兼題 サルビア みつ豆 雨乞 席題 羅 |
東人 サルビアの群れて種族の炎を放つ 雨乞の島に山なき峠かな 姉ふたりゐて蜜豆と縁遠し 羅や写真の隅の金の文字 利 孟 雨を乞ふ龍神太鼓たけだけし 蜜豆や四股名大書の紙袋 あんみつやさくらんぼうの種と蔕 縁石の跳ねの乾きてサルビア咲く 美 子 蜜豆の豆食はぬ友夭折す サルビアに燃え立つほどの過去もなし 深酒の抜けぬ男の祈雨の舞 蜜豆を盛る大正のガラス鉢 京 子 みつ豆やギヤマン小鉢万華鏡 サルビアの縁取る辺り野の仏 うすものを纏ひ外通る若さかな 雨乞ひの舞楽朗々地を這ひて |
希 覯 子 サルビアや飯場に人の気配なく 雨乞や一寺一社の谷戸の村 蜜豆や飛騨の匠の椅子卓子 羅や汝の知らざる背の黒子 千 恵 子 羅や女背中で意地通し サルビアに留守を守らせ妻外出 水色の彌宜の袴や雨神事 旅終る駅で蜜豆食べており 武 甲 万葉の踊り装束雨祈る サルビアの朱の増す壁や蔵の町 羅やボディーラインを子に言はれ 蜜豆や若貴談義の女学生 英 樹 羅のひとに続けり女人堂 雨乞のまっすぐ上がる煙かな みつ豆や小町通りをそぞろ来て サルビアの蜜吸ふ児らや小糠雨 |
明 義 蜜豆や匙掬ふたび髪搖れて 羅や灯り連なる商店街 みつ豆屋求めてそぞろ神楽坂 みつ豆を間に女の愁ひ聞く 白 美 雨乞や農夫のしはの縦に在り 蜜豆や毀れ時計の鳴りさうな くれなゐの羅をまとひて旅の航 サルビアや貧しきなりの男女かな 香 里 蜜豆の赤色のこし食べにけり 雨乞や早く見つけてかくれんぼ 羅や鏡に写す身だしなみ 蜜豆や急いでもとる昼休み 重 孝 サルビアの花鮮やかに雨あがる 雨乞をせんと村人笛太鼓 羅の胸のふくらみかくしけり 蜜豆を頼んだおのこ恥かしげ |