スイスの峠と氷河を行く
2005.07.01〜14
                                                                     
今年は「スイスの峠と氷河」をテーマに旅行を組み立てることにしました。「峠と氷河」となりますと
どうしても自動車での移動が便利、そこでレンタカーの行程を6日間取る事にしました。
インターネット時代のありがたさ、日本に居ながらにしてスイスの道路地図を引き出してコースの
確認から地図の印刷まで出来ますし、住所が分れば行き先の詳細地図も朝飯前、お陰で地方
都市で車を借りても営業所探しに迷うこともなくなりました。 勿論天気や行事など事前に調べる
ことが出来るのですから、有り難いと言うか味気ないというか、偉い時代です。
(SWISS INFO 日本語頁  http://www.swissinfo.org/sja/swissinfo.html?siteSect=100)

これがインターラーケンのハーツ営業所
路地裏のこんな小さな看板では分るわる
分けもないのですが、それがそれ住所が
分れば詳細地図が取り出せますから、
ご心配ご無用です。
 
 会話が堪能な方には要らぬ心配でしょ
うが、なんせ自慢じゃないけど日本語以
外は、単語と身振り手振りと勘が勝負の
年寄り夫婦、事故だけは起こさぬように
頑張りましょう。
 と、言う訳で無事車を借りることが出来
ました。 「右側・右側」のお経を唱えなが
らの出発ですが、30分もすれば馴れます。

道路事情は走ってみなければ分りません。 自動車専用道路は快適なものですが、やはり山岳
道路が主体となる地方道路はくねくね道路の連続で、しかも幅員が狭く結構神経を使います。
本格的な峠道の足慣らしにと「ゴールデンパス」と呼ばれるルート、シュピーツ(Spiez)から熱気球
の世界的メッカ、シャトーデ(Chateaud)までのんびりと走り、シャトーデの山小屋風ホテル
Bon Accueil に宿を取りました。 家族経営のこじんまりした心温まる宿と申し上げておきましょう。

 

山小屋風のホテルですが
改修されて大きくなりました

いかにも田園風の牧草地、
熱気球が飛び交います

今日は運転二日目、少し慣れてきたところで走行距離を伸ばそうかと思いましたがあいにくの天気
馴れない道の雨の日はどうも気乗りがしません。 峠越えの手前にあるマイリンゲン(Meiringen)に
宿(アルピン・シェルパ=団体ホテルの感じ)を取りブリエンツ湖周辺でのんびり時間をすごしました。


ブリエンツ駅の駐車場

ロートホルン登山鉄道

ブリエンツ(Brienz)は国鉄の駅を中心にインターラーケン行きの遊覧船乗り場があり、駅の山側には
道路を隔てて、あの有名なロートホルン行きの蒸気機関車の登山鉄道駅があります。急勾配に合わせ
ボイラーが斜めについているのは流石スイスの山岳鉄道です。 パーキングメーターは事前納金式で
希望する時間を入力し料金を投入するとカードが発行されますので車のフロントに乗せておきます。

明けて3日目大分車に慣れてきたところで、いよいよ最初の峠越え(Grimselpass)です。

マイリンゲンからの登りは午前中のせいか車も少なく
道もよく、なにか拍子抜けするほど楽々とグリムセル峠
の頂上に付いてしまいました。  峠にある沼には氷の
塊が浮き寒いの何の。
 完全な冬支度をして行くべきでした。ほうほうのてい
で峠を下ることになります。
 登り峠道の中腹まであったガードレールがいつの間
にか背の低い石が等間隔に置かれているだけに変
わっていたのには気付いていましたが、景観の良いと
ころはガードレールを設置しないそうで、谷側を走る時
には結構緊張を強いられます。   木々が一本もなく
崖っぷちが連続する道路が続きます。ガードレールに
なれたドライバーとしましては対向車が来るたびにハン
ドルに力が入ります。



この写真で位置関係が分かると思います。 あの赤い車両に特徴のある氷河特急があえぎながら
越えていた峠の路線が、フルカトンネルが出来たために廃線になりました。 ローヌ氷河を望む
車窓景観を再現しようと、観光列車として復元したのですから大変なことです。

グリムセルの峠道を降りて一息ついてフィーシュ(Fiesch)のロープウエーにまっしぐら、ここがアレッチ
氷河への登り口、ロープウエーを乗り継いでエッギスホルン(Eggishorn)まで一気に1500m以上登ります。

少々霧が出てしまいトップオブヨーロッパ(ユングフラウの展望台の名)までは見えませんでしたが
間近に見る本格的な氷河は初めてですから、感激と興奮の声を上げてしまいました。
フィーシュから元来た道をフルカ峠に向けてもどります。 フルカ峠は冬季間は閉鎖されますので
フルカトンネルを車ごと列車に載せて(夏でも山越えせずに乗ることが出来る)進むことになります。

フルカ峠を越える中間点でローヌ氷河の端末を
見ることが出来ます。 年々短くなっているそう
ですが青く透き通る氷の断面は神秘的です。

溶け出した水が滝の様に流れているのですか
ら数年したら、またまた後退して消えて行くので
しょう。   地球温暖化の生き証人のような気
がします。  そんな風に思いながら見ると弱々
しくさえ見えてきませんか?

本格的な氷河・氷山を見たい方はこちらを
クリックして下さい

フルカ峠を過ぎるとアンデルマットに向けて一気に峠を下ります。 ハイウエーが交差するロータリーで
うっかり高速側に入ってしまったのです。 「まあ、いいか。 一つインターを戻れば」軽い気持ちで高速を
飛ばしてゆきます。 山間部を走る高速は反対車線が見えます、なぜか反対車線の渋滞が続き次の
インターを過ぎても、ついに二つ目のインター近くまで連続渋滞、これを見ては戻るわけにも行かずPに止めて
次の目的地クールまでのルートを変更することにしました。 Burglen からLinthalに至るKlausenPassを
こえる山岳ルートです。 氷河がないので有名ではありませんが峠越えとしてはフルカ以上の難所です。

クラウセン峠をおりてやっと一息ついたところ
です。  お祭りでも始まるのではないかと思
うほど、色々な音色のカウベルが鳴り渡り、
まるで演奏会の様に低い音から高い音まで
ハーモニーが出来上がっています。

この峠は、ポストバスも走っていますが、基本
的に一車線で所々に車の交換エリアが出来て
います。  これは結構難物で車を発見したら
直ぐ止まって待たないとえらい事になります。
勿論ガードレールはほぼ無しですからスリル
満点を請け負います。

次の氷河はイタリアに近いベルニナ・ディアヴォレッツアからロープウエーで1000mを一気に上がり
モルテラッチ氷河を見ることにしました。 ここはサンモリッツ付近にループ線が多いので車窓からの
写真が撮りたくて汽車を利用することにし、今日は運転お休みとのんびりとお出かけです。


これは立派な高原の中の駅です

モルテラッチ氷河

ディアヴォレッツア(2984m)の山頂には氷河を目の前にしたガラス張りのレストランがあり
表が多少荒れても暖かいものを食べながら氷河見学が出来ますのでお薦めできますね。
まだまだ沢山の氷河があるようですが、そろそろ飽きて来たのでこの程度にして置きましょう。

峠道はせいぜい、箱根の旧道位だろうとタカをククッテいましたがガードレールと立ち木がない
のは、やはり恐怖感が湧きますので、どうしても道路の中央を走るようになり対向車が来ると
一瞬ヒヤッとしますね。 「負けるか!」なんて気負わずにゆっくり走れば問題ないですがね。