第105回 平成17年5月15日
☆ペコちやんの小花のドレス街薄暑
片側に花菜あかりの路線バス
沢風やひかりを放つ猫目草
ドア開けて客待つタクシー薄暑かな
つらつらの椿の奥の瀬音かな
信子
☆夏来るや少女が揺らす束ね髪
柿若葉生徒が覗く兎小屋
まづ水を絵筆に吸はせ聖五月
おひねりを集める子役薄暑かな
比呂
☆弦はづす弓の逆反り薄暑光
若夏の樹間の息を踵まで
敬子
☆船の灯を消せば乱舞の蛍烏賊
河鹿鳴く川降り口の道祖神
新樹光起伏のつづく鞍馬道
清水の猪口手になじみ夕薄暑
緑雨来る芸妓の拡ぐ蛇の目傘
このごろのなにやら多き黒日傘
植竹
母となる子との語らひ葛饅頭
鯉幟尾の先までも膨らめる
丘いつぱい色を尽して芝桜
清子
幕間や葛切箸で掻き寄せて
ナプキンを卓に並べて子供の日
若葉光喜寿の自祝の男舞
聖子
くづ桜作法守りて得るしびれ
母の手の形に丸めてよもぎ餠
たつぷりと春の野菜の道の駅
薄暑かな潮の香寄せて船溜り
煉瓦道に影のゆらめく栃若葉
夏めくや積み木積んでは崩しては
芳子
改装の山小屋便り薄暑かな
種おろし俄か農夫の夫の顔
食べ頃の冷えをはかりて葛饅頭
登美子
風呂敷を解けば人寄る葛饅頭
水張らぬ田が広がって薄暑かな
良人
身の丈を競ひ群れ咲く花あやめ
昭雄
夜桜の枝垂れ狂女のをどるごと
利孟
香をからめ風押し戻す藤の房
穴子飯三筋垂れ引く角杓子
陸に水落し磨る墨青葉木菟