第273回四天句会
平成24年5月15日
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兼題 薄暑 亀の子 端午
利孟
素袷のつひつひ貧乏揺すりかな
龍天を翔て墨絵の武者幟
旧子爵邸亀の子の甲羅干し
夕薄暑ストッキングに知らぬ穴
長きより結ぶ風呂敷更衣
武甲
亀の子の客待ち顔の理髪店
稽古場の窓開け放つ薄暑かな
レギュラーを競ひ特訓夏来る
語尾長きシュプレヒコール労働祭
甲冑の武者の眼凜と端午かな
あやの
亀の子を掌に円陣の真中の児
街薄暑民芸店の昼の闇
佇めばもの言ひたげな夜の新樹
吹奏部の音出してんで若葉光
薫るものなべて懐かし端午かな
比呂志
太陽を向き亀の子の反らす首
箪笥より溢る物捨て更衣
端午の日紙の兜が泣き戻る
若き子の露はなももや街薄暑
気持ちよきところに座して梅雨入りかな
義春
女生徒の二の腕の白き
緩やかに結ぶスカーフ薄暑かな
亀の子や池に苔むすさざれ石
端午の日鼻の隠れる紙兜
富士山は大雲海の果てにかな
恵一
跳ね橋を渡りゆく馬車花あやめ
亀の子をひつ拐ひけり大鴉
甲高き声女子高に更衣
薄暑なり白きブラウス明るみて
相好を崩し嬰抱く端午かな
雨竜
更衣小道を走り出す少女
新聞で作った兜端午の日
亀の子の旅立ち浜の闇の中
春の雨田に薄暗き水の音
低山の薄暑に登る石清水