平成２７年１２月１５日
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兼題 冬枯れ 葛湯 冬旱
席題 師走 |
利孟 冬の雨窓の指絵のくづれ出す 冬枯れの野の音風の惑ふ音 古井戸にくれる呼び水寒旱 住職の下駄の爪革師走かな 湯気の溶け籠もる濁りの葛湯かな 比呂志 冬枯れや電球一つ切れたまま 門柱の電球を替へ師走かな 両の手で包む湯飲みの葛湯かな 弦はじく乾きし音や冬旱り 新雪に戯る犬と避ける犬 恵一 飛びゆける鳥の両目の雪に濡れ 蛸焼きを立つて分け合ひ師走かな 冬枯や茎倒れ入る浅き川 葛湯服少女の紅き唇が バチンコ店にならぶ青年冬旱 |
義春 缶蹴りの缶のころがり冬旱 極月の社は風の音ばかり 冬枯れや農道を行く修行僧 団欒や子供の葛湯甘くして 優雅もの影黒々と水尾を引き あやの 幸田文の本読み止して葛湯溶く 伏せ重ねらるる閼伽桶冬旱 冬枯れの野末の蕎麦屋早や灯し 凍雲や離岸のデッキ薄がすみ 擂り鉢にふくれにふくれ酒の粕 雨竜 大木の根の剥き出しに寒旱 冬枯れや托鉢僧のほうほうと 大和路のふはりと甘き葛湯かな 冬の夜の空鉄紺に塗り込めて 暦貼り風引き立てて師走かな |