震災被災者激励句会 兼題 梅 如月 恋猫 席題 野焼き |
東 人 野を焼くや凶器捜して歩くごと 紅梅のうしろ鼻ひる権帥 如月や神戸元町焼き魚 微に入りて闇あたたまる猫の恋 法 弘 きさらぎや口の端よごす粉ぐすり 農協の倉庫出てくる恋の猫 父の忌を修すすなはち梅で飲む 貝塚の起伏やさしき広野焼く 美 子 野火の舌酸欠の頭を持て余す 風音の合ひ間合ひ間に猫の恋 如月や母から届く「實母散」 畦を焼く地にゐて司法修習生 千 恵 子 如月や話題は通夜の女客 デフォルメの女の画像猫の恋 梅ふいに匂ひて闇の遠のけり 草焼きのあとにザクザク茎根かな |
利 孟 如月や香炉の灰にうす湿り 日の当る塀に陣取り恋の猫 白梅や藁かけて結ふ陶の皿 梅の香や長崎出島異人館 萩 宏 甍をも軽ろく包むや畦焼く香 寝つかれぬ女に切ない猫の恋 避難所の校庭隅に梅香る 如月や洗濯取り込む指白し 京 子 地を這ふ炎奈良平城の草を焼く 梅一枝ざつくり活けて昼支度 のつそりと垣の破れを通ひ猫 如月やヒールにガラスの光るくつ 白 美 探梅の地図には載らぬ梅古木 如月のステンドグラス母子像 毒液も棘も煙に野焼かな 恋猫の腰のあたりに噛まれ傷 |
英 樹 梅林の空を描き足す少女かな 如月の雪より白き壷を買ふ 切り岸にあかつきを呼ぶ恋の猫 如月や金の茶室に緋の障子 茶 々 待つといふ形集めて二月の樹 約束を違へて一人愛づる梅 みづみづと野焼終へたる土の黒 手紙燃す夕べ切なき猫の恋 千 里 山稜に野火走りゆく古都の夜 如月や軽き身を置く車椅子 震度7瓦礫の山の猫の恋 白梅や敢へて団居に加はらず 健 次 この日だけ停まる特急梅祭 畦を焼くその傍らに消防団 恋猫の啼き声もなき転居先 役割は如月の夜の発表見 |
千 尋 老梅の実生のゆくへ問ふ子かな 猫の恋つむじ風巻くにこ毛かな 恋猫やブロック塀の交響詩 希 覯 子 如月や前金切れの句誌届く あくまでも夫唱婦随や畦を焼く 剪定の先より梅の綻びて 街燈のまばたく寺塀猫の恋 博 道 受かつたよ娘の笑顔梅ににて 飼ひ猫も野生にかへる恋をして きさらぎの海かぜ強く妻が寄る 俳人の梅との対峙窓ごしに 伸 作 湯気けむる窓に爪痕猫の恋 背をまるめ歩く路地裏梅のかげ 深呼吸二月冬富士近く見え |
香 里 如月やゴルフ延期の知らせ出す 野火の音パチパチ響き怯える子 猫の恋窓を閉め切り本を読む もう開くちらちら見える梅の色 |