第401回四天句会
令和5年2月14日
Zoomリモート句会
瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次遺墨
利孟
山眠る山窩の腰の山刀
蹲踞の凍てるを叩き割り柄杓
築地塀越え臘梅の香のあふる
雪山の踏み跡たどる隠れ宿
薄き陽を集め輝き福寿草
利孟邸正月・玄関の臘梅
あやの
凍つる夜や航空灯の瞬いて
蝋梅や仕舞ひし茶舗の開かぬ門
面談室の窓に置かれて福寿草
春隣迷ひては選る刺繍糸
送電塔闇に聳えて山眠る
義春
福寿草日がなラヂオで追ふ株価
還らざる男を抱き山眠る
窓拭きの吊るされ凍る窓渡る
月光や苑の水仙疎らなる
臘梅の香りにレンズフォトグラファー
虚承
蝋梅や追分道の道標
バター茶を啜るゲリラの銃凍てて
枯野道オンデマンドのバスを待ち
福寿草介護施設の母の顔
窓際に仏壇移し山眠る
比呂志
蝋梅や乳の匂ひの嬰を抱いて
新海苔を炙りて磯の香を立たす
垂れ込める雲に抱かれ山眠る
寄植ゑの根本明るき福寿草
雑巾を振り回しては凍りけり
雨竜
山眠る朝の月のほの白く
御神渡り音たて長き道開く
六歳の手のひら白し福寿草
蝋梅や玄関車椅子のまま
月凍る草履に下駄の音重ね
恵一
蝋梅や漆喰剥がる摩崖仏
きらきらと光の粒子福寿草
蝋梅や古墳に朝の日の射して
餌台に凍れる鼠禿鷹来
処分場へ走るトラック山眠る