裏板同様、荒削りから徐々に仕上げます。

まず、表側からアーチング・ゲージを使い、
正しいアーチに削ります。

ほぼ外形が整ったところで、
削り台にセットしての作業です。
このとき、一応、裏板まで仕上がっている側板のボディをあてがってみて、エッジの出具合をチェックしてあります。

それからパフリングに取りかかる手順は、
私がいつもやっている通り。

ここまで削ってきたら、
右側のエフ字孔の下の部分に黒いシミが・・・。



逆光に透かして見ると、
なんと、それは針葉樹特有のヤニだまり
黄色い、固まったヤニが埋まっていた。
  否が応でもこのシミは目につきますから、
カッターナイフの刃先で、黒い部分を削るようにカットし、スプルースの端材を成形し、ニカワ付け。

年輪一本分でも、しっかり合わせて貼ると、
ご覧のように、まったく分からなくなりました。

パフリングも入れました。
周囲についたニカワを、ちょっときたない雑巾で拭きましたから、周辺だけがすこし汚れて見えます。


この段階では、パフリングを入れて貼っただけで、
まだチャンネル彫りはしていません。

周囲、ぐるっとチャンネル彫りを済ませ、・・・


板厚のチェックをすれば、表板はほぼ完成です。
ヘンリー氏のマニュアル通り、
周辺部は4.1mmに仕上げました。


 
今回のこの表板に関しては、昨年、あちらのネットオークション・
e-Bayで買い入れた、既製品の
(安物の中国製のチェロ用)キャリパーを使いました。

一昔前だと数万円はしたものですが、買い入れ価格はなんと15K円程度。
じつは、ここまで進んだところで、いつも更新したサイトを見ていただいている、 神奈川県のM氏からメールが入り、チェロのような大きなものではキャリパーが入らないのでは?という質問がありました。

確かに、ヴァイオリン用のものは中央部までは届きません。

写真の上がヴァイオリンとヴィオラ用につくったもの。下は、4年ほど前に新しくつくった、チェロ対応の腕が長いもの。

ご覧のように、これなら問題なくチェロに使えるし、もちろん、上述した既製品でも問題はありません。

なお、この写真は、このチェロ用の表板で、後日、バスバーを貼ったあとの撮影です。



本体に、表板用のライニングを貼り付けました。 


余談ですが・・・裏板の作業中に、作業テーブルから落としてしまい、そのショックで中央ジョイントの一部が目地割れし、 やむなく貼って補修、ご覧のように2カ所をパッチで補強してあります。


表板を貼る前に、ネックの取り付けほぞ穴をボディに空けました。 とはいっても、まだ、とりあえず、借りの形です。

それは、作業を正確に、やりやすい状態で、まずリブを刻み、ネック・ブロックに少しだけネックが
食い込む程度まで彫ります。

そして、最終的には、表板を貼ってから、
取り付け角度を確認しながら、本格的な
ほぞ穴あけの作業になりますが、そのときには
もう大半は終わっていますから、非常に楽です。
仮のほぞ穴ですが、垂直線に沿ってなければなりません。

これで、すっかり表板を貼る準備が整ったわけです。






さて、表板には最後の仕上げ、
エフ字孔のカットが残っています。

そのエフ字孔の型は、図面からカーボン紙を使って正確にポリフィルムに転写して切り抜き、少し先のとがった鉛筆で表板に転写し、カットにかかります。

ヴァイオリンのときと同様、上下の丸とほぼ中央部にコルクボールで 大きな穴を空け、それを基準にして少しずつ切り抜いていきます。

コルクボールのいちばん大きなものでも直径11mmの丸、上の小さい方のまるでも、まだ二回りほど小さい大きさです。
考えでみればチェロの魂柱の直径は11mm、だから、この中央部の幅は最低でも11mmでなければならないのは当たり前のこと。

なお、ストップの位置(=ノッチ=エフ字孔中央部の三角の切れ込み)は、これもヘンリー氏のマニュアル通り、表板のトップから400mmの場所に設定してエフ字孔を彫りました。






ウィングからノッチの外側にかけて、
スクレーパーで少し削り、表情をつけました。

そのことにより、エフ字孔にもより立体感がでてきました。

(2/5 昨日が立春、暦の上では「春」になりました。)
バスバーは、板厚11mm、幅30mm、
長さは585mmに切り出し、成形してつくりました。

以前、別のページに書きましたが、ストップ(ブリッジの位置)の幅がおよそ28mm、先と元が約5mm程度、そのストップの位置に対して重心(重量の中心)がくるように、あらかじめ削り、
それから貼り付けるのは、まさにすみや流。

バスバーが、低音部の振動を表板全体に振動を伝えようとする
働きであるなら、より振動しやすい構造にすべきだし、
その方が低音特性が向上するはず。

仮に、少し大きな、長い竿の中心を片手にもって、
上下に振ったとします。
その際、手に持つ位置が、上下、長さが違う、
太さや厚みが違うバーを手に持って振ると、大変な力を要します。

一方、重心を持って振れば、軽く、楽に振れるし
(その方が表板全体として振動しやすい)ことになるからです。

写真のように、バーの重心をストップ(ブリッジの位置)にすれば
力学的に見ても、バスバーはもっとも響板に影響を与えるはず。



・・・という理屈で、バスバーは削り上げて、
できたのをボクは表板に貼り付けています。

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