第190回 平成24年10月21日
とちぎ”食と農”ふれあいフェア2012吟行
新瓢二つ割にし布袋の絵
秋麗や食ひ物ばかりの物産展
秋高しソース焼きそばてんこ盛り
零余子飯炊いて二人に余る嵩
掌にすくひて温き今年米
比呂
☆育ちたる土付け売らる大根かな
☆口開かぬ郁子の青さや天高し
△子牛の背骨桃色に透け秋日和
・野の花を添へて艶やか今年米
・割れされうな南瓜に宿る地のめぐみ
一構
△身に沁むや石のチャペルの窓光る
△職人の皺の笑顔や秋日和
・軽々とみどり児抱きて秋日和
・昼食の割箸割りて秋うらら
道すがら光の中に探す秋
△諳ずる書道展の詩秋うらら
・三色旗掲げて良夜のレストラン
・バスの窓眠らぬ街の寒夜の灯
・秋しぐれ絵硝子展の百灯し
凸凹の夜露灯りや銀座街
敬子
・暗き窓少し開けをきちちろ虫
人気無き古刹の真昼杜鵑草
身に添ひし衣装整へ秋日和
秋桜傘寿の刀自の投げキッス
秋の空すんなり伸びたふくらはぎ
昭雄
△笹揺れて自然薯掘りのゐる気配
・町興しの広場に子牛天高し
・鳶が舞ふ県民広場秋高し
にぎはへる食農フェア天高し
郷祭山に削られ鰹節
△山装ふ幸のあふれる食フェアー
・人波の食の広場や天高し
・豊かなる大地の恵み秋祭り
おむすびや紅葉狩りで縁むすび
秋の日やひねもす食べる祭かな
良人
・秋日和食農フェアに人の波
・秋日差すガラスのビルにテント村
・軒並ぶ白きテントに差す秋日
栃紅葉したる並木の人の渦
天高し出店のテント眩しくて
鴻
・農機具の展示に人の秋フェア
・昼餉時秋のフェアの長き列
・中秋の収穫祭は人だかり
秋フェア好みの果実多かりし
自然薯のむかごも売られフェアかな
出来秋や栃木訛りで客寄せて
木犀や呼吸深々とつぎ気功
実山椒健気に摘みし母も亡く
咲き残る曼珠沙華寂ぶ遺作展
とんぼ連れ市荷下ろす下野女