第290回四天句会
平成25年10月15日(火)

   
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兼題 竜胆 栗飯 松手入
席題 秋の空



  利孟
松手入れ梯子下りては眺めては
序破急の鉦を打ちづめ山車軋む
秋天や高野山の庫裡の煙抜き
仏飯の栗の二粒栗の飯
竜胆や一升瓶に買ふミルク

  あやの
竜胆のあを閉ぢしまま供華の束
十三夜仄かに白き蝋石画
秋天下くるくる回るダンスの輪
一族の揃ふ日祖母の栗ごはん
半纏の藍やはらかに松手入

  恵一
竜胆や烙印深き牛の腹
神殿の白き列柱秋の空
峡の駅栗飯売りの藍法被
エーゲ海稲妻の雲渡りゆく
ヘルメット三つ光れり松手入

  比呂志
竜胆や名脇役といふ役者
大粒を飾り盛りして栗ご飯
穏やかな志野のうす紅秋の空
秋風や古家の歪む窓ガラス
おほらかに広がる空や松手入れ

  義春
松手入れお茶に自慢の銀煙管
竜胆や馬の見渡す草千里
朝寒の澄みし空へと深呼吸
栗飯の炊けて隣へお裾分け
跳び走る体力テスト秋の空

  雨竜
栗飯の湯気の高さに母の声
濃竜胆名人戦の床にかな
松手入れ郷の訛りの庭師ゐて
満月の海より五寸の重さかな
秋の空遮るものは何もなし