奈良お水取り吟行 |
白 美 降らしめよ降らしめよ灰修二月会 振りたてる篭松明に女人沸く 天帝の火遊びに似てお水取 杜 子 火屑はや炭となりたる修二会かな 群衆の引きて春寒あるばかり 大いなる闇揺すり上げお松明 美 子 定法の松明急かす鐘の音 内陣の男に見られ修二月会 お松明仰ぐ農耕民の顔 利 孟 香煙にむせび修二会の女人桟 修二会僧起ちて数珠音激しかり 回廊の煙に搖れて御松明 |
千 恵 子 堂走る足音ばかりや女座格子 火の粉払ふ人も大役お水取り 熱燗や人動き出す二月堂 梅 艸 修二会果て炬火天空に戻りけり 嬌声にほむらいや増す修二会かな 仁 郎 鹿に泣きし子の成人の春着かな 松明に妻の菩提をたくしたり あかあかと煩悩を焼くお水取り |