第９８回 平成１６年１０月１７日
☆ 秋深し絵馬に英語の願ひごと
Ｄ５１の黒き噴煙鉄道日
色鳥や老いて爪弾く里のうた
鉄道日坂東太郎をまたぐ橋
ねじを巻く明治の時計夜の秋
比呂
☆ 古九谷の隈無き絵付け小鳥来る
食堂車に特別メニュー鉄道日
行く秋や樵の髭を褒め合ひて
登美子
黄ポプラの色こぼし行く貨車長し
ピラカンサ食む鳥の眼の爛々と
ロープウェイの海行くごとき紅葉谷
きのふとは別の枝選り小鳥来
ともこ
色鳥や雲一と掃きの晴れ間より
ジヲラマに見入る少年鉄道日
物置に探す消壷かまどうま
信子
包まれて届く朝刊秋黴雨入り
ガード下の屋台灯りや鉄道日
デッサンの熟れたる果実小鳥来る
芳子
独り居の路地に住み古り後の月
ふはふはと風乗りついで秋茜
鉄道日人疎らなる史跡裏
清子
木漏れ日の中ひるがへる秋小鳥
秋天や五段重ねに組み体操
コスモスや垣根に乾く子供靴
一構
秋冷や踏めばぐらりとかづら橋
色鳥や落暉の染みしいろは坂
色鳥や右に傾く筆の癖
昭雄
手塩の香はづませ握る今年米
木犀の金の筏やにはたづみ
聖子
秋日和雲の流れの風まかせ
色鳥や羽根をしをりに文庫本
幸子
群がりて小鳥旋回空青し
芒野に入り子供らの見え隠れ
良人
鉄道日花の飾らる無人駅
鴻
谷あひに高く組み上げ稲架襖
利孟
猪垣をを回し裏山古墳めく
ふかし藷喉に熱さのとどこほる
色鳥や肌に粉の吹く登り窯
丸の内口に丸善鉄道日