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バラバラのチェロ修復 PartU-6
Feb. 2007

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   ◇ 裏板の、穴埋めなどの修整   
裏板の右下には三角の穴が空き、エッジの方に向かってクラックもあります。

なお、穴がはっきり写るよう、白い紙を置いています。

このような穴の補填には、空いていた通りの切片をつくることは至難の業になりますから
まず、穴を三角とか四角などの一定の形に切り直しておきます。

今回のものは、三角に近かったので、三角に切りました。

それも、ただ垂直に切るより、穴の小口をみても、やや斜めに割れているのが分かります。

それなら、直角に切って接ぐより、斜めの方がずっと接着面積も増えるし、
丈夫になり、その上、隙間が空くこともありません。

切りやすく、はめ込みやすいのは図のB・台形ですが、もとの穴の木目からここではAでやりました。

リペア・ナイフや彫刻刀、あるいはノミでカットし、
細かな調整は半丸の鉄工ヤスリを使い、穴の小口を丁寧に成形しておきます。

そうして貼ったのがこの写真です。

ただ、この写真でお分かりいただけるでしょうが、元のノミ跡がエッジの接着代以上に削ってあることです。

残っているニスが、リブより出っ張るエッジの「出」の部分になりますから、三角に埋めたすぐ左上などは、もう足りないところまで彫り跡が達していることになります。
しかも、キャリパーでそのいちばん薄い部分を計ってみたら、なんと1.72mmしかありません。

裏板の周辺部は、チェロでもやはり4.0mmは欲しいところでしょう。

これでは、穴も空くわけです。

それなら大きめのパッチで裏打ちした方がいいし、隙間などの心配はせず、気楽に穴を埋てもよかったことになります。
厚さ2.5mm程度に、薄くスライスしたカエデ材を削りだし、 だいたいの形に切っておき、貼られる方のゴソゴソのノミ跡も平らにならします。

あとはニカワで貼り付けるだけ。
乾いたら、ときどき厚さを計りながらスクレーパーで段差がなくなるまで削り、仕上げます。

もともとの接着代が左上側程度しかなかったのですが、右程度の巾にカバーできています。

ちょっとコントラストがなくて分かりにくいでしょうが、なんとなく白っぽくなっている範囲が接着できる水平面のところです。

このパッチは、穴埋めの補強にもなるし、薄身をカバーしながらエッジもしっかりしたわけで一挙両得、いや、一石三鳥。

大手メーカーの量産品かと思わせる粗さ。

原木をノコで挽いた、その挽き目がご覧のようにそのまま残っていました。

C部ブロックのところであり、それでなくてもバラバラに剥がれた前科があるわけで、やはりこのまま放ってはおけません。

この写真の大きさではよく分かりませんね。
どアップにすると、こんなです。

朝日の差し込む工房で、シコシコ削るのは気分がいいものです。

そんな、やわらかな斜光ですが、横からの光線はノミ跡の凹凸もよく見えます。

表板同様、エッジの接着代も気になっていましたから、全体の厚さをチェックしながら、削ります。
スクレーパーだけでは削りきれないほど厚いところあり、豆カンナも活躍。
これで裏板もできあがり

もともと貼ったあったこともあり、中央接ぎ目の要所要所には補強を目的にパッチも貼りました。
左側から3つが新しいもの、右の二つは古いものをそのまま使用。

ローアに点々と白っぽく見えるのは、逆目で深掘りしたところなどにウッド・パテで埋めました。
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