第180回原宿句会
平成16年6月8日

   
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  白美
教科書のあいに春本青葡萄
こころもち腰高につけ夏袴
カタカナの株主ばかり青水無月
来し方は凡庸でよし濃紫陽花
雑草の豊かなる庭梅雨晴間

  千恵子
座を立てばさはと音して夏袴
滑り台すべる烏や梅雨晴間
海光の移ろひやすく青葡萄
身中の虫を鎮めて新茶汲む
水無月の月やはらかく水に乗る

  正
聖火走る青水無月のこの国を
くれなゐの胡姫の手籠に青葡萄
長梅雨や屋根の重たき蔵の家
子に穿けぬ父の遺愛の夏袴
護符つけて梛の苗売る社かな

  武甲
紫陽花をかき分け登山電車な
掛け網の穴の繕ひ青葡萄
手合はせの声凛として夏袴
水無月や管理の難きダム水位
桜桃忌眼下にのぞむ神田川

  利孟
線香の灰折れ積もり梅雨に入る
青葡萄肩胛骨の薄き皮膚
一畳にひとりゆるりと夏袴
生返事かへしてぬるきビールかな
水無月のバーの鏡の暮れ残る

  和博
稽古着のまだ身にそはず青葡萄
遠心力に額紫陽花の花さかり
夏めくや南蛮渡来の惚れ薬
引き際の潔き人夏袴
青水無月留守居の犬の蹲る

  美子
神官の浅葱袴や夏来たる
青水無月ヘリの真下に遭難者
保育器の中の静寂青葡萄
神官は色を纏はぬ夏袴
梅雨一日白人の弾くピアノ聞く

  希覯子
水無月や亀甲に縛る柳行李
梅雨に入る銀座は花柄傘多し
パナマ帽の父の名刺に舊住所
青葡萄わが青春は戰どき
夏袴Gパン好きの能楽師