兼題 雁渡し 牡蛎 寒昴 席題 枯蓮 |
東 人 席めぐる津軽三味線牡蛎の宿 海からの風哭きやまず寒昴 温泉に林檎を浮かべ寒昴 飛来地に渡す木の橋雁渡し 玄 髪 自販機のコインの響き寒昴 枯蓮田風吹くままに影踊る 牡蛎酢食み烏森口千鳥足 雁渡し半音高く獅子脅し 利 孟 糊固きシェフの袖口牡蛎の皿 雄雌の違はぬ家鴨蓮枯るる にじむ星ばかりを集め寒昴 太鼓から起こる出囃子雁渡し 希 覯 子 牡蛎料理自ら任ず鍋奉行 寒昴一夜の宿を流人島 雁渡し塵芥の袋も蝶結び 枯蓮不忍の池廣きかな |
英 樹 投げ銭をギターケースに枯蓮 糠床に辛きもの足し雁渡し 寒昴トランペットの二重奏 牡蛎啜る投了の碁の女棋士 法 弘 牡蛎打つや西へ潮引く燧灘 てのひらに零す錠剤寒昴 くれぎはのみな声を出し枯蓮 涙痕の上刷く化粧雁渡し 白 美 肥後守握りて牡蛎を採る児かな 雁渡し駅の蕎麦屋の藍暖簾 枯蓮にライトアップの薄明り 寒昴緯線経線測りをり 千 恵 子 牡蛎啜る故郷の海も暮れたるか 枯蓮田夕陽あかあか透けにけり 医者嫌ひ薬嫌ひや雁渡し 手話交わす人等の影や寒昴 |
梅 艸 氷温の牡蛎胃の腑へと落ちにけり 夕浜辺風切り一つ雁渡る みょうに音透き通る夜の寒昴 寒昴亡き父の父ありしころ 京 子 信濃路の山どっしりと雁渡し 生牡蛎にきらきら光るレモン汁 刀折れ矢も尽きたるか枯蓮 雁渡し人無き里の官幣社 千 尋 寒すばる神話伝説海潮音 牡蛎シャブリRの月の雅かな |