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首が元から取れたカールヘフナーの修復 U 09.3.1 | HOME |
中央の接ぎ目の割れとパッチも蓋を空けないで手当!
この割れ目に関しては、当初、依頼されたときの修理項目にはなかったもので、
テールピースを外して見て、気がついた場所。
早速、メールで問い合わせたら、「気がついていたけど、タップトーンも割れていないようだったから・・・」との返事。
ついでだから、ここも手当てしておくことにしました。
テールピースの真下・中央の接ぎ目の剥がれ | |
薄いコピー紙が入る程度の隙間 |
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上の写真・二枚だけではちょっと分かりにくいかも知れませんが、剥がれた割れ目が少し上に向かって、「への字」にふくらんでいるのです。 そこで、上から平らに、柔らかく押さえつけたいのですが、固い金属のクランプでは強いだけで、少々「問題有り」。 そこでつくったのが、写真のような木製のギブス。 ボディを上下から挟み込み、左右のボルトで固定。 中央上の蝶ナットを締め付けることで、その中央部だけが少しずつ締め付けることができるような仕掛けにしてあります。 |
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パッチも、エンドピンの穴から・・・ですが、上のギブスと組み合わせ、このような治具をつくりました。 アームには、ジャンクから探しだしたアルミの平棒を使い、叩いたり、曲げたりして、穴から差し込んでみてぴったりと割れ目に当たるような、都合がいい曲線に曲げ、上からはビスで軽く圧がかかるようにしてあります。 ちなみに、ビスの先の白いプラスチックは、カーテンレールのランナーを切って成型したもの。 ネジの先だけは、ヤスリでネジ山を削り取り、少し下ぶくれの棒状にしてあります。 その部分を、軽くアルコールランプであぶり、そのプラスチック部分に溶かしながら差し込んだだけのもの。 それだけで、やさしく押さえつけるに十分な働きをしてくれます。 |
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そのアームの先端には、小さく切った両面テープを巻き付け、カエデ材をスライスしたパッチが乗ります。 この状態でニカワを塗り、手早く差し込み、定位置まで入れたらピタッと貼り付けます。 そして、軽くネジで締めて固定。 |
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なお、ご覧のようなヴァイオリンの割れ目専用の治具も市販されていますが、でも、この治具は片側のネジを締め付けることにより、左右から押しつけるだけの用途。 今回のように、上にへの字に盛り上がっていて、さらに組み上がったものに対しては、まったく効果がありません。 |
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これもついでですから、指板の凹みを削りました。 |
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前ページの追加説明 スペーサー ネック角度・調整のためのもの | |
それ以前からネックが少し下がっていたようで、従来使っていた駒の高さも、ずいぶん低く感じていました。 その結果、ネックを正しく取り付けるためには、ホゾ穴にスペーサーを入れなければなりません。 適当な厚さにスライスしてあれば問題はないでしょうが、でも、ここは、断面がシャープな、きっちりした三角形である必要があります。 つまり、写真の手元で1mm強の厚さ、先の方は0に極めて近いものにします。 |
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何度も当てがってみては計り、計っては削るを繰り返し、所定の厚さに調整します。 そのわけは・・・、 |
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ちょうど、同じ時期に依頼されたSさんのオールドも首がもげてしまったもの。(写真:右
= あとピンでボケていて、ゴメンなさい。) 取れたところをよくよく見てみると、ただ、割っただけのスプルースの、適当なスペーサーが入れてあり、「割った」ものだけに切り口がギザギザ。 別のページにも何度か書いていますが、それでは、ギザギザの出っ張っている部分の「点」だけで接着されていたことになり、「面」としての接着ではなかったのです。 点と面の違い、どちらが面積が多いかそんなことは当たり前ですから、よく分かりますよね。 つまり、その分だけ接着も弱く、取れたことになってしまったものと筆者は推測しています。 それだけに、スペーサー一枚でも重要なものになるわけです。 ましてや、ネックのこの場所は、弦の張力が目一杯かかるとこですからもっとも慎重にやる必要があるのです。 |
これは、あちらのオークションで入手されたもの。 多分、外国の無頓着なリペアー師がやったものでしょう、 いい加減といえば、とてもいい加減な修復でした。 |
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