136回原宿句会
平成12年10月2日

   

   和博
◎破れ芭蕉陽も切れ切れの古道かな
 粉花の丈長くして坂の道
 曼珠沙華人無き島に日の暮るる

   武甲
◎かくれんぼして待つ不安破芭蕉
 限りある命を諭し曼珠沙華
 待宵八年越しの金メダル

  美穂子
○立て看も無くキャンパスの曼珠沙華
○破芭蕉垂れて海宿凪ぎに入る
 秋時雨紅拭き通夜の客となる
 馥郁とボージョレヌーボー妻の恋

   千恵子
○秋時雨数へて降りる駅階段
○葉脈の沿ふほかはなし破芭蕉
 切り妻の壁に鏝絵や曼珠沙華

  希覯子
○手当待つ満身創痍の破芭蕉
 林中に幽霊花の白一花
 捕獲車に野犬屯し秋時雨
 保税庫にボジョレヌーボー積まれけり
 保存する会へ喜捨もし曼珠沙華

   正
 赤き服好みしははや曼珠沙華
 破芭蕉老後に残るものいくつ
 爽やかや金のテープを切る笑顔
 一杯のボジョーレヌーボよりの恋

  箏円
 破芭蕉闇より魔王手招きす
 ねぢれゆるりとりんだうの花ひらく
 医学書の重きを閉ぢて虫時雨

   明
 無花果に幼き頃の香をしのび
 ボージョレにアラブの生活写し見る

   白美
 狷介な性格もあり破芭蕉

   翠月
 ボジョレヌーボ含みし口の幸に酔ふ