第390回四天句会
令和4年3月9日
Zoomリモート句会
   
兼題 斑雪 春の闇 蜆
席題 金縷梅


多聞庵の雛飾り(令和4年3月)



  利孟  
料峭や経木で包む蒸し饅頭  
春の闇座敷童子は独りごち  
腰揺すり棹を揺すりて掻く蜆  
在来線ホームの蕎麦屋斑雪山  
金縷梅の風に揺られて糸ほどく  

  恵一  
金縷梅や女官の埴輪雨晒し  
茶問屋の奥に飾られ享保雛  
蜆掻き鋤簾の返す湖の底  
はだれ雪舟で下りて猊鼻渓  
透かし見る縹の春の闇の奥   

  雨竜  
夕照の中の唐橋瀬田蜆  
長崎の坂行く電車斑雪  
春の闇湯島芸者の下駄の音  
雛飾り終へて小暗き大広間  
まんさくや紅いリボンをつけて猫  

  あやの  
斑雪関係ないわい鬼ごつこ  
点々と靄に影置く蜆舟  
手控への辿れぬ言葉春の闇  
繋がれた犬のお座り花辛夷  
まんさくや学生服を買ひ換へて  

  義春  
裏山の目覚めの時や花金縷梅  
はだれ雪野馬の寄り添ふ龍飛崎  
春の闇阿弥陀仏座す納骨堂  
斑鳩の雲無き空や八重桜  
大蜆せせり五角の江戸木箸  

  比呂志  
斑雪弧を描き区切る千枚田  
晩酌のおつもり湯気の蜆汁  
路地奥の鉢の金縷梅明るくて  
産みたての卵のぬくみ猫柳  
息遣ひ付かず離れず春の闇  

  虚承  
謙信は川の向かふに春の闇  
斑雪庇伸ばしてクレープ屋  
奉納の蜆薬師の厨へと  
花辛夷車を洗ふ手の赤く  
まんさくやタイヤ交換待つ日向