第142回 平成20年08月24日
★ 百年の梁に樹脂浮く残暑かな
・ 野分なかおちよこの傘とあらそひて
・ 仏壇に寸詰め供へ花萱草
・ 水に揺れ帰る父母流燈会
口をへに滝を睨みしカメラマン
塩田
★ 白色に轟く瀬音下り簗
・ 還暦や我慢の効かぬ残暑来て
雨上がり月もさはやか盆の夜
はかなくも強く生きろと野萱草
いろは坂越えれば滝が残暑消す
美代子
△ 捨畑へ蔓伸び競ふ残暑かな
△ 脚きしむ卓袱台に上げ月の膳
△ 寝そびれて月下美人の咲く気配
・ 暮際の色のあざやか花萱草
・ 教会や日暮れ吊り下げ凌霽花
△ 手を差すに長き袂や盆踊り
△ 水口に土嚢が二つ花萱草
・ 軒つたふ雀の足音秋立てり
・ 支柱挿す土のやはらか菊畑
・ 秋暑してろてろ長き犬の舌
信子
△ 終電や窓の涼しき遠灯り
△ 好物のそれぞれ父母の盆供膳
・ 祭唄正調日光和楽節
・ 猫車押してごみ出す残暑かな
・ 灯の涼し大谷石蔵レストラン
昭雄
△ 群れ咲ける丘浄土めき野萱草
・ 今年また残暑見舞ひの癖字かな
・ 村捨てたはずの漢や夏祭り
・ 野萱草一日の命繋ぎけり
手枕に残暑を凌ぐ漢かな
△ 夏帯や碧眼寄せて聞ける香
・ 一病の友の絵手紙百日紅
・ 工場の解体遅々として残暑
鬼やんま見えつ隠れつ忍者めく
野萱草掻き分け養護院訪ね
幸子
△ 病者来て憩ふ木陰や秋暑し
・ 咲き競ひ水辺賑はす野萱草
・ 経誦むも黙し酷暑の寺巡り
賽銭に願も掛けざる猛暑かな
朝涼や庭師手捌き軽やかに
鴻
△ 引き抜きし土まで香り新生姜
・ テレビにて五輪観戦残暑かな
・ 沖縄や路傍たわわに島甘蕉
空の旅上から見下ろす雲の峰
道の駅萱草の花売られけり
・ 草を刈る農夫の残し野萱草
・ 夕暮れの畦道照らし野萱草
・ 蝉の声止めて鵠抜く的の音
・ 畦道に残る優しさ野萱草
万屋に氷いちごの旗揺るる
登美子
△ 残暑見舞はがきの余白使ひきり
・ 近道に広き道なし花萱草
・ からつぽの脳へ飴玉秋暑し
酢をうつて飾る夕飯食進む
蒼天のつきぬこと知る雲の峰
永子
・ 盆踊り背に名入りの紺法被
・ 腕まくりして降りる山秋暑し
・ 解体の櫓残暑の浜に積む
・ 藪萱草畦にひとひの花明かり
声枯らし仕切る祭りの当番町
・ 萱草や山のなぞへの行者堂
・ 噺家の無舌てふ墓碑百日紅
車座となりて残暑の計り事
手花火や幼きぼんの窪並べ
新涼や白を着こなす女学生
芳子
・ 滴りの谺のしきり採石場
・ 萱草の畦をまつすぐ地蔵尊
音軽し残暑の午後の連射かな
名僧の袈裟のさらばひ立葵
立岩の静寂をのぼる蝉の声
良人
・ 道場に日矢の入り来て秋暑し
・ 萱草の雨後の池塘を彩りぬ
萱草や佐渡の果てまで覆いをり
網戸来る風の軽さや秋暑し
切花の上葉かがやく残暑かな
田水湧く日に四合の米と味噌
茉莉花やジャズ名盤の針の音
志望校別の予備校残暑かな
ストローに泡の重さのソーダ水
野萱草名物といふ焼団子