第201回四天句会
平成18年3月15日

   
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 美子
からうと
唐櫃 の男雛に添はす女雛かな
甲高き鳥の一声遠雪崩
過去帳に遠忌の童子春彼岸
女紋一つ利休の忌を修す
指先に香りの移る桜餅

 正
齢取らぬやうにと紅絹に納め雛
葉のかをりいとしみ解き桜餅
水煙の天女の裾や涅槃西風
神水に独り火熾し利休の忌
遠雪崩の響く今宵や坊泊り

 武甲
野蒜掘る酒と家伝の味噌提げて
屋上に待機するヘリ遠雪崩
雛納め朱の書き込みの出題集
取り交はすメールアドレス桜餅
利休忌や謎めく軍の大返し

 白美
沓脱に揃へし草履利休の忌
雪崩来て秘湯の更に遠のけり
早春や軽き鞄で旅立てり
柔肌に翡翠の衣桜餅


 かめ
利休忌や音ではかりし湯の加減
ほんのりと香りを解き桜もち
点滴の落つるを見つめ春愁ひ
山影に彫り深々と雪崩跡
抜き取りし頭を添はせ雛納め

 恵一
利休忌や垣に花咲く鼠志野
利休忌や杓より落とす湯の響き
お帰りのメモに重しの桜餅
雛納めうれひの影をもろともに
谷川を埋め尽くさむと大雪崩

 直人
朝市の手の動きづめ遠雪崩
樟脳の香に早や慣れて雛納め
遥かなる阿蘇の山並み野火走る
一服は富士の裾野や利休の忌
尽くせずに旅立ちのときさくら餅

 利孟
傾げたる顔に紙当て雛納め
黒百合の咲くといふ峪大雪崩
上洛の二時間あまり利休の忌
桜餅あづまをとこにきやう女
まんさくや穴にリボンの金メダル

 理佳
一時の夢もろともに雛納め
利休忌の茶の香の満つる抹茶カフェ
雛に添ふ桃に広野の香りかな
知らぬ春思ふは滝の音遠雪崩
子らの眼はくるり巻く手に桜餅