第211回四天句会
平成19年1月23日

   
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兼題 大寒 子の日草 鮟鱇
席題 火


 美子
戯れの我流の書もて女正月
嬰児の翠の瞳子日草
寒灯下ひりひり嗤ふ煙草の火
大寒や窮鳥のごと子を抱く
錆釘にかけ鮟鱇を裁きけり

 恵一
鮟鱇の皮のどろりと海匂ふ
着ぶくれの子らがバスよりこぼれいづ
大寒の靴音尖る月夜かな
新しき鉢を買ひけり子の日草
火事を見て眠れぬ夜となりにけり

 白美
大寒の海に善女の屈み入る
鮟鱇喰ふ今日は大洋荒波か
龍笛の朱き歌口子日草
一炊の夢でありし日枯芙蓉
火襷の小壺に傾ぐ水仙花

 正
鮟鱇の貌など知らず肝喰らふ
輪になつて踊る子供等日脚伸ぶ
これ以上生きて詮無し子日草
大寒の火影に客を引く女
薪ストーブ焚いて心に火を灯す

 利孟
灰鎮めながら火煽り火吹竹
萱山の腹の陽だまり子日草
風花や引かねば開かぬ列車の扉
鮟鱇の動く温めし水脱ぎて
大寒や一芸といふ甘き道

 比呂四
尻餅をつきし童女や子日草
火加減に半身を埋め掘炬燵
鮟鱇の腸をさらして吊られけり
背ナ腰に貼りし膏薬寝正月
大寒の脈のか弱く這ひ起きて

 耕平
憮然たる眼鮟鱇吊るさるる
大焚火守りて片手のコップ酒
二人して表と裏と初箒
ベランダに葉食む鳥来て子の日草
大寒やブランコゆつくり揺れるのみ

 武甲
鮟鱇や襟立て並ぶ客の列
大寒や炭焼小屋に立つ煙
下山すと隊より無線寒波来る
煩悩を断ち切る火炎どんど焼き
子日草主役不在の鉢の列

 直人
大寒の故郷固く戸をとざす
引きし手に香りの残る子日草
骨となり鮟鱇風にいたぶらる
含羞の頬鮮けし初天神
埋火やまだ指先に揺蕩ひぬ