兼題 凌霽花 生身魂 夜の秋 席題 氷水 . |
利孟 聞く耳にあらぬ大耳生身魂 赤きべろ青き舌見せ氷水 夜の秋江戸文字で書く豆名刺 くづれたるあたりは降りて雲の峯 咲き昇り果てはなだれて凌霄花 武甲 書き落とす原稿用紙夜の秋 蝉しぐれ日に四本の路線バス 介添へは要らぬお世話と生身魂 凌霄花上る薄暮の赤サイロ 声枯れるまでの応援氷水 美子 生身魂一本長き顎の鬚 しかめッ面して氷水啜りをり 徹宵の現場の明かり夜の秋 球体を解きて嬰児昼寝覚 路線バスのうぜんかづら掠めつつ |
正 酔へばなほ軍歌つぎつぎ生身魂 終戦日戦死公報無きままに 道行の果の心中夜の秋 暮れつのる門先照らし凌霄花 月山の星を集めてお花畑 比呂四 塀を越え凌霄花燃えてをり 蝉時雨止み雨つぶの二三滴 かき氷食べ終へ赤く染まる舌 寝室の寝息静かに夜の秋 延々と語る来し方生身魂 恵一 のうぜんの門をくぐりて通夜の客 生身魂戦の夢を今もなほ バーベキューの火のとぼり出し夜の秋 白粉花紅きホルンを吹き鳴らす かき氷ありますの旗雨の浜 |