兼題 鮭 萩 文化の日 席題 秋日 |
東 人 古書市に師の処女句集文化の日 秋の日を眉間に携帯電話かな 胴長ぐつに嵩を受け止め鮭を打つ マーガレットサッチャーがゐてこぼれ萩 希 覯 子 縄電車終着となる秋入日 漫画好き講談好きや鮭番屋 助産婦に叙勲の沙汰や文化の日 作務僧の萩の落花を掃かで去る 利 孟 新聞の隅の人の名文化の日 鮭番屋薪割り土間に放らるる 二つ割りして尾頭の鮭焼けり 山萩や終バスうなるバス溜り 法 弘 秋日濃し裸婦に膝抱くポーズさせ 鮭突くや舳先に燃ゆるアセチレン 近道の萩をこぼして雲厳寺 ボロ市に露帝の勲章文化の日 |
白 美 指移す綾取の琴秋入日 賜の文字の煙草の小箱文化の日 掬ひとる遡上の鮭を水車 禅寺の願主の木像萩こぼる 千 恵 子 無冠にて生きるも又よし文化の日 秋の陽を受けて平に忠魂碑 月光の川幅狭め鮭のぼる 萩こぼる小指のマニュキア丁寧に 京 子 先陣を争ふ鮭の背鰭かな 居酒屋の紫煙の中の文化の日 「豆千代」と表札掲げ萩の花 美 子 乾鮭を包むローカル新聞紙 未使用の古伊万里に遇ふ文化の日 雨弾く着物で巡る萩の寺 清々と乾く墓石秋入日 |
萩 宏 山城に続く石段こぼれ萩 文化の日駅舎のなかのコンサート 鮭千尾上り急流塞き止めん 退社時に上着をはおる秋日かな 千 尋 色街の日影返して鮭のぼる ゆき違ふ萩の裾かな木挽町 英 樹 文化の日するする伸びる枝鋏 登り来て白萩浮かぶ露天の湯 先生の瀧の絵巻や文化 知床の激流遡る鮭の群れ |