163回原宿句会
平成15年1月10日


   
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ご興味のおありの方はお探しください



  利孟
早梅や薄く日の透く鉋屑
水餠で終へる一人の夜の鍋
足踏みをして寒垢離の時急かす
日を散らし影の飛び立つ白障子
どぶ川に群れ白妙の都鳥

  和博
障子明け放して綴る旅便り
寒行者裂帛の声発しけり
深甕の底の水餠緩みけり
揚げ饅頭はふはふと喰み初詣
日溜りの臘梅に寄る少女かな

  白美
寒垢離の衲衣肋にへばり付く
散歩にも流儀のありて枇杷の花
早梅や眼鏡掛け替へ読む便り
障子閉め作り真顔のゆるみけり
水餠の沈めるパスタ鍋の日々
鮟鱇の骸に口の大開き 

  希覯子
梅早し宿の便りに亡妻の名も
寒行や齢を語らぬことも行
梅早し此処より電車地下に入る
寒行や嫁に智慧借ること多し
短冊を掛けマンションの障子の間

  千恵子
下帯の白に気負ひの寒行者
結界のやうに障子の暮れ残る
一撞きのあとに深か息除夜の鐘
磯伝ひ詣でる社冬の梅
母の耳ますます遠く今年かな
水餠や蓋するやうに薄きかび

  美穂子
寒垢離を了へて冷たき湯気放つ
柚子湯して柚子の香りの血の流る
冬障子寄るも離るも淡き影
水餠や甕の水染む夕茜
早梅や折り目正しき箒跡

  正
寒垢離や清き山河のこころ享く
賀茂川の水の耀ふ白障子
拉致に暮れイラクに明ける去年今年
温暖化進む地球や梅早し
水餠や浮かびて後の命かな

  翠月
髪に櫛通す窓辺の明けの春
水餠やわが思ひ出の薄濁り
閉めなくて好し閉めてよし白障子
早梅の自若の気品然もなしに
寒垢離や白褌の震へをり

  筝円
寒垢離や半眼にして陽を捉ふ
早梅や埋めし井戸に息の穴
障子開け幅三尺の陽を入れる
水餠や背筋伸ばすも矯正帯
除夜の鐘「イムジン河」を歌ひ継ぐ

 比呂史

水餠を取り出すたびに水を替へ
2月句会は5日(水)です
事前投句の兼題 猫柳:春雪:青海苔+雑詠1句
利孟宛メールまたはハガキで
締め切りは3日深夜まで、句会場で席題1句はいつもどおり
欠席投句は当季雑詠2句の計5句とします