兼題 余寒 沈丁花 野焼き 席題 薄氷 |
利孟 村一揆めける出で立ち野焼き勢子 揉みほぐし茹でるラーメン余寒なほ 薄氷に泡の閉ぢ込められ遊ぶ 早春の深き轍の畑の道 沈丁花星の煌めき降る夜を 武甲 裏返る声を追ふ三味線沈丁花 野焼の火覚ます大地の眠りかな 薄氷の寄り添ひ下る川瀬かな 寄り添ひて真ん丸冬を越す雀 バスを待つ人の背丸く余寒なお 恵一 霜柱崩れて光放つかな 薄氷のくづれあらはる鯉の口 余寒あり叔父再婚といふ宴 沈丁花女神ダフネの香り充つ 岩焦げしカルスト台地野焼あと |
比呂志 走る炎の隊列をなす野焼きかな 初午や千本鳥居に陽の漏れて ゆつくりと返しバケツの薄氷 雨戸繰り身震ひ一つ余寒かな 枝先に香りを集め沈丁花 義春 せせらぎに光る石くれ余寒かな ぼんぼりを灯し雛の宴かな 草を焼く煙を裾に八ヶ岳 沈丁花くるりと風見鶏の廻る 薄氷避け野良犬の駆けゆける 雨竜 山鳩の羽音に揺れて薄氷 沈丁の香の高ければ風も来ず 阿蘇の山焼いて炎の速さかな 大寒や朝の車の唸り声 暖房となお縁続く余寒かな |
あやの オプションの検査に◯し余寒なほ 末黒野の煙り星空新たなる 沈丁の芽を確むる月明り 冴返る喪服の首の黒真珠 薄氷を伝ひて翔てる雀かな |