兼題 炬燵 卵酒 聖夜 席題 侘助 |
武甲 生返事してのうたた寝置炬燵 閑有りて当直室の聖夜かな 侘助や犬の足止む空き屋敷 アカペラの十八番の演歌冬至風呂 検温の背中を擦り玉子酒 美子 香り立つ聖菓の薔薇の八分咲き だぶだぶの男の上着玉子酒 猫の腹小突きて入る掘炬燵 侘助や侘びて棲む猫素気無く 失業のニュース溢れてクリスマス 恵一 月冴えて仁王の肩の薄埃 侘助や運命線の頼りなく 星空の下の山家の掘炬燵 酔客のケーキ奮発クリスマス 玉子酒風音の止む時もなし |
比呂四 アルコール飛ばさぬ父の玉子酒 深々と耳まで覆ひ冬帽子 侘助の枝一と揺れにこぼれ落つ 曇天の炬燵を占める洗ひ物 聖歌隊声響きあふ聖夜かな 正 帰国子に故国のぬくみ切炬燵 聖夜かな満艦飾の護衛艦 侘助を冬中活けて京の宿 不景気の風吹く巷鎌鼬 子が酒の味知るはじめ玉子酒 利孟 鉄瓶をのけて煮立てて玉子酒 半畳の行き場あれこれ炬燵出す クリスマスカード扉の開けばベル 葉の色の濃くて侘介なほ紅し 霙るるや庫裡に煙の香のみちて |