兼題 野焼き 凍み豆腐 春寒 席題 桜餅 |
美子 ○後ろから詠む遺句集や春寒し ○飴色の藁に編まれて凍豆腐 ○ストレッチャーの足裏見送る余寒かな ○席題と言ひて振舞ひ桜餅 皺深く笑ふ長老野火のあと 恵一 ○卓袱台の下の暗闇桜餅 ★野火走る富士をわづかに烟らせて ○春寒や石塊乾く社宅跡 凍み豆腐庭を眺めて手酌かな ○東雲にうつ伏すものも冬すみれ 比呂四 ○春寒や足湯に戻す血のめぐり ◎野焼きの焔重なりあひて駆け上る ○干し竿の端に吊るされ凍豆腐 節分の全身で泣く男の子かな ○帰宅して書斎にひとつ桜餅 |
義春 ○雛人形部屋いっぱいの京絵巻 ◎野火走り三河の畠のうねりけり ○暗闇に軋む音たて凍み豆腐 春寒し村のせせらぎ水すめり さくら餅残りひとつに手を延ばし 利孟 長靴の焦げる臭ひや野焼き守 嘘泣きの涙の味のさくら餅 石組みの隙に足す土春寒し 煮含めし味に陽の味凍み豆腐 江戸東京博物館の雪の富士 |