兼題 筍 五月 蜂 席題 母の日 |
東 人 筍の巻きゆるめつつ伸びにけり 尾を舐めてより巣離れの今年蜂 筍の節の斜切り輪切りかな みせかけのカリキュラム組み五月かな 英 樹 聖五月青の時代のピカソの絵 蜂の巣や百葉箱の朽ちし屋根 母の日や津和野で買ひし綴り和紙 たかんなや保父の脚から離れぬ子 白 美 ゆらりとも搖れぬ花より蜂飛びぬ 竹の子や土ほくほくとやはらげり 母の日に縫目の荒きぬひぐるみ 大かばん肩に駆けゆく五月かな 京 子 母の日の「おてつだい券」空手形 早苗月風向計も鯉の形 重ね着を脱げばたかんなつややかに 筍や手にしっとりと地の温み 千 恵 子 一雨に洗はれ五月どうと来る 閉じ込めし蜂に物言ふ留守居妻 乾きやすきたかんなの泥村の昼 母の日は縁なきものよ石冷える |
美 子 筍を買ふ高層の地下売場 ほこほこと山丸くなる聖五月 熊ン蜂背に隙見せず塀を噛む 母叱るとき五月雨の音強し 希 覯 子 トラックは秋田ナンバー蜂の箱 母の日や風樹の嘆をまた重ね 風薫る団地公園研師の座 筍や大地を割りし汗湿り 梅 艸 筍の大地を吸うて灰汁ほのか 雲梯にふと蜂の来て散る子かな 筍は歯茎の至福厚く煮る 春愁や名曲喫茶の砂糖壺 利 孟 巣分かれの蜂の房よりこぼれけり たかんなの土より得たる甘さかな 接吻の痕の光や聖母月 母の日や出馬表明せる官吏 健 次 庭先に蜂飛びし家取り壊し 竹の子や社やしろに頭を踏まれ 灯を消して神輿繰り出す五月かな |
玄 髪 母の日や相談相手の薄財布 退官の閑極まれりはや五月 筍の灰汁抜く鍋の煤の痕 蜂を鑑る光の中の子供達 香 里 母の日に形歪んだハンバーグ 筍や料理の手順母に聞き ネクタイも板につきたる五月かな 筍や爪の中の泥とれず 千 里 蒼蒼と畝傍の山の五月空 円描き角にも曲がる蜂の翔 竹の子の一節ごとの皮の濃さ さつき空托鉢の鉢円きこと 千 尋 窓越しの空半分に五月かな 筍にせかれ早起き続けけり 縁側の節目動きて蜂歩く |