兼題 梅が香 凧 初夢 席題 初荷 |
恵一 梅が香や廊下を渡り来る尼僧 牛売りし牛舎に揺れて注連飾り 肩車して凧の糸持たせけり 奄美より来たる初荷のフリージア 違ふぞと見て初夢の途切れけり 武甲 指先で繰り開運の初みくじ 初夢の覚めて居場所を確かめり 大凧の助六空に見得を切る 天神の梅が香纏ふ日差しかな 子も加へ拍手で送り出す初荷 利孟 屠蘇酔ひの腰の据はらず奴凧 梅ヶ香や石寄せて焚く煤薬缶 初夢や蓋され鳴かぬ鳩時計 トロ箱に立てて初荷の紙幟 窓拭きの磨きてビルの初御空 |
阿やの 襟寄せて梅が香胸に封じけり 犬連れて下駄音高きインバネス 揚げられてビル仰ぎ見る武将凧 尾を撥ねて伏し目がちなる飾り馬 ヘリコプター初夢さらつて行きにけり 美子 初荷かな河岸の祝儀値跳ね上がり 凧日和風にきりりと武者の眉 梅が香へたかーい高いをせがまれて 人寄せにはしゃぐ幼子冬の葬 初夢や託宣の意図量りかね 義春 輝きを積みて初荷の瓦かな 初夢や色鮮やかに富士の山 伊達直人世に拡がれよ福寿草 奴凧電柱のなき城下町 梅が香を撮り込むプロのカメラマン |
雨竜 三畳の凧いつぱいに武者の顔 頬紅き子ら駄菓子屋に無き初荷 しずり雪窓のあかりに舞ひ上がる 初夢や六十六部の国めぐり 梅が香や鳶のゆくてに風わいて |