兼題 蜆 春大根 花曇 席題 翁草 |
美子 ○ コックスの声追ふオール瀬田蜆 ◎ 作務衣干す葉の青々と春大根 ○ 花曇り弁当包みに訃報記事 改修を刻む墓石翁草 旺盛に大根咲けり島の墓 比呂四 ◎ 寸胴の水の重さの春大根 ○ 児の丈にしやがみ花愛で翁草 ○ 蜆汁すすりて終る朝支度 デビューの夜胃痛和らぐ花明り 輪郭のかすれの先の花曇り 武甲 ○ 花曇る裾を崩して発破音 ★ 裾捲るビニールトンネル春大根 ○ 制服の丈少し詰め入学す 朝市の値札幾度も蜆売り |
恵一 ◎ さあさあと首をつかんで春大根 ○ 叱られて帰る野道や翁草 無数の蜆無数の砂を吐きにけり ○ 溶接の青き火花や花曇り ○ 花散るや二尺四方の分譲墓 義春 ○ 菜の花の青き山並み浮かべけり ○ ネクタイを弛めうたた寝花曇 ○ 春大根おろし一人の朝餉かな ○ さみしさを揺れて耐へゐて翁草 身体にも良しと二杯目蜆汁 利孟 鉄管が支へる蛇口春大根 一斉に闌けて大小葱坊主 矍鑠と天衝く絮毛おきな草 リヤカーに秤と枡と蜆売り 花曇線路に木戸の勝手口 |