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東人
撫子や木道にある避難小屋
白秋に三人の妻夕野分
新郎の父の軽さよ秋の鯖
秋霖や抜き差しならぬ喉ぼとけ
天高しやつこの膝の三里紙
筝円
野分過ぎ草木息をととのへり
秋鯖や「直送」文字のなぐり書き
撫子の触覚にも似る雌蕊かな
秋霖の玻璃に描きしあみだくじ
爽けしや役者顔なる大向う
美穂子
廃校に枠だけの窓秋黴雨
隧道に音の暴るる夕野分
蟷螂の一つ座を占め甲斐の茶屋
撫子や路地に夕陽の通る道
秋鯖や女にもあるのどぼとけ
千恵子
昼灯す社務所無人や秋黴雨
焼き色の黄金香ばしく秋の鯖
野分晴鎖引きずる迷ひ犬
撫子や河原への道草に消え
風少し入れて句会や夜の秋
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白美
秋霖やくもりのとれぬ老眼鏡
卵塔に紅撫子が手向けられ
秋鯖の盛られし磁器の白さかな
紅白のさるすべり伸ぶ庄屋跡
野分去り小屋の農具の輝いて
希覯子
新涼や透明定規を文鎮に
秋鯖を買ひて暮しは中の中
秋霖や一隅に寄るモルモット
無惨なり一坪菜園野分あと
撫子やアザラシの名はタマちゃん
正
秋雨や笠に音聞く露天風呂
秋鯖やガード下なる定食や
撫子や銃後の女性もんぺ穿き
連山をかすめて甲斐の野分雲
驢馬鳴いて甲斐駒ヶ岳夕焼くる
利孟
予想円の中に台風迷走す
一しづく硯に落とす秋の水
星月夜お届けピザのバイク来て
秋鯖の脂めだるきほどにかな
なでしこやそのたび塵となるお襁褓
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翠月
蜩の森から森へリレー鳴き
電線を鳴かせ野分の近づけり
秋鯖に酒一服の舌鼓
街の灯の暮るる速さや秋の雨
撫子の取り巻く縁や踊りの音
和博
秋鯖や味噌煮塩焼一級酒
秋の雨タイル剥がれた遊歩道
野分あと常と変わらぬ湖明り
白黒の映画ブルース秋暑し
撫子や水緩やかに洗堰
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