第2回句会(弥生祭など属目) 4月17日
第104回 平成17年4月16〜17日
日光弥生祭吟行
第1回句会 袋回し 4月16日
布引の白き姿や華厳滝 良人
へりくつの我田引水春ぐもり 比呂
水鳥の水尾の行き交ふ山の湖 昭雄
みぞれ降る町衆の引く花家台 清子
花見膳酒に飽き噛む甘酢漬け 登美子
間引かれし鹿の躯のなほ温し 利孟
枝交し競ひ咲きたる桜かな 聖子
雪
男体山の裾へと春の雪化粧 利孟
降る雪の漁火淡く見えにけり 比呂
男体山の峰をとがらせ春の雪 良人
霙るや実之屋二階の温き部屋 清子
雪解川男体山を削り取り 昭雄
両の手を上げて総身に花吹雪 聖子
吟行の歩の鈍りたる春の雪 登美子
溶
飲むほどに酔ふ程に溶け春灯下 清子
花見酒闇に溶け入る人の影 登美子
溶接の青き火花や春の雪 利孟
春夕焼け消えて天地の溶けいだす 比呂
雪解けの葉の幼ななる光かな 聖子
岸辺より溶けいだしたり春の雪 良人
雪解けて天領濡れてゐたるかな 昭雄
夜想曲窓に溶けゆく春の雪 利孟
窓を打つ春の嵐の夜の雨 良人
眠られぬ夜の一句や月朧 昭雄
七人の集ふ句会の朧の夜 登美子
月の夜は花の精でて踊るかな 比呂
花の宿袋回しの夜が更ける 清子
山の宿庭の芽吹ける夜の雨 聖子
筍
石筍の襞に影をく春灯し 利孟
天へむけ筍梅雨の音頭唄 比呂
筍や林の奥の修行の地 聖子
甘くちの筍飯の湯気の椀 清子
筍のえぐみの隠る甘さかな 良人
筍に雨は静かに降り続く 登美子
湯の宿に筍飯の香る湯気 昭雄
山
春の雪日暮れ間近かの山光る 良人
鯉のぼり尾びれが山をたたきけり 聖子
春愁の陰りも少し山の宿 昭雄
山帰来棘に守られ尖にけり 利孟
男体山のあをにびに暮れ春惜しむ 比呂
山奥の花へと夕日届きけり 登美子
残雪の男体山に身を正す 清子
辛夷山集ふ田の神山の神 昭雄
神杉の大いなる虚拝みをり 比呂
二荒の広き神域草萌ゆる 清子
老杉に紙垂新しき春祭り 聖子
花筏分けて舟来る神田川 利孟
神の山湖面に映る雪姿 良人
芽起しの雨の中行く神輿かな 登美子
弥生祭空御輿舎の大閂
水門の弛ぶ大捻子春闌ける
八乙女の神となり舞ふ弥生祭
昭雄
弥生祭ときに目つむり稚児の笛
日のかけら春の小川に濡れてをり
春めくや連座地蔵の朱の頭巾
信子
神木の影黒々と花見月
弥生祭巫女の鈴振る堂の闇
弥生祭氏子の足に余る足袋
ミヨ
神前に巫女の舞ひをる春日かな
瀬の音を拾ひて揺るる土佐水木
花家台坂を一気に弥生祭
登美子
神木の春の光や祭髪
注連縄に吹く風の薫れる二社一寺
花八汐弥生祭の稚児囃子
花八汐祭衣装の子は眠る
木洩れ日や木々の芽吹きの子守歌
手古舞の子の足なえて弥生祭
良人
弥生祭家台迎へる親子杉
辛夷咲くくぬぎ林に舞ふ光
黄鶺鴒滝の瀬端を鳴き登る
清子
弥生祭祭衣装で華の稚児
春塵を避けて入り込む植物園
麗かや許されて引く花家台
利孟
弥生祭御神酒屋台の山車に蹤く
追ひかけて追はれて番ひ黄鶺鴒
滝壷を出て曲折の雪解川