兼題 金龜子 巴里祭 川床 席題 蓮 |
東 人 こと切れてより黄金濃き金龜子 短夜や病む子の爪の伸び易き 空よりも手元が暗し川床料理 散華するまで日の晴れぬ蓮かな 三色の光に溺れ巴里祭 利 孟 巴里祭や肩を露はに大鞄 かなぶんの埃おこして灯に止まる 釘先の飛び出すままに川床組まる 梅雨湿り桶にふはりと糸紡ぐ 梅雨晴間バスを自在に笛の音 法 弘 蓮開く大極拳の指の反り 船旅のデッキに婦人巴里祭 廣重の大磯の宿虎が雨 淡彩の濡れ色涼し川床料理 総理府の賞勲局の金龜子 千 恵 子 指先のときに触れ合ひ涼み川床 かなぶんで遊ぶ子もゐて夜の塾 木道の根太のゆるみや遠郭公 窓過ぎる口笛細くパリー祭 風の来ていつせい裏葉となる蓮田 |
白 美 川床や崩せし足に風の寄る 巴里祭や寡黙な妻の口答へ 過ぎし刻皺で計りて夏の服 独逸語の辞書の厚さや金龜子 朝の池人声なくて蓮の花 希 覯 子 羅や猫背を隠す術失せて 蓮見舟携帯電話届く距離 かなぶんを闇に放ちて通夜の客 銀座裏にルイビトンの店パリー祭 提灯に銘酒の名入り川床料理 美 子 切々と春蝉の声滝の口 同じ香のシャンプーばかり巴里祭 やみくもに耳掠めくる金龜子 俤に匂ひに川床のうへに酔ふ 香聞きて肩先に吐く梅雨晴間 義 紀 ユーラシア大陸の果て蓮開く 川床や三十六峰機嫌良し パラソルに隠れし佳人東慶寺 憚らず接吻交はし巴里祭 富むもゐて貧しきもゐて黄金虫 |
健 一 口笛の夜空に交差巴里祭 掌に取ればやをら飛び立つ金龜子 白髪僧川床に座禅の夏行かな 香の淡き黒百合木々に埋れをり 萩 宏 かなぶんのちぎれし脚の軽さかな 床涼み緊張解けし蹠かな 子等遊ぶ断頭台や巴里祭 女が去り闇にたたずむ蓮の花 川床を眺む郵便配達人 梅 艸 金龜子目の隅で追ひ長電話 金龜子フリーフォールの二次曲線 刃のまろきペーパーナイフ巴里祭 繁閑も和も洋もあり川床涼み 正 酔ひ醒めの水の旨さや金龜子 カンバスにをさまり切らず蓮の花 せせらぎの一品添へて川床料理 招かざる客の名も告げ巴里祭 緑蔭に沈思黙考ロダン像 |