第218回四天句会
平成19年8月24日

   
点盛り表は、リンクをどこかに埋め込んであります
ご興味のおありの方はお探しください


兼題 立秋 敗戦日 水蜜桃
席題 熱帯夜


  比呂四
水密桃顎を突き出し啜りけり
秋立つやソプラノ歌手の声抜ける
熱弁に声の重なり熱帯夜
尾を上げて陽射しを躱し赤蜻蛉
終戦日話題を逸らし卓囲む

  白美
飯と汁だけの昼食終戦日
流星の落ちゆくあたり小舟の灯
水蜜桃正座崩さぬ客のゐて
立秋や弦四丁の小ホール
消毒の臭ふ馬房や熱帯夜

  利孟
刃を立てて皮に手掛かり水蜜桃
エアコンの吐き出す熱気敗戦忌
曲終り回るレコード熱帯夜
立秋や二つ入れ子に衣装盆
向日葵や壁に窓無き焼却場

  美子
論客の酔ひ潰れけり終戦日
ビル街の屋上に生る夏野菜
頑なな背筋睨み熱帯夜
水蜜桃と叫び素となる女史の貌
立秋の漣小さき陰持てり

  正
箱詰めの桃の吐息の甘さかな
山国や石臼で碾く走り蕎麦
重臣の日記繙く終戦忌
水蜜桃水美しき国に生れ
秋立つや恋人たちのゐない海

  耕平
青田より立ち呼ぶ声に遠会釈
立秋の空や銀座は閑散と
息つぐを惜しみてすする水蜜桃
仏壇の父の苦労や敗戦忌
サイレンに目覚める記憶終戦忌

  武甲
仰ぎ見る空にすきなき残暑かな
秋立つや豊漁に沸く魚市場
熱帯夜止みては動く室外機
ぷるぷるの水密桃を頬ばれり


  恵一
花すすき少年の折りて行きにけり
秋立つや垣根を箒はらふ音
不機嫌な子のてのひらの水密桃
終戦日生死を分かつものありや