第178回平成23年10月30日
黒羽・雲巌寺吟行
餌を狙ふ口にて焼かれ下り鮎
百千鳥木地剥き出しの格天井
打ち捨ての釘山門の秋深し
紅葉山穂先のちびし竹箒
おんこの実杉戸に刳らる鍵の穴
昭雄
☆穂芒の風のしろがね雲巌寺
○雲巌寺奧処に秋の香焚かる
・那珂川の鮎塩焼にかぎるぜよ
・花桔梗旧家に残り野面垣
・花桔梗簗白波に沈みけり
於した
☆天高し餌を採る蜘蛛の真逆さま
○雲巌寺たわわに実り花梨の実
・身に入むや石垣にある白き花
崩れ簗背に撮る写真ひざまづき
迷ひつつ辿る軌跡や芭蕉の碑
○田仕舞いの煙身の丈ほどに這ふ
○山茶花の散りて寺領の華やげる
○残菊の色濃き風に吹かれをり
・崩れ簗乾きしままの身を晒す
・秋深し木々の苔むす雲巌寺
ミヨ
○山寺の魚板の窪にある秋日
○崩れ簗水と蛇籠の遊びゐて
・邯鄲や木洩れ日集め鳴き尽くす
・川音や荒鮎二匹皿に盛り
・色鳥の声の高みに五輪塔
信子
○鐘楼に音深眠る秋の寺
・雨催ひ寄せる波遣る崩れ簗
・行く秋の風の抜けくる勅使門
・紅葉寺声出して読む芭蕉句碑
・仏殿を拝す石段実南天
○川波のさざめく八溝崩れ簗
・ちちろ虫止めば広々雲巌寺
・雲巌寺幹に苔むし実南天
伝へるといふが信仰紅葉寺
雲巌寺渡りし橋の水の秋
良人
・風も無く紅葉且つ散る寺の門
・大水の砂礫に梁の埋まりて
・風立ちて秋草の色さまざまに
山門を覆ふ紅葉雲岩寺
里山の秋草深き寺を訪ふ
鴻
・雲巌寺鐘楼苔を蓄へて
・紅葉の流れに架かる朱塗り橋
崩れ簗秋洪水のすさまじく
吟行を終えて賞味の鮎料理
雲巌寺建物すべてに苔着けて
・山茶花や芭蕉の里の片隅に
紅葉や禅刹までの遠き径
満天星の囲ふ鐘楼秋の里
鬱蒼のなかの瀬音や秋の寺
秋の日がおぼろにかすむ古刹かな