兼題 秋桜 鶉 末枯れ 席題 神の留守 |
東 人 竹林の奥まで寺領鶉篭 瀧飛沫消え瀧壷の末枯るる 誓子論語る人減り神の留守 根より伸び根よりも赤し秋桜 希 覯 子 埋め戻す発掘古墳末枯るる 神の留守巫女は日課の拭き掃除 コスモスや小廻りきかぬ縄電車 うねる径古利根川原鶉翔つ 美 子 鶉飼ふ父を疎みし反抗期 勲章を失くした話神の留守 末枯れに落款古りし句集買ふ コスモスと同じ背丈に生まれけり 法 弘 またの名をダンプ街道秋ざくら 卜金に追はれる玉や神の留守 郵便夫来て長話鶉篭 鳥野辺を雨は斜めに末枯るる |
利 孟 わし掴みして野へ放つ鶉かな 手に旗の勝利走行末枯るる 干し物に現れし蒸気や神の留守 清澄といへコスモスの薄き紅 英 樹 少女らの靴下ゆるむ秋桜 末枯や狩猟の犬の木版画 コスモスや琴の楽譜に琴の爪 鶉鳴く少しゆる目にボタン付け 千 恵 子 そこにあることがやさしや鶉の目 コスモスや飛行機雲は天心に 蝋燭のよく燃える日よ神の留守 末枯れや犬の瞳に映るもの 京 子 末枯るる野を切り分けて鐘の塔 捕らはれて育つ嘆きか諸鶉 秋櫻身を張りつめて風の中 |
白 美 神の留守田舎芝居の鍔の音 年満つと退職通知秋桜 野菜盗る盗人もいて鶉かな 末枯れの山頂丹塗りの天神社 千 里 末枯や大和三山薄日さす 末枯れや鉄路見つめる転轍手 細きものひと揺れの影あきさくら 玄 髪 飛車揺れて麓一面秋桜 末枯やトラブルショット素通しに 秋桜群れても風のなすがまま 萩 宏 神の留守宝剣岳に荒む風 秋櫻エラーした子の球隠し 身を伏せる夫婦鶉に川の風 |