兼題 数の子 天狼 寒牡丹 初荷 |
利孟 盗み酒くづれ数の子含みては 日溜まりに伸びする猫や寒牡丹 普請場の槌音一つ深雪晴れ 期限切れ弁当回収して初荷 天狼の眼の炎や久女の忌 恵一 天狼の川面照らすや上高地 独楽打つや額に湿布を貼れる子も 敷藁に落つる一片寒牡丹 薬玉の割れて初荷の車発つ 数の子を噛めばいのちの犇めける あやの 牙を剥くものは地上に天狼星 数の子の明るき音を味はへり 踏切に行き交ふ電車日脚伸ぶ ほそき首風に耐ふるや寒牡丹 トラックも御神酒撒かれて初荷式 |
雨竜 天狼や朝まだ暗き鳥の声 築地から店へ風切る初荷かな 寒牡丹小学生の帰り道 数の子の粒ひとつぶの夢つかむ ゆつくりと一段ごとの初氷 武甲 天狼やジンギスカンの一代記 連獅子の阿吽の間合ひ寒牡丹 初荷旗立てて納める新車かな 純白に染まる植え込み寒の朝 数の子や匠の仕込む音を食む 義春 寒牡丹膝折り覗く菰の下 競り落とし大間一本初荷かな 数の子や江差の老舗旅館閉づ 年賀状束の厚みや半世紀 天狼や一人少年屋根の上 |
比呂志 身震ひて閉める雨戸や天狼星 競り落とし大間の初荷まぐろかな ゆつたりと頭を擡げ寒牡丹 塩水に浸け数の子の塩を抜く |